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黒衣を纏いし紫髪の天使  作者: 閻婆
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第30節 《溶け落ちる液体生命体 仏は地獄の炎を与えるか》 2/5

今回は脱出劇になるかと思います。要塞の内部に異変が起きるから、脱出を試みるメンバー達の話になります。戦闘は無いですが、脱出の為のやり取りがメインになるかと思います。しかしただ脱出するだけのはずなのにそれでもなかなか終わらないなんて……。









           元々は極彩色の植物が茂る謎の地帯


           そこに建設されていたとある小屋の内部で戦いが始まった


           しかしそこの5人は刺客の生命体を無事に討伐する


           そして、今は脱出を拒むかのように地面が揺れ始め……






「ん? 何これ? 地震!?」


 コーチネルは足元が揺れたのを確かに感じ取り、思った事をそのまま口に出す。


「まあ言わなくても誰でも分かる事だけどね? これがあんたの言う起爆装置ってやつ?」


 青い魔導服の少女であるレフィは、銀髪の少女がまるで答え合わせのように出してきた単語に対して言い返した。


 そして魔剣が変化した物である拘束具で上半身を縛り付けられている野盗の男に対し、レフィは今の状況を作った張本人だったのかどうかを問い詰める。




「俺が作動させたのは間違いねぇぜ? だけど爆破はしねぇよ。ここの出入り口を封鎖してやってんだよ。地響きはそれが原因だぜ?」


 レフィに視線を向けられた野盗の男は、拘束された状態でありながらも、なんだか偉そうな表情を作りながらこの地響きの原因が自分であると淡々と口にした。


 しかし、爆破の為の仕掛けが動き出した訳では無く、出入口として機能していたであろうワープ装置が機能を停止する事で周囲の空間が激しく揺れていた、という事態だったようだ。


「お前オレらの話聞いてたのか? 出口塞いだって意味ねぇっつったろ」


 昆虫の複眼のような特殊な構造の黄色の眼を、ディマイオは野盗の男に向けた。表情は直接出る事は構造上の関係で無かったが、口調は呆れのものが見えていた。野盗の男が強がり続ける意味が理解出来なかったのかもしれない。


 実はもう先程、この場にいる者達全員が出入口に頼らなくても脱出する手段を持っている、或いは頼る事が許される相手がいる事を証明させていたのだ。




「それはやってみねぇと分かんねぇぜ? 出られる保証なんかあるのか?」


 野盗の男は不安を煽るかのように、皆の脱出手段が本当にここで有効に扱われるのかと、皆に言い放つが、皆の表情は特に変わらなかった。


「もういいだろ? こいつの言う事なんかほっといてさっさと出ようぜ? 保証も何もおれらは今までそうやって普通にやってるからな?」


 濃い紫で染まっている忍の装束を纏っているガイウスは、男の煽るような言い方に対して興味も感じず、そしてただの時間の無駄だとしか思えなかった為、自分達の脱出手段に欠陥があるとは一切思わないような形で実行に入ろうとする。




「もうほっとけほっとけこんな奴。じゃあさっさとおさらばしちまおうぜ! ディマイオとお前ら2人はお前らで何とか出来んだっけか?」


 鳥人のフィリニオンもやはり野盗の男の泣き言に付き合う気は無かったようで、そして能力の有無をまだ直接見た事が無かったディマイオと、そしてコーチネルとレフィに対し、手段を持ち合わせているのかどうかを聞いてみた。


「まあそうだな。オレはこいつにワープさせるからお前らはお前らでやって平気だ」


 質問をされた以上は答える必要があると、ディマイオは自身には手段が無いものの、一緒にいる者が自分をワープさせてくれるという話である為、取り残される理由は無いようだ。


 一応は自分自身は転送してもらう立場であるはずだが、今の言い方が許されるのは長い時間の付き合いによるものだったのだろうか。




「じゃ、おれ達は先にテレポートしちまうぜ。こいつはおれが連れてく事にするわ。コーチネル、その縛ってるやつ外してくれよ? これ持ってったら困るだろ?」


 最初にこの揺れる空間から瞬間移動を決めようとしたのはガイウスであった。そして、捕らえた野盗の男に関してはガイウスの方が請け負う事を決心したようであり、そして男を縛り付けているのはコーチネルの武器でもある存在であったから、それを纏めてテレポートで持って行ってしまうのは流石に不味いと感じたらしい。


 野盗の身体に巻き付いている拘束具を指差しながら、コーチネルに解除を頼んだ。


「ガイウス、送ってくれるの? 分かった、じゃ、今解除させちゃうわ」


 野盗に関しては誰が連れて行くのかを話し合っていなかったが、突如ガイウスが担当すると自分で言い出した為、コーチネルは少しだけ戸惑ってはいたが、任せてもも問題は無いだろうとその場で判断するなり、右手を伸ばして少しだけ手元に力を込める。


 野盗を拘束していた機具が、男から離れて少し遅れてから魔剣に戻り、それがコーチネルの手元へと戻ってくる。


 そしてガイウスとフィリニオン、そして身体が自由になった野盗も突然身体が光り始める。




「じゃ、ばいばーい」


 ガイウスはテレポートを発動させる準備段階に移ったのだろう。自分の姿が消える前に、なんだか気が抜けたような別れの挨拶を聞かせていた。


「生きて会えたらまた会おうぜ?」


 フィリニオンも今回初めて出会った者達の事はそれなりに気に入ったようであり、残り数秒で離れてしまうであろう短い間共に戦った者達に別れの挨拶を言葉だけで終わらせた。




「うわぁ俺もか!」


 野盗の男は自分が連れていかれる事を想定していなかったのかもしれないが、ガイウスに物理的に押さえ付けられていた訳では無かったが、身体が光っていたのは事実であり、そして、能力はその場で実行された。




――光に包まれた身体は、光が薄くなるのと同時に身体そのものも消滅させていった――




「さっきガイウス君って1人だけしか一緒に出来ないって言ってなかったっけ?」


 ガイウスの発動させたテレポートを見ていたレフィであったが、少し前に自分以外の者も1人だけであれば共にワープをさせる事が出来ると聞いており、今はどう見ても2人を共にワープさせていた為、説明に矛盾が生じていたとコーチネルを見ながら、反応を待っていた。


「少し力強めただけでしょ? いいってそんな細かい事。それよりディマイオ、まずあんたにやるね!」


 魔力等の力を使った能力なのだから、注ぐ量を増やせば1人よりも多く対象にする事が出来るは普通であるとコーチネルは言い返していた。


 レフィに短く言い返した後に、未だに床が揺れている部屋の中で、コーチネルは紫の半袖シャツの左の袖を右手で捲り上げた。袖で隠されていたリングに右手を添え、リングから光を受け取るなり、右手に移った光をディマイオへと向けた。


 原理は簡単では無いのは確かだが、言動が何だか無理矢理に速く行おうとしているようにも見られていたかもしれない。




「別に焦んねぇでいいぞ? お前がいねぇとオレどうしようもねぇし」


 ディマイオは別に相手に対して急ぐ事を強要させるつもりは無かったようであり、そもそもディマイオ自身は自分ではワープを発動させる事が不可能である為、寧ろ扱いを間違われてしまう方が困るようでもあった。


「はいはい」


 手慣れた返事を見せたコーチネルは、ようやく念じる必要があるものを全て頭で整理させる事が出来たのか、伸ばしていた右手から光をディマイオへと発射させる。




「よし、じゃあディマイオ、向こうでね!」


 ガイウスの時のように光に包まれるディマイオを見ながら、コーチネルは互いに無事に外の世界で対面が叶う事を願いながら、そんな気持ちを込めた言葉を渡した。


「サンキューな。怪我すんじゃねえぞ?」


 ワープを自分の為にしてくれた事にやや雑な感謝を渡しながらも、ディマイオは何かトラブルでも予想したかのような心配をしながらもコーチネルの今の笑顔を外でもまた目にする事が出来る事を期待でもしながら、その場から消えていく。


 この場に残されたのは、銀髪の剣士と、金髪の魔法使いだけとなった。




「あ、そうだ、所でコーチネルその装置の事ちゃんと分かってる?」


 レフィはコーチネルの使っていたワープ装置を他所で見た事があったのだろうか、コーチネルの左腕を指差しながら理解があるのかどうかを確かめる。聞かなければいけないという不安がその時レフィの中で渦巻いていたようだ。


「分かってるって、どういう事? 普通に転送は出来るから別に、大丈夫、じゃん?」


 コーチネルからするとワープ装置の使い方を熟知はしていたつもりだったらしい。相手を転送する方法は理解していたはずだが、何か欠陥でもあったのかと、言い切りこそするものの何だか嫌な予感が頭を(よぎ)った可能性もある。




「違うって! それ使ってる本人は転送出来ないからね? わたしそれ見た事あるから、ってコーチネルそれ知ってた?」


 レフィが言いたかった事は、相手を転送する話では無く、それを使用する本人に関する話だった。焦るような表情でレフィはコーチネルの今度は左腕では無く顔を差しながら使用者自身でワープは不可能であると説明する。先程のコーチネルの様子を見て、理解をしていないのは明らかであった為、黙ってはいられなかったのだろう。


「え……嘘……? そう、なの?」


 それは理解が無かった事を意味する反応と見て間違いは無いはずだ。もしここにそれを知っている者がいなかったら自分はどうなっていたのかと、コーチネルは想像したのだろうか。


 怖がるような表情で、レフィに続きを訊ねようとしていた。




「良かったねわたしがいて! まあいいや、わたしが魔力でワームホール作ってそれで脱出させてあげるから大丈夫! 条件はあるけどね!」


 自分の存在がコーチネルの存亡を決定させた事をわざとアピールするかのように、そして自分がいるからこそ本心から助かったと安心してほしいという気持ちの表れでもあったのか、レフィは自分の顔を親指で差しながら自分がコーチネルと共に脱出が出来るように魔力を発動させると伝えてみせた。


 しかし、対価が必要となるらしいが。


「それは助かったわ……。でも条件って、何よ?」


 やはりレフィはこのような場面で良い所を見せてくれると安堵の様子を口調で見せていたコーチネルだが、やはり条件の方が気になる所だ。


 まさか嫌な代金でも請求してくるのだろうか。




「対価みたいなものよ! わたしの顔の前でお尻向けて前屈みになってくれれば――」

「ふざけんなって! なんでそんな事しないといけないのよ!?」


 やはり言葉の通りだったようで、レフィはコーチネルの下半身に視線を落としながら、そして妙な笑みを浮かべながら特定の行動を要求したが、コーチネルの怒声によって対価という名の欲望を打ち砕かれてしまう。そしてコーチネルの左手も、まるでこれからレフィに物理的な打撃を与える事を告知するかのようにレフィの右肩を乱暴に掴んでいた。尤も、掴まれていたのは魔導服ではあるが。


 折角レフィを評価し直そうと思っていた矢先に相変わらずな欲望が露出された為、折角心の中で渡そうと思っていた評価も取り止めになってしまった事だろう。




「分かった分かった冗談冗談!! それは嘘! 兎に角わたしに任せて! ふざけてごめんごめん!」


 一応はある意味でレフィの方がコーチネルの命を握っているような状況ではあるが、流石にコーチネルの怒りに包まれている表情には勝つ事が出来なかったのだろうか。そもそも相手は友達であり、見捨てるなんていう選択もレフィの性格上まず不可能であった為、妙な対価は要求しない事を約束すると、焦りながら謝罪をする。


 折角助ける代わりにスカートの内部を覗き込めるとにやけていたものの、流石にこれ以上怒らせてしまえば今後の関係にも支障が出るとしか思えず、今は謝る事しか出来なかった。




――気持ちが通じたのか、コーチネルの左手が離れてくれた――




「まあ……でもレフィがいてくれなかったらあたし絶対助かってなかったから、まあとりあえずワープホールってやつ、用意してよ」


 レフィの要求には腹が立ったのは事実だったコーチネルだが、それでも今はレフィとコーチネルしかいない状況で、脱出手段で頼れるのはレフィだけである。


 自分の為に尽力をしてくれるのは事実である為、レフィに脱出の為の魔法を発動してもらうように頼み込む。


「分かった、頼る時はとことん頼ってね! それとワープホールじゃなくてワー、ム! ホール、ね?」


 レフィも自分が誰かの助けになるのであれば、張り切らずにはいられなかったようだ。テンションを上げながら、両手を前に突き出し、青い瞳に力を込める。


 そして、コーチネルの名称の言い方に誤りがあったようであり、1文字だけを強調させながら正しい名称を説明してやった。




「はいはいごめんね。あたし魔法の知識なんて無いから」


 名称を間違えて口に出した事が想像以上に何かレフィに突き刺さったものがあったのかと、コーチネルは面倒そうに雑な謝罪をした上で、そして間違えてしまった理由もまるで開き直るかのように喋った。


「その魔剣も魔力で動かしてるんだから無いっていうよりは勉強不足じゃない?」


 レフィは勿論両手は前に突き出したままの体勢ではあるが、ワームホールを生成させる準備を維持させながら、コーチネルの開き直り方に鋭い指摘を飛ばして見せた。


 コーチネルも完全に魔法と無縁の戦闘スタイルを採っているのだから、知識を一切持ち合わせていないというのは変だと睨んだようだ。あくまでも知らないものが存在したというだけで、完全な無知というのはありえなかったとしか思えず、そしてコーチネルを無駄に怒らせるかのように嫌らしく目を細めながら見つめていた。




「いいからさっさと作れっつの」


 魔力に関する知識はどうしてもレフィに勝つ事が出来ていないコーチネルからすると、自慢をされているようで腹立たしくも感じた事である。剣技を主体にして戦っている身である為、魔法主体で戦うレフィと知識勝負しても確実に敵わない事も分かっているはずだ。


 本当は脱出用のワームホールを用意してくれる事に感謝をする必要があるのに、苛々した感情が感謝の気持ちを妨害してしまう。


「やってるって! でもそういうやり取り見せてくれるコーチネルの事わたし好きだからね? あ、ラブじゃなくてライクね?」


 言葉の通りだったはずだ。レフィは両手を伸ばしたまま、魔力を込めているというのにまるで手を抜いているかのように疑われていた為、それは無いとややきつめな口調で言い返した。


 とはいえ、自分の言い分に対して必ず言葉を返してくれる為、それがまた好きであると伝えて見せたが、どのような形で好きなのかは誤った認識をされたくなかったようでもあった。




「何言ってんのさっきから? 所で、あんたの作るそのワームホールって、凄い熱持ってるみたいだけど、なんか周り暑くない?」


 コーチネルはレフィの意図がよく分からなかったが、相手としては自分が妙な事を言ったとしてもそれなりに前後が噛み合った返答をしてくれる事を評価したり、自分を突き放さないで関わってくれる事に感謝をしたかったのかもしれないが、やはり素直に受け止めてやろうとは思えないだろう。


 そして、なんだかワームホールが徐々に出来上がっていく中で、室内の温度が上昇しているような空気を感じ、本来のワームホールは熱を持つものなのかと訊ねる。


「いや、わたしのワームホール別に熱なんて持たないはずだけど。多分誰か来てるんだと思うよ? 勿論……」


 どうやら熱の原因はレフィの用意しているワームホールでは無かったようであり、熱源はもっと別の場所から発生していたらしい。


 それは自身の魔力の二次作用で発生している現象では無く、自分とコーチネル以外の者が近づいてきている証拠だと疑っていた様子だ。


 既にその時は、先程までのふざけた表情なんかでは無く、一歩間違えれば命を奪われる現実を突き付けられているような険しい表情を見せていた。




――相手の返答を挟む事も許さず、再びレフィは説明を開始する――




「わたしらにとってやな奴がね!」


 レフィはワームホールを生成させる為にどうしても目の前に集中しなければいけなかったが、背後、機械設備が並んだ扉とは反対方向に位置する場所を睨みつけながら、自分達にとって確実に不都合としか思えない者が迫っている事をコーチネルへと伝えた。


 機械設備のある方向に恐らくはコーチネルも目を向けていたと思われるが、床が小規模に燃え上がっており、そして突然何かの合図を示すかのように突然人間1人分程の高さにまで炎が立ち上がり、そしてレフィの言っていた通り、本当に何者かが現れた。









少女剣士のコーチネルと魔女のレフィのやり取りも結構好きだったりします。女同士だからこそ出来るやり取りもあると思いますし、多少エッチなレフィとそれを拒むコーチネルのやり取りはなんか個人的に……。まあそれが読者にウケないと話になりませんのでそこは努力が必要になると思いますが。

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