始まっていた田天の成長
修行が始まり数日が経った。
田天やマルクらが農作業を行っている中、離れた空き地でマグニはフレイラに稽古をつけていた。
マグニは妖術のようなものが使えるため、それによって産み出されたゾンビの群れを相手にフレイラは立ち回る。一体一体は弱いため一撃で消滅してしまうが、無数の群れを絶えず相手にすることで彼女の体力は確実に減っていく。
「・・うむ、いったん止め。
今倒したので1000体目じゃが、タイムが良くなっておる。成長した証拠じゃな。」
「はぁはぁ・・。」
「さて、ある程度のスピードや体力を底上げできたし『サタンスタイル』の持続時間も上がったかもしれんな。
ワシが教えた“コツ“を思い出しながらやってみぃ。」
「その前に一ついいか?
なぜ田天の稽古はつけてあげない?」
みなが気になっており田天自信も聞けずにいた質問をぶつけた。
マグニはフフッと笑いながら答えた。
「もう始まっておるよ、あいつの修行は。」
「は?」
「仕事をするという修行がな・・。」
「・・。」
マグニは田天の最終目標が分かっていた。だからこそあえてフレイラのような稽古の時間は設けず、“それ“に時間を注いでいるのだ。
「あいつはポンコツだが、真面目で優しい。絶対に逃げ出したりはしない。
ここで作業を続けていたら間違いなくあいつは、来た頃よりも頼もしくなる。そしてそれは戦闘においても必ず役に立つはずじゃ。」
「・・なるほどな。」
遠くのほうを見るフレイラ。目線の先に田天はいないが、たしかに彼のいる方向を向いていた。
「ところでサタンスタイルってダサいな。ワシが名前変えてやろう。」
「・・なにさ。」
「そうだなぁ・・・」
その頃農作業組は休憩タイムに突入していた。
ルシフェルの体のおかげで体力的には全然疲れていない田天だが、まだまだ精神的な問題で疲労が溜まっている状態だ。
そんな彼のもとにマルクとブレイズが歩み寄る。
「頑張ってるな、田天。」
「うん、頑張ってはいるんだけどいかんせん手際が悪すぎて・・」
「気にすんな!間違いなくスピードも正確性も上がってる。
“慣れ“が見えてきたんじゃねーのか?田天。」
「ブレイズ・・」
「やればできるじゃねーか!」
ガシガシと田天の肩を叩き笑うブレイズに、田天もほんの少しだけつられてしまった。
その様子は残りの面々にも活力を与えたのであった。
こんばんは。
これから更新スピードが落ちると思いますが、引き続きよろしくお願いします。
モチベーションによってはいったん休むかもしれません、そのときはすみません。