第26節 《野盗の巣窟への進撃 要塞の中は異形の亜空間》 5/5
とりあえず今回の節はこれで終わりです。ただ、野盗らしい明らかに変に性欲のある男にやられてしまうシーンがあるのでちょっと年齢制限にかかってしまう危険が……。ただ、流石に露出とかそういうのは出ないはずなのでまだマシかもしれませんが。
男はこれから少女を連行するらしい
エルフ達の救助のはずが、既に精神を犯されたエルフに逆に捕まった
捕まった少女は男によって別の場所へと移動させられるようだが
現れた男もまた、少女が嫌うような臭気を放っており……
「お前達! 何をしてるんだ! 鮮度のある人間はお前達が味わうにはまだ早すぎるぞ!」
小屋に入ってきたのは、まるで浮浪者のような薄汚い服装と、口元を激しく覆い隠すかのような分厚い黒い髭と、そして頭部を無造作に覆い尽くす乱れた黒の長髪が非常に目立つ男であり、外見に合わせているかのようにその声色も非常に濁っており、汚らしい。
堂々と格子の入り口を開き、牢屋の内部へと入り込む。
「あぁおっさぁん来ちゃったの? まあしょうがないか」
エルフ達はやってきた薄汚い男性とは顔見知りなのだろうか。同じ空間で生きていたから、仕事の過程で顔を合わせる機会も多かったのかもしれないが、呼び方を見る限りは心からは尊敬されているとはとても思えない。エルフも肌が汚れており、あまり男と比較出来る立場では無いかもしれないが、髭が無いだけ男側よりはまだマシなのだろうか。
「さっさと済ませてきてね。あたしら最近ストレス溜まってんだからさぁ」
敬語を使う様子を見せないエルフだが、担当の男は態度には慣れているのか、男の視線も態度も、そして表情も一切変わっていない。寧ろいつもの光景であるかのようにまずはエルフ達の方へと細い目を向けていた。
「お前達の事情なんかどうでもいい。それより、こいつ……かぁ」
牢屋を管理しているであろうこの男はエルフ達の感情や言い分をまともに受け取るような姿勢を見せないかのような言い方で事を終わらせるなり、壁に両手と両足を打ち付けられている銀髪の少女を見ると一気に元々下卑た顔に更に欲望に塗れた汚い表情を作り、壁に寄り掛かるように少女に接近する。
「誰よ……あんた!? 近寄るなって!」
銀髪の少女は両手と両足を鎹のような物で押さえ付けられているせいで男から距離を取る事が出来ない。男が確実にこのエルフ達と、そして先程までこの小屋の中にいた太った体格の男達の仲間である事は理解出来たが、どちらにしても近寄られて気分が良いはずが無い。
脂で汚れているとしか思えないようながさついた皮膚と、そして女性からすると生理的に受け入れにくい可能性すらある派手に伸びた荒れた髭と、ここの空間にいる者達は自分達から出る臭気を意識しないのかと問い詰めたくなるような嫌な異臭が銀髪の少女からすると全てが受け入れる事が出来ず、距離を離すように怖がりながらも力無く叫ぶが、それが叶うとは思っていないだろう。
「随分上物な女だなぁ」
男は自分の外見の汚さを一切弁えず、身なりの整った銀髪の少女をまるで自分の物にでもしようと企んでいるかのような品の感じられない表情を浮かべた。整った顔を至近距離で眺めながら、単刀直入な評価を言い放つ。吐息が確実に少女にかかっているが、その影響なのか、元々嫌がっていた表情が更に苦痛で歪んでいた。
少女の気持ちを想像すらせず、今は黙っているエルフ達に視線を向けた男だが、エルフの1人が持っている物が気になったようだ。
――エルフが右手に何か刃物を持っている事に気付き……――
「ん? お前なんだそれ? まさかこいつを刺そうとしたのか? よこせ!」
男はエルフが持っていた刃物、それが短剣である事を理解するが、同時にそれをどのように使うのかを悟り、それが自分の都合に悪いと判断したのか、すぐにエルフの傍らにまで早歩きで近寄るなり、強引に短剣を奪い取ってしまう。
「別にいいだろ? こいつ生意気なんだから、痛い思いさせた方が良かったんじゃない?」
エルフは男の力に特に逆らう様子も見せずに素直に奪い取られてしまったのだが、最終的な決定権は男にあるようであり、男が知らない場所で生意気な振る舞いをしていたのだから、罰として短剣で痛い思いをさせようという提案を男に持ちかけるが、それは伝わるのだろうか。
「駄目だ駄目だ! こういうのは下手に傷なんか入れたら一気に価値が暴落する」
性別は同じでも種族が異なるエルフよりも、性別は異なるが種族は同じ人間であるこの男の方が、人間の少女の価値を理解しているようであり、刃物なんかを身体に入れてしまえばそれが何を意味するのかを男はよく分かっているつもりらしい。生きているこその輝きであり、それが失われれば折角の外見や性別が無意味になると考えているのだろう。
だが、所詮はこの男は性別の通りであり、少女を見るなり男はただの欲望を出す事ばかりを行ない始めてしまう。
――男は少女の頬を指で刺し始め……――
「こんな可愛い奴を殺したら損だからなぁ?」
殺したら少女に悪いとか、そういう感情では無く、単に男の趣味だとしか思えないような光景だ。指で少女の弾力のある頬を刺しながら薄汚れた顔をにやつかせている。
「あんた……自分の事鏡で見た事あんの?」
加齢の関係もあるのかもしれないが、それ以上に最低限の手入れすら見えない程に汚くなっている男の顔を嫌々視界に入れながら、頬を指でなぞられ続けている少女は少しでも何か反撃をしてやろうと、言葉で相手の心に突き刺さるようなものを飛ばす事に決めた。
「なんだお前? 俺の顔が気持ち悪いとか言いてぇのか? 男なんか皆こんな顔じゃねえかよ?」
男は自分の性別が結果的にどのような形で顔を象るのかを自覚しているからか、明らかに貶しの意味合いで言われた少女の言葉を平然と受け止めた。
しかし、相手は囚われの身であるはずなのにも関わらず、自分に対し意見する態度が何かしら気に障ったのか、少女の顔を凝視したまま手の方を今度はなぞるように胸の方へと移動させていく。
そして、胸当ての裏に無理矢理に手を刺し込んだ。
「あんたって……顔だけじゃなくて中身も……最低過ぎるわね……」
少女は自分の性別をアピールする部位を今、掴まれているのだ。当然相手は敵対している存在であり、今の行為を黙って受け入れられる訳が無い。声は怖くて途切れているというよりは、怒りによるものとして認識するのが正しいかもしれない。
だが、両手両足を壁に打ち付けられている以上は何も反撃は出来ない。
「好きなように言えよ。男は皆これが普通だからなぁ? それに、こっちも男の為に用意した格好……か?」
男は自分の内面をどう思われたとしても、まるでダメージを負うような気持ちにすらならなかったようだ。胸部の接触に満足したのか、今度はその場でしゃがみ込み、少女の腰辺りにまで視線の高さを合わせるなり、灰色のスカートを右手で乱雑に掴み、そのまま持ち上げる。
淡い桃色の対象を見るなり、気持ちをそのまま表現したかのような表情を作りながら、使っていない左手から人差し指を一本伸ばし、それを下からなぞらせる。
「!! 触るな! お前……殺す……から!」
スカートを持ち上げられて黙っていられる少女はまずいないはずだ。手足のどれか1ヵ所でも自由が利いていれば男の汚い顔に一撃でも加えていたのかもしれないが、身体を激しく揺らした所で、男に対しては何も大した反撃にはなっておらず、苛立ちと恥ずかしさで、まともに出てくれない声を絞り出しながら男に向かって罵声を放つ。
「騒いだらお前の方を殺すぞ? ここから刺してやってもいいんだぜ? 少し黙れよお前? 何が言いたいか伝わんねぇぞ?」
男も相手が一切の無抵抗だからこそ、女性が嫌がる部分に平然と手を伸ばしたり、抵抗しそうになっている相手に偉そうな脅迫も出来るのである。
しゃがんでいる最中に自分に手を出す事を告知するかのような罵声を受けた男であったが、エルフから没収した短剣の切っ先を少女の股間を覆う布にゆっくりと接触させた。男性からすれば視覚的にも価値がある場所に刃物を当てながら無理矢理声を押さえさせるが、いちいち立ち上がった上で顔面等の直接目の前に切っ先を見せる事を面倒に思っていた可能性もある。
しゃがんだままで少女を見上げながら、男は好き放題に少女に手を伸ばし続ける。
「あんたそいつを連れてくんじゃなかったの? さっきから気持ち悪いよあんた?」
スカートの中を凝視している男を遠目で見ていたエルフの1人が男の次の行動に入るまでの遅さに対し、苛立ちを交えた口調で聞く。
エルフ達には少女に対する仕打ちを静止させておきながら、自分は欲望を露出させながら手を触れさせているのだから、エルフの方も面白いと感じるはずが無いだろう。勿論、少女の身体を心配している訳では無いのは言うまでも無いが。
「なんだお前は? 自分が汚れた身体で誰にも見てもらえないからってこいつに嫉妬でもしてんのか?」
男はエルフからの言葉をどのように受け取ったのだろうか。仕事を早く済ませろという忠告として、ではなく、自分達よりも綺麗な身体をしている人間の少女に対する嫉妬として男は捉えたのかもしれない。エルフのとても触ってやろうとすら思えないような垢塗れの汚い肌と、目の前の少女の色白で透き通った太腿を見比べれば、普通の男であればどちらに興味を持つかなんて考えるまでも無いはずだ。
エルフ達の自分をまるで汚物でも見るかのような目付きを確認しても、男はまるで気にする様子を見せていなかった。エルフからの評価や、自分の行動がエルフからどう思われようが、そんなもんはどうでも良いのだろう。
「おっさんさっさと消えてくれる? あんたの欲望見てても面白くないし、そいつはそいつで生意気だし、さっさと連れて消えてくれる?」
もうエルフとしては言葉の通り、早くこの牢屋から立ち去って欲しかったようだ。目の前で同じ人間の身体を触っている男の後ろ姿を眺めていたとしても、ただ心の中に不快感が溜まっていくだけであったようだ。折角銀髪の少女が精神的な苦痛を受けているとは言え、エルフとしてはそれで満足出来るという訳では無いようだ。
「それは申し訳無かったな。だけどお前ら、ちょっとはこいつの輝かしい美脚とやらを羨んでるだろ? どうなんだ?」
男はエルフに対しても嫌味のつもりで銀髪の少女を撫でていたが、やはりエルフ達も密かにこの銀髪の少女の身体に嫉妬のようなものを意識している事はどことなく掴んでいたようだ。男はスカートの内部が見えるように持ち上げたままで、空いている左手を使い、太腿を掌を押し当てながら撫でて見せる。
(こいつ……マジで殺したい……!!)
物理的な痛みこそは無いものの、汚らしい外見の男に触られる行為そのものが少女に対しては甚大なダメージを与えていたようであり、気安く自分の身体を触ってくる男を今からでも叩きのめしてやりたい気分ではあったが、手足の自由が無い以上は無理である。
直接脚を触られているのもそうだが、軽々とスカートの内部を見られているのもとても耐えられたものでは無い。
「別に羨ましいだなんて……」
エルフ達は男が持ち上げているスカートの奥の淡い桃色の布を見つめていたが、人間の男がどうして異性のその部分に過剰に反応するのか、まるでそれを模索でもしているかのようにエルフ達は眉に皺を緩く寄せていた。
「嘘だな。こんな白くて可愛い太腿ちゃんが羨ましくねぇなんて事はねぇだろうよ? この弾力、最高だぜ?」
男はエルフ達をからかいたいとでも思っていたのか、エルフの否定の言葉を快く受け取ろうとはせず、寧ろしつこく少女の身体の良さを見せびらかすかのように左手で握り潰すように太腿を揉む。
銀髪の少女の殺意の籠った視線なんてもう男には届いていない。
「早く行けよおっさん。もう飽きたわ」
徐々にエルフ達の中でも苛立ちが蓄積されていく。少女自体にも最初から苛々させられていたようだが、少女を連れて行く担当のこの男に対しても嫌悪感を抱いている様子であり、エルフ達としてはまた静かな牢屋での生活を求めていたのだろうか。
「ホントはこの中もちょっとは確かめようと思うんだが、お前らも付き合うか? 今ならやりたい放題だぜ」
男はまだ少女の下着の周囲しか狙っていないが、どうやらいつかは内部にまで手を伸ばす予定であったらしい。男は相手が無抵抗であるからこそ、わざと行為を遅らせるかのように指で前部の盛り上がった部位を横から押す。弾力に反発される形で押し戻された指を再び刺しながら、エルフ達に自分が今触っている部位を一緒に襲うかどうかを問い始める。
男の指は少し押し付ける場所をずらせば下着の内側に指を刺し込めていた可能性もあるが、男は敢えてと言うべきなのか、下着の上しか狙っていない。
(絶対……マジで殺すからこいつ……!!)
少女からすると、もう自分がこれから先の未来で身体が自由になるのかどうかなんてどうでも良かっただろう。ただ、少女の頭の中では男の事をもう誰なのかを特定が出来なくなるぐらいに殴打を決め付けてやりたいと思い描いていたはずだ。
殴ってやらなければもうこの怒りは消えてはくれないだろう。
「それいいかも。まあこいつムカつくし、最期ぐらいはちょっと見てみたいかも。人間のそこって男の頭おかしくすんだってね」
エルフ達は遂に男が目の前で拘束されている少女の下着を脱がすとでも思ったのか、それを実際に行なった時に人間達がどうなるのかを見た事があったのかもしれない。怒りを覚えている奴が取り乱す様子を記憶に収めたい気持ちがあったのか、期待をしてしまうエルフであった。
そして、男という生き物が下着の奥の部分に対して何を意識しているかもエルフでありながら理解はあったようだ。
「随分と素晴らしい表現方法聞かせてくれるんだなぁ。だけどな、お前達はこいつのこの秘密の部分を見る資格も触る資格も皆無なんだぜ?」
男は自覚をしているらしく、目の前の少女の秘密の部位を隠している布とエルフを交互に見ながら、エルフとしてはなかなか的中をさせているかのような言い方を褒めてしまう。
本当は男という生き物を貶した言い方だった可能性の方が高いが、当の本人は寧ろそれを誉め言葉だと勘違いもしていたようである。
しかし突然にやけた表情から、突然真剣にも見える怒りの見えた表情を作り出す。どうやらエルフ達には下着の奥の何かを見せるつもりは無いらしい。
「なんだよ? あんただけ触るつもりかよ? あたしらにも触らせろよ?」
エルフは男の表情が何故怒りのようなものへと変貌したのかを深く考える事をしなかった。単に自分だけで独占すると思ったらしいエルフの1人が男に歩み寄っていく。
男をその場で払い除け、自分が人間の少女に触れてやろうと思ったのかもしれない。
近寄るエルフに対し、男はまた更に異なる感情を浮かべていたが、エルフはそれに一切気付いていない。
――口元が吊り上がり……――
「ふっ……」
男はエルフや銀髪の少女にも聞こえるか分からないような音量で鼻で笑い、右手からスカートを離す。
そして、近寄ってくるエルフに顔を向けた。
体勢はまだしゃがんだままであったが、何かを決断した様子でもあった。
――右手を拳銃のようにするなり、エルフに向ける……――
「邪魔!!」
中年男性特有の掠れと低さが象徴的な声が荒げられる形で叫ばれ、そして拳銃のように作っていた手はただの形では無く、人差し指と中指から本当に発射される事となったのだ。
エルフ1人ぐらいなら軽々と吹き飛ばす事が出来てしまう程の強烈な空気砲を。
野盗が巣食うアジトの檻とかで少女が囚われたりすると確実に性的な事をされるものと決まってるみたいですが、今回も例に沿うかのように……。ただ、突然味方であるはずのエルフ達に向かってあの男は攻撃を仕掛けてましたが、あれは一体どういう事なんでしょうか。ただ、どちらにしても銀髪の少女からすると男に触られてたのでとても普通の気分ではいられないとは思いますが……。
ただ、次回は結構今までのモヤモヤを弾き飛ばしてくれるような展開いなる……はずです。




