招かれざる客
昨日と同じく田天に敵意むき出しのマガルタ。
目は冷たく、しかしその瞳の奥にはメラメラと燃え上がる炎が見えた。
田天はそんな彼に向かって『一応』和解を試みる。
「信じてもらえないと思うけど、俺はルシフェルじゃないんだ。
本当は異世界からやってきた人間で、悪魔の技によってこのルシフェルの体に魂だけ転位してるんだよね。いや本当に」
「・・言い訳にしては下手だな」
「やっぱりそうなるよね・・」
肩を落とす田天。そんな彼の背後からブレイズが疑問を投げ掛けた。
「マガルタ!お前、村の娘は諦めたのか?」
「ああ。こいつに白光樹を消されて以来、一度も話しかけなかった。
そして気づいたときには彼女は村からいなくなっていた・・もうどこにいるのかすら分からない」
「けっ!へたれがよぉ!」
空を見上げながらやれやれとあきれるブレイズ。
「なに・・?」と怒りを露にするマガルタに彼は言い放つ。
「本当に好きなら木が燃えたくらいで諦めんなよな!
それとも、しょせんその程度の想いだったのか?」
「・・・」
うつむくマガルタだったが、そのまま背中にかけた斧をスチャっと取り出す。そしてブレイズにその先端を向け、
「黙れ、もはや過ぎたことだ。
今はそこのルシフェルを殺せさえすればもう俺はそれで満足なんだよ。」
(いや、それなら白光樹の件も『過ぎたこと』で済ませてよ)
心のなかでつっこむ田天。他のメンバーも同じ思いであった。
そのとき、彼らのいる場所が突然陰となった。上を見上げると小型のドラゴンが飛んでいる。
そしてそのドラゴンから一人、何者かがさっそうと降りてきた。
茶色いローブをまとっているため姿がよく見えないが、悪魔特有の禍禍しい魔力を田天は肌で感じた。
「見つけたぞルシフェル
・・・どうやら『あいつ』はまだ来てないようだな、ラッキーラッキー」
ローブを脱ぐと、その男はやはり悪魔であった。
そしてその場で唯一、元悪魔軍であったフレイラだけが彼のことを知っていた。
「悪魔将軍・・モンド・・!」
自分の名を呼ばれフレイラのほうを向く悪魔、モンド。よく見ると顔に大きな傷がついているようだ。
「誰かと思えば裏切り者のフレイラか。まぁお前はあとで片付けるとして、
ルシフェル!今から貴様を始末する!このモンド様がな・・!」
そういうとモンドは右手に魔力を溜め始めた。急速に集まった魔力はその一帯に大きな揺れを引き起こす。
グラグラと揺れる地面に、空気中を伝わる震動。
田天は直感でヤバイと感じるも、やはり都合良くルシフェルの力を解放することはできず
(いまあれを喰らったらまずい・・!)
困惑する田天の後ろでフレイラ、サラ、カレアの三名は戦う準備をしていた。
今こそパワーアップした己の力を試すとき!そう各々が考えていた矢先、
「ここは俺に任せてもらおう」
と、名乗り出たのはマガルタ。彼は斧を構えて田天の前に立つ。