空気を切り裂く風の刃
久々の投稿です。お久しぶりです。
「!!?」
突然右を向いて目を見開くマガルタ。
そして彼はそのまま田天と距離をとった。マガルタの行動の意味が分からないまま非力にも横たわる田天。
だがすぐに彼も理解ができた。
鋭い音を響かせながらこちらに迫る危険な「なにか」の存在を。
周囲の空気を切り裂きながら猛スピードでやってきたそれは、風の刃だった。
焦る田天は体をすばやく反らし、刃をかわすことに成功した。
マガルタがいた場所を通過し、風の刃はその奥の木々を切り刻みながら離れていった。
どうやらマガルタを狙った一撃のようだ。
「へぇ、やるじゃん斧使い。てっきりただのゴミかと思ってたよ。」
刃の来た方向からやってきたのは悪魔軍からの刺客、ジャキル。紫色の羽織をなびかせ、右手で握った刀を振るわせながら歩いてくる。
先ほど斧を投げてしまったため素手の状態であるマガルタ。
金色のオーラを両拳に纏いジャキルを見つめる。
対するジャキルは飄飄としたその雰囲気のままマガルタの方に歩み寄る。
ジャキルはそのまま田天を通りすぎる。
「ルシフェル、お前はあとで仕止めてやるから待っとけ。
俺はもう、あの男の強さの方が気になってしかたがない。」
そう言い放ち、ジャキルは田天から離れていった。
「・・・・」
マガルタの目の前までジャキルがやってきた。
彼の不気味な魔力と、その刀から放たれる「謎の力」にマガルタは息を飲んだ。
そして、
「ジャキルといったな。お前が強いのはなんとなく分かる。
実はルシフェルとの戦いで斧をぶん投げてしまってな、それを取りに行っていいか?」
「うーん、、まぁいいや。俺もついていってやる。」
マガルタとジャキルはそのまま斧が飛んでいった場所まで歩いて消えた。
残された田天はゆっくりと立ち上がると、何もできずにマガルタに圧倒された自分の不甲斐なさを憎んだ。
(ダメだ・・まだまだ俺は未熟だ。
技も出せないまま解放すらできずにこのザマ。なんたる非力・・
くそっ・・・くそったれ・・・!!)
その場ですさまじい魔力の爆発を起こし、周囲を吹き飛ばす田天。爆風の中から現れたのはルシフェルへの解放を済ませた彼の姿あった。
蒼く光る彼の瞳の奥にはたしかな『赤い闘志』が見える。
(行こう・・マガルタはたしかに可哀想な人だけど、、俺は俺のためにこの戦いに勝つ!
二人まとめて潰す!)