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黒衣を纏いし紫髪の天使  作者: 閻婆
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第20節 《地獄から降りた炎の仏デストラクト 卵が産むのは魔の未来》 3/5

お久しぶりです。最近はどうしても他の趣味に手が回ってしまってたので更新が滞ってしまいました。今回はまた新しい敵の幹部が登場しますが、ファンタジーの世界に相応しく、ありとあらゆる魔術等で激しく暴れ回ってくれます。今は何とか空いた時間を使って執筆をしてる状態ではあります。





 赤黒い色で染まったとても穏やかとは思えないような空間が、空中を舞うバッグの真上に現れる。


 空間を突き破るかのように表れたのは、赤黒い骨で構成された手であり、それがバッグを鷲掴みにしてしまう。




――当然、その様子はミケランジェロの目にも映りこんでいた――




「あれも……あいつの力か?」


 バッグを身体から引き剥がされ、そのまま立ち止まっていたデストラクトだが、もしかすると彼の能力が骨の手を呼び出したのかと、それでもミケランジェロは伸ばす腕の力を緩める事はしなかった。


 何が迫ろうと、必ず奪還しなければいけないのである。


 しかし、空間から突き出た腕は、引っ込む事はせず、その逆の事を始めたのだ。




――重力に従うように、腕はそのまま地面へと伸びていき……――


 骨の腕が出てくれば、必ず次は胴体が出てくるものと考えて間違いは無かっただろう。


 腕と同じく赤黒い骨で構成された胴体も露になる。身体は骨そのもので、肋骨や背骨等が外部に曝け出されている。


 やがては下半身も空間から現れ、そして地面へと落下する前に身体を上下反転させる事で、足からの着地に成功させている。下半身は黒のまるで風化でもしたかのような穴の見えるズボンを着用していたが、穴の開いた部分からは骨そのものが覗かれていた。




――まるで熱でも籠っているかのような深紅の頭蓋骨が目の前の亜人と目を合わせる――




「お前が欲しがってるのはこれか?」


 骨格だけは人間のそれなのかもしれないが、肉も内臓も存在しないその赤黒い骨だけの身体を持つ何者かは、体色の赤と相反するかのような青の光を放つ双眸(そうぼう)でミケランジェロの目を凝視する。頭の横にまで持ち上げられた右手の上にはバッグが映っている。


「……誰なんだお前は」


 ミケランジェロも初めて目にするのかもしれない。姿が骸骨そのものであるから、何か幽霊に似た性質の者だと認識しようとするが、幽霊のような寒気の来る恐ろしさでは無く、まるで地獄からやってきたとでも言わんばかりの威圧感のある風格を持っている。


 異次元空間を作り出した上でそこから現れた所も、警戒すべき部分となるだろう。




「もうお前らと遊ぶ時間は終わりだ」


 赤黒い骸骨の男は、ミケランジェロと、そして離れた場所にいる電撃使いの事も眼中に捉えているのか、その2人を意識しながら、低い威圧的な声色を聞かせる。


 人間や亜人のように顔の筋肉が一切存在しない為、頭蓋骨そのものであるその容姿からは、感情を見る事は出来ない。




――骸骨の男はデストラクトへと視線を向け……――




「デストラクト! もう遊戯は終わりにしろ! 次の仕事に移るぞ」


 この骸骨の外見の男は、デストラクトと仲間なのは間違い無い。口調を見ると、少なくともデストラクトの部下では無いようでもある。


「マジかよ? まあ卵盗られそうにもなったし、そろそろ離れてもいい頃かもな」


 まるで楽しみを遮断されてしまう事を意識させられたかのような態度を見せるデストラクトだが、




――電撃を纏いながらデストラクトの視界に入る者が現れる――




「さてデストラクトよ、お前の分身には黙ってもらったが……ってザグレフ、お前まで来たのか」


 Vネック型の黄色の胸当てを装着させた電撃使いであるエンドラルは、どうやらデストラクトの召喚した炎の分身を対処したようである。


 瞬間移動のように電撃を破裂させる形でデストラクトの視界の中に現れるが、もう1人の影の存在に気付き、そしてその者の名前が頭に浮かんだ。


 赤黒い頭骨ではあるが、よく見ると耳に当たる側面部からはまるで耳飾りとも言うべきか、羽のような突起が斜め後方に向かって伸びており、ただの頭蓋骨という要素に威圧感や刺々しさも付け加えているようでもあった。




「エンドラルお前あいつ知ってるのか?」


 ミケランジェロは、如何にもあの骸骨の男と面識があるかのような言い方を見せたエンドラルに対して、聞かずにはいられなかった。あの赤黒い色も、闇の世界に堕ちた事によって染まってしまったのだと無意識に感じてしまう。


「勿論だ。ついでに恐ろしさも分かってるつもりだ」


 エンドラルはまるで過去の何かを思い出すかのように目を細める。一体どのような恐ろしさをザグレフと呼ばれた闇の骸骨は持っているのだろうか。




「理解のいい奴なのは相変わらずだな。デストラクト、すぐについて来い。私のゲートを使わせてやる」


 まずはエンドラルに対し、ザグレフは状況を把握する能力を誉めたかのような言葉を飛ばす。


 そして青に怪しく光る眼を後方にいるデストラクトに向け、まずは自分の背後に赤黒い空間を作り出す。そして数秒のテンポを作った後に、デストラクトの横にも空間を作る。左手を突き出しただけで、簡単に空間が生まれたのだ。


「待て! 逃げる気か!?」


 ザグレフは平然とミケランジェロ達に背中を向けながら、空間の内部へと消えてしまう。背後もやはり肋骨や背骨が平然と映る程に本当に骨だけという事をしつこく伝えてくれる。


 ミケランジェロは追いかけようと踏み込むが、エンドラルに腕を掴まれてしまう。




「駄目だ! あのゲートに下手に入ったら身体が千切れるぞ!」


 エンドラルは追いかけてはいけない理由を説明したが、それは何かの比喩なのか、それともそのままの意味なのだろうか。限定された者以外が入れば本当に身体を破壊されてしまうのだろうか。


 ミケランジェロの身体が止まるのを確認するまで、エンドラルは腕を解放する事をしなかった。




「勝手に話進めやがったぜあいつ……。じゃあオレも行くか。あ、それとこれお前らにプレゼントな」


 ゲートを(くぐ)ると同時に、ゲート自体も縮むように消滅してしまう。


 デストラクトは半ば強制的に戦いを終了させられてしまったが、今は自分もゲートに進むしか無いだろう。自分の意思に反する展開ではあったが、卵を入手出来た以上は長居は無用である。


 そして、ゲートに入る前に、杖の先端から石ころのような妙な小さな物体を真上に発射させ、落下したそれを左手で受け止める。勝手に話を進めるかのように言い捨てながら、杖から出した小さな物体を、放物線を描かせる形で力無く投げ捨てると同時に自分もゲートへと入っていく。




――物体が床に触れる前に、2人は何となく察知し……――




「プレゼン……って爆薬か!」

「脱出だ!」


 ミケランジェロは言葉の通り、プレゼントという喜びの象徴では無い事にすぐに察知し、そして尚且つその正体もすぐに理解する。


 エンドラルは、ここで今すべき事を口に出すと同時に、実際に行動を起こす。


 ミケランジェロに対し、弱い電撃を浴びせたかと思うと、その場から瞬間移動でもさせたかのように消滅させてしまう。そして、エンドラル自身も、自分の体内から弱い電撃を発生させるなり、その場から自身の姿を消滅させてしまう。


 瞬間移動の類だったのかもしれない。


 そして、誰もいなくなった神殿の内部では、炎が激しく燃え広がり、足の踏み場が一切無くなってしまう。



いつかは登場させたいと思ってた骸骨姿の亜人こと、ザグレフです。外見が骸骨の敵って筋肉等が無いから脆そうに見えますけど、ゲーム中とかだと寧ろ人間を余裕で超えるパワーがあったり、かなりの防御力を誇ってたりで油断出来ない相手として描かれてる事も多かった気がします。ただ、流石にザグレフを純粋なパワータイプにしてしまうとなんか個性を出せなくなるので、魔力で勝負する形を現在は予定してる所ですね。

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