殺戮天使ラザエル
「ん~、地上に降りたのはいいけどサラたちはどこだ?」
天界から部下の天使約50名をつれて地上にやってきたラザエル。
紫色の髪と銀色のローブというかなりめだつルックスをした子供の天使。
彼は上層部からの指令で田天抹殺を行うことになったのだ。
「ラザエル様、どうやってやつらを探しましょうか?」
「うーん、まぁ僕に任せてよ。」
そう言うとラザエルは目を閉じ、全身から光を散らし始めた。
花火のように舞う光たちに部下の天使たちは見とれている。「・・・はい分かった。あっちの方角にサラがいる。」
「え!?今ので分かったんですか?」
「天使特有の魔力は天使特有の魔力と反応し合う。
特にサラの魔力は独特で面白い色をしている。間違いない、あっちにいるよ。」
ラザエルは指差す方へ飛んでいった。部下たちも慌ててそれを追う。
その時だった。ラザエルの前に二名の悪魔が現れた。
茶色いローブを着た赤と青の悪魔。どうやら兄弟のようだ。
青いほうがラザエルを指差した。
「お前、天使ラザエルだな。」
「うん。で?」
「やっぱりな。じゃあお前を倒せば俺ら『バークブラザーズ』の地位も上がるわけか。」
バークブラザーズの名を聞いたとたん、ラザエルを除く天使たちがざわめき始めた。ニヤリとわらうバークブラザーズ。
「僕はよく分かんないや。分かる?」
「はい、バークブラザーズといえば悪魔軍のメンバーです。一人一人の実力ももちろん高いのですが、兄弟のコンビネーションを使えば悪魔軍隊長クラスの実力を発揮すると言われている、残酷残忍な二人組です・・。やつらには天使が何名かやられています。」
「・・ふーん。」
スーッとバークブラザーズに近寄っていくラザエル。バークブラザーズは目を見開く。
「おいガキ、それ以上近づくと八つ裂きにするぞ!」
「・・いいね、やってみてよ。」
いっさいスピードを落とさないラザエルに、二名の悪魔は飛びかかった。
数秒後、兄弟悪魔の死体が岩場の上に重ねられていた。
その上空でつまらなそうに、手についた血を舐めるラザエル。天使たちは目の前で起きた惨劇に震えが止まらなかった。
(ガブリエル様の直属の部下ラザエル様。まだ子供でありながら優れた知力と戦闘力を持つ天才児と言われ、特殊な依頼の時にだけ動く“戦闘要員“。その実力は一億人いると言われている天使のなかでも10本の指に入ると聞く・・紛れもない化け物だ。)
「さ、気を取り直して行こうか!
こんなゴミどもと遊んでる場合じゃないからさ。」
部下たちに見せたラザエルの子供らしい無邪気な笑顔。
しかしその目の奥にはたしかな『闇』が見えた。