闘技の町・ギルデガール
「・・ん?」
サラの薬を飲まされ、田天はすぐに気絶から回復した。頬の傷も消えている。
「気がついたか、田天。」
「へ?あぁ、俺は戦いの中で気絶してたのか・・」
「そうですよ。ルシフェル様の姿をしているのに情けないですね。」
「まったくですよ・・って、うわっ!!」
サラが仲間になったことを知らない田天は、目の前のサラにおびえる。謎の構えをとる田天は、完全に浮いていた。
その後、一行は目の前の町、ギルデガールに入っていった。
ここギルデガールは毎日格闘大会が開かれていることで有名で、その噂は悪魔であるフレイラや天界のサラ、マルクの耳にも届いていた。格闘の町なだけあり、町のあらゆる壁に格闘戦士のポスターが貼ってある。
「ギルデガールの話は聞いたことがあったが、まさかここがそうだったとはな。ラッキーだ、強い仲間をゲットできるチャンスだぞ。」
マルクのテンションが上がる。その隣ではフレイラも別の意味でテンションが上がっていた。
「さーて、どんだけ強いのがいるのか。私が確かめてやろう!」
「まさか大会に出るつもりですか?」
「もちろんだ!ルシフェル・・いや、田天戦では肩慣らしにもならなかったからな。強敵との戦いを欲しているんだよ、私の体は。」
「・・はぁ。」
「ま、とりあえずは宿に泊まって田天を復活させるぞ。」
目についた宿屋に向かい、一泊することにした一行。お金を出したのはマルクだった。
「いいか!次回はお前らのどっちかが払えよ!」
「はいはい。」
その日の深夜、宿からあくびをしながらフレイラが出てきた。静かで誰も歩いていない町のなかを適当に歩く。そして、ポスターを一枚一枚見回っていく。
(さーて・・強そうなのはいるかな~♪
ん?)
ふと前の建物の屋上を見上げると、誰かが立っていた。
「こんな時間になにやってんだ?」
驚異の跳躍力で一気に建物の屋上まで到着したフレイラ。屋上にいた人物がこちらを振り向く。
「・・なんだ、お前か。」
「・・・」
そこに立っていたのは、サラであった。
「なにしてるんだ?」
「・・考えていたんです。この先のこと。この先の、天界のこと。」
「・・・」
「私が帰らない、そしてもちろんルシフェル様討伐の報告も来ない・・はたしてこれから天界はどのように動くのか。
私の予想ですが、まず間違いなく新たな刺客が我々のところにやってくるでしょう。もちろん私よりも格上の刺客が。」