ミートボールの行方
「ルシフェル・・いや、田天。俺は弱かった。
戦力もそうだが・・誰かに執着し、誰かを恨み続ける心の弱さ、それを今回思いしらされた。
お前の強い心にな。」
「え!?いやいや、俺の心なんてぜんぜん弱いよ?」
「お前は俺がジャキルとラザエルにやられる寸前に現れた。そして俺をあえて逃がした。
あのままやつらに任せていれば俺はかってに終わってたんだ。
なのにお前はそうしなかった。
あれだけお前を恨み、お前を攻撃した俺を、逃がしてあえてあとでタイマンにもちこんだんだ。
「許す強さ」そして「戦う勇気」、それをお前はたしかに持っている。」
弱かったはずの自分がこうやって他人に褒められ、田天はうれしかった。
そして今までの闘いや旅、人との出会い、それがすべて意味のあるものだったんだと、改めて感じることができた。
「今の俺にこのミートボールは必要ない。
強くなって、もう一度自信をつけてから自力で会いに行くよ。彼女には。。」
そういうとマガルタは持っていた玉を田天の胸に押し付けるように差し出してきた。
田天は「え?でも・・」と遠慮しようとしたが、マガルタの意志を尊重し、口をとざした。
「やったじゃねーか田天!ルシフェルともう一人、誰と会うよ!?」
テンションが謎に高いブレイズ。たしかに思わぬ収穫、喜ぶのに無理はない。
だがほかのメンバーは気づいていた。田天の心の内を。
「おいみんなはどう思う?フレイラ、どうよ?」
「・・まぁ、黙って見てな。田天のとる行動を。」
「?」
訳の分からないブレイズと、もう察しのついている古株メンバーは表彰台の上の田天を見つめる。
(・・・・・みんな、ゴメン。)
田天は二つのミートボールを持ったまま台を下り、ジャキルのもとにやってきた。
ジャキルの必殺の間合いに、恐れることなく入る。
緊張が走るギャラリーたち。
だがジャキルは刀に手をかけようとしない。
田天の行動は理解できないが、戦う意思はもうなさそうな彼を攻撃する気はさらさらないようだ。
「ジャキル、これ使ってよ。」
「なんだと?」
「俺もマガルタと同意見でさ、もっと成長してから自力で会いに行くことにするよ。
だからこれは、君に使ってほしい。
このサバイバルで俺を成長させてくれた君とラザエルに、ミートボールは渡そうと思う。」
そう告げるともう片方のミートボールをヒョイと投げ、玉は放物線を描いてラザエルのもとへと届いた。
ポカンとするラザエルは、ミートボールと田天を交互に見る。
「へっ、昨日の敵は今日の友ってか。
まぁ昨日どころかさっきまでやりあってたがな。」
ジャキルはミートボールを受けとると、その場から少し離れミートボールを置いた。
田天はそれを満足そうに眺め、仲間たちも彼の行動を受け入れていた。
「ダーラよ。この玉、どう使えばいいんだ?」
「ミートボールに触れながら会いたい人物を強く思い浮かべ、その名を三回連続で呼べばいい。」
「なるほどな。。」
彼はすっと手をミートボールに添え、目を閉じた。
そして、、