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目覚めたら堕天使ルシフェル  作者: キメラテック
『四つ巴』の防衛戦
112/147

戦場の映画監督・ダーラ推参

マガルタは斧を振り上げた。田天はマガルタのすぐ目の前で構えているため、このまま斧を降り下ろせば確実にその被害を受けることになる。

しかし田天は引かない。冷静にただひたすらマガルタと彼の斧に意識を集中させる。


「強くなったな・・。」

感心するマルクに、他のメンバーも賛同していた。

そして彼らは、あえて誰も手を貸そうとはしないようだ。今回の敵は田天への課題として、みな譲る気持ちがあったからだ。



「ちょっと待った待った!君たちちょっと待った!」

突如聞こえてきた第三者の声に、目だけそちらを向く田天とマガルタ。

そこには小太りのおじさんがおり、なぜかビデオカメラを右手に持っている。

汗だくのまま二人に歩み寄るおじさん。そして、


「私は戦場映画監督のダーラ。聞き覚えはないかね?」

(戦場映画監督・・?)

初めて聞くフレーズに固まる田天を除き、全員が目を輝かせてダーラに注目する。

「おお!お前があの有名な戦場映画監督か!」

「ダーラといえば数々のヒット作を生み出すことで知られる超一流の映画監督じゃないですか。」

どうやら田天だけが彼のことを知らないようで、この世界では有名な人物らしい。


目の前のマガルタもなぜか田天を置いてダーラにサインを求めている始末であるため、田天も緊張を解いてダーラに話しかけた。

「す、すみません。戦場映画監督ってなんですか?」

「おや、君は私を知らないようだね。」


戦場映画監督とは名前の通りの職業で、あらゆる戦場に赴いては撮影し、それを後で編集することで映画を完成させるという仕事をこなしているようだ。

台本はなく、目の前で起きている「本当の戦い」を写すことで視聴者に迫力やリアリティを届ける。しかもそれをきちんと映画として成立させるのはかなり難しい。

さらに言うとその戦場から「生きて帰ってくる」必要がある。その難易度ゆえ、誰もダーラのマネをしようとするものはいないのだ。



「天使のきみと戦士のきみ、今戦おうとしてただろう?

私の勘が告げている・・この戦いは『映画にできる』と!」

「は、はぁ・・」

「頼む!戦いを明日の10時からにしてくれないか!?場所は私が指定する。

もちろん私の撮影も同時進行で!

頼むよ!間違いなく傑作になるはずなんだ!」

「よかろう!!」

マガルタはあっさりと承諾した。もはや田天への怒りはどこかに消えているようだ・・。



「では明日の朝10時、ここから南に行ったところにある『セルビアの森』で戦ってもらう。

ちなみに勝ったものには豪華商品もあるぞ!では頼んだぞー!」

そう告げるとなぜかどこかに走り去ってしまったダーラ。

正直田天にはまだよく状況が理解できていない。


「田天!凄いよダーラさんに目をつけられるなんて!」

「もし映画がヒットしたら、俳優へのスカウトも来るんじゃない?」

盛り上がるアロマとカレア。

アロマはいいとして、傭兵であるカレアも戦場映画監督にテンションが上がっているところを見ると、やはりダーラという男はただ者ではないようだ。


そして冷静に考えて、田天は思った。

この世界にも映画はあるのか、と。

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