死のタッグ
神々しい光、そしてそれを放つ堕天使。
彼の姿は見るもの全てを引きつけ、圧倒的な存在感を植え付けた。
「よし、行けぇ!全員倒してやれ!」
森の外から見守るギャラリーの中で、フレイラとブレイズが声を荒らげる。
一方サラなど他のメンバーたちは「やっと来たか」「始まるぞ」と、期待に胸を膨らませながら見守っていた。
ただただ驚愕する天使や悪魔たちを横に。。
彼女たちは初めから信じていた。
自分達のリーダーは、必ずやってくれる、と。
「くっ!」
マガルタは隙をつきその場を離れた。
彼の優先事項は勝ち残ること。大ダメージを負った今ここで乱戦になれば負けるのは見えている。
ダッシュで逃亡するマガルタに、ジャキルもラザエルも気がつかない。
なぜなら彼らの興味は、上空に浮遊する一人の男に集中していたから。
「ルシフェルか・・このとんでもない魔力と圧力、ちょっとなめてたかな。」
「田天、だったね。復活したんだ。
殺しはダメだったから手加減したけど、それでもこの短時間で甦るなんて面白いじゃん。」
「・・・・・・。」
ゆーっくり地に降りていく堕天使。
腕をだらんと下ろし、目を閉じて降下を続ける彼は正直言って隙だらけである。
だがジャキルもラザエルも攻撃ができない。
本能で察していたのだ。
今攻撃しては危険、だと。。
田天が着地すると同時に、緊張感がバリバリとはりめぐらされる。
ジャキルは無意識に刀の柄に手をかけ、ラザエルもぎゅっと握りこぶしを作る。
それに対し田天は自信に溢れているのか、ただ立ち尽くしており目も閉じたままだ。
「ルシフェルよ、俺らを倒しに来たのか?」
「・・・ああ。」
「ふーん、じゃあこれならどうかな?」
冷や汗を流しながらもラザエルは平然と振るまい、ジャキルの袖をつかんだ。
「僕とジャキルのタッグチームで行かせてもらうよ?これならいくらルシフェル様の力を持っているとしてもヤバいんじゃない?
ジャキル、いいよね?」
「うーん、まぁいいぜ。
一時的な天使と悪魔のタッグか、おもしれぇじゃねーか。」
目の前でとんでもないコンビができでしまった。
が、田天は動じない。
閉じた目をゆっくりと開き、敵の二人をその瞳に映し出す。
「さぁ覚悟しろよルシフェル。
断言するが俺らが組んだ時点で、優勝は俺らのどっちかに決まったようなものだ。」
ここで田天は初めて微笑んだ。
もちろんそれは和やかなものではなく、、、
「では俺も断言しよう。
ジャキル、ラザエル。お前たちはここで終わりだ。」