新たな『炎』と新たな『旅立ち』
ブレイズはうつむいて黙ってしまった。
ここではたしかにこれからの成長はもう望めそうにない。それは彼自信もよく分かっていたのだ。
(恩返しねぇ・・たしかにな・・・)
「おもしれぇじゃねーか、分かったよ。激変して帰ってきてやるから覚悟してろよジジイ・・!」
恩師に背を向け、豪快にドアを開き出ていくブレイズ。
マグニは全く姿勢を変えず、ただ畑をずっと見ていた。
「・・どうでもいいが、あいつの加入を勝手に決めてるけど許可するか私たちに聞けよな。」
「まぁ、いいと思うけど。私は賛成だよ。」
「私も。」
「なかなか面白いやつだし、連れていこうじゃないか。」
ミニ会議を済ませた田天らに、マグニがいつの間にか用意していた紅茶をさしだした。
ここでの最後の休憩時間を過ごす田天たち。
「あいつは・・ブレイズは、弱いが絶対諦めない熱い男だ。あいつの根性はきっとどこかで役に立つと思う。仲良くしてやってくれ、頼む!」
深く頭を下げるマグニに焦る一同。田天がすぐに顔を上げさせた。
「さて、じゃあ元気でな。
みんなここでの経験を糧に、これからも頑張るのだぞ。」
最後の挨拶を済ますと、みんなは小屋を後にする。
ただ田天だけはマグニに呼び止められた。
「田天よ、経験を積んだとはいえまだまだお前は弱い。これからでかい困難がやってくるはずだ。
その時はブレイズや仲間たちの力を借りて乗り越えるんだ。
この異世界に来たという事実は、お前にとってプラスにもなるんだからな。」
「はい・・!」
「それと、セブンスペルズの『シャーク』という男に会ったら、生きたままワシのところへつれてきてほしい。」
「へ?なんでですか?」
「・・少し説教しなきゃならんのでな。
ま、別に忘れても構わんがな。元気でな、田天。」
「そちらこそお元気で、マグニさん。」
小屋を出た田天にブレイズがつっかかった。
「遅いわ!俺が出てからどんだけ待たせるんだよ!」
「いや、勝手に出ていったんじゃん。」
「まさかティータイムに突入するとは思わないだろ。」
こうしてブレイズが田天パーティに加わった。
この炎のように熱い根性の塊のような男が、これから大きなキーになることなど誰も予想だにしなかった。