マガルタの強さ
モンドの魔力が最高潮に達したとき、マガルタは斧を両手で持って構えていた。
まるで野球のバッターかのようなその構えを、田天含め全員が息を飲んで見守る。
(あの攻撃を・・打ち返すというのか?)
「わははは!魔力がマックスまで溜まったぁ!
ルシフェル、貴様を後ろの森ごと消し飛ばしてやる!」
森が消えてしまっては撮影の舞台が無くなることになる。ダーラはあせあせと落ち着きなく振る舞うが、マガルタは彼を見て首を横に振る。
「大丈夫だ、森は消えん」
「くらえ!『モンド砲』!!」
モンドの右手から勢い良く放たれた魔力の弾はルシフェルに向かって突き進む。
あまりの衝撃にモンド砲の通り道は地面がえぐれ、軽いソニックブームすら起きている。
そんな凄まじい攻撃に、マガルタはみずから飛び込んでいった。
そして、
「はぁぁぁぁぁ!!!」
斧をフルスイングしそれをモンド砲にぶつける。
モンド砲は斧に衝突したことによりその場で止まった。しかしそれはモンドが必死で食い止めているからであり、彼が力を抜けばセルビアの森を本当に消滅させかねないほどの威力を誇っていた。
「嘘だろ?モンド砲を物理的に止めただと・・!?」
この技に絶対の自信を持っているモンドは目の前の光景にただひたすら驚く。
田天はモンド砲の威力を見ただけでもなんとなく把握でき、それを止めたマガルタに対し、一種の「恐怖」を感じていた。
これから戦う相手の強さをここで初めて目のあたりにしたのだ。
「山すら吹き飛ばす俺のモンド砲・・悪魔軍でもこれ以上の技はそうそう無いというのに・・」
「悪魔も天使も関係ない、このマガルタはすべての種族を超越した最強の戦士だ・・
でりゃぁぁ!!!」
ついにモンド砲を打ち返したマガルタ。
そのまま弾はモンドのほうに帰っていき、猛スピードで彼の目の前まで迫った。
(悪夢だ・・モンド砲がこの短期間に二度も破れるなど・・・)
どでかい爆音を響かせながらその場で大爆発が起きた。
それを涼しい顔で見守るマガルタ。そしてそんな彼から目を放せない田天。恐怖はさらに大きくなっていた。
爆煙が止むと、モンドが辛うじてたっていた。
もはやその目には田天ではなくマガルタしか写っていない。
「な、何者だ貴様・・なぜ打ち返せた・・?その斧も・・なぜ壊れない・・?
やはりこれは悪夢か?それとも・・・・」
倒れこむモンド。勝者は斧をしまうとモンドを指差し、
「次は貴様が『ああなる』のだ、ルシフェルよ」
その不適な笑みを浮かべるマガルタを、甘く見る者などもう誰もいなくなっていた。