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目覚めたら堕天使ルシフェル  作者: キメラテック
『四つ巴』の防衛戦
130/147

母の死

(ママ・・・ぼくは負けないよ。

勝ち続けるんだ、倒し続けるんだ、殺し続けるんだ・・ママの為に・・。)




 膝蹴りをもろに喰らったラザエルははるか後方へ吹き飛ばされた。

その過程でバンバン何かにぶつかる感覚が彼を襲う。

虹の光で見えないが、これは森の木々である。



 倒れてもすぐに起き上がる。

口元の血をぬぐい、息を整え前を向く。

自分と同じように、ジャキルがこちらへ吹き飛んでくるのが見えた。


「ぐっ・・!」

 ジャキルは踏みとどまると、ラザエルの方を振り向いた。

飄々とした態度であった彼には考えられないほど、かなり必死な形相。その顔をつたう血痕もあいまってこの状況の深刻さを痛感させられる。


「ラザエル、とにかく今は逃げよう。

やつの発言通りの技だとしたら、一分逃げ切ったらこの光は解除されるはずだ。

そのあと改めて攻撃しなおすぞ。」

「・・うん、わかった。」



 バン!と大きな衝撃と共にその場を離れる二人。

田天の立っている箇所から反対方向に全力で移動する。

素の戦闘力が高い二人は見えない木々などお構いなしに超速で直進した。ひたすらに逃げた。


(逃げろ・・今はとにかく・・・・・!!)


 ゾッとするような嫌な気配を感じ隣を見たラザエル。

そこにあったのは、彼らのちょうど真ん中にわって入ってきた田天の、自信に満ちた笑み。

ラザエルはここで理解できた。

逃げることなど無意味である、と。



(ママ・・僕は今、久しぶりに恐怖を感じてるよ。

ママが僕の目の前で殺されちゃったとき以来かな、こんなおぞましい感覚。。



忘れもしないよ。あの日、遊び終わって家に帰ってきた幼かった僕は地獄を見たんだ。

家に押し入った強盗が、ママを刃物で刺したその瞬間を。


強盗は天使とは思えないほど凶悪な顔をした、鬼のような男だった。

僕は怖かった。ただひたすらに。


でもママは死ぬ直前で強盗に「天の静まり」をかけて、奴の時を止めた。

僕とは違って20秒も時間を止められたママは、その最後の時間で僕に語り掛けてくれたよね。。


「ラザエル、生まれてきてくれて本当にありがとう。

「天の静まり」をあなたに継承するわ。だからあなたはこの技で逃げ切りなさい。


復讐なんていいから、悲しいかもしれないけどママの死は受け入れなさい。

あなたはとにかく、生き続けるのよ。。大切な、私のラザエル。。。」



結局、天の静まりを受け継いだ僕はその場は逃げきった。


そこから僕は死に物狂いで特訓し、体術を磨いたんだ。

もちろん奴を殺すために・・

ママのいないこのゴミみたいな世界で、必死に頑張ったんだよ。


そしてあのときの強盗を見つけて惨殺してから、僕は天界の特殊戦闘員として優遇された地位も獲得できたんだ。。

これもママのおかげだよ。



だから僕は決めたんだ。これから僕は戦闘員として、邪魔者はすべて排除するって。


ママがくれたこの能力と、僕の磨いた技で、悪い奴は全部壊す。


それがママが教えてくれた、「生きること」なんだから・・!)



 ラザエルは逃げることを止めた。

しかしそれは逃げることを諦めたからではない。

「目の前の敵を壊すことを選んだ」からである。


 彼の放った大ぶりの蹴りは田天の首にヒットするも、やはり微動だにしなかった。

次に彼が見た光景、それは目の前の堕天使による攻撃の予備動作であった。


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