第36節 《破壊と異常な亀裂 宝玉を賭けたビスタルとの戦い》 5/5
今回で遂に決着が付きます。ビスタルとの戦いは今回で終わります。
ビスタルは追い詰められていたのだろうか
氷ごとエンドラルに粉砕をされてしまったと思われていたが
生体反応はまだ失われていなかった
真っ赤に熱された地面は、それは奴が生きている証拠……
「エンドラルさん!! ……これ大丈夫なの!?」
黒の戦闘服で身を包んでいるリディアは、本来であれば地面から噴き出した炎を防いでエンドラルを少しでも手助けするべきだったのかもしれない。しかし、炎の熱がリディアの接近を拒んでおり、リディアからエンドラルを助け出そうという気持ちまでも拒んでいるようであった。
リディアは炎に飛び込む勇気を持つ事が出来なかった。
「エンドラルさんの事だから信じるしか無いだろ!」
濃い紫のジャケットを着た赤い髪の少女のルージュも、自分も炎使いであるのにも関わらず、今見えている炎の熱には耐える事が出来なかったのだろうか。
熱が強いのと、リディアのようにマスク等で顔を一切隠しておらず、熱気が顔にかかるのが辛いからなのか、右腕で顔を覆うように炎に包まれているであろうエンドラルの立っている場所を見ている事しか出来なかった。
「だからってボケーっと見てる訳にもいかないでしょ!?」
緑のノースリーブのブラウスという腕の露出が多い服装をしている関係で、熱の影響を2人よりも強く受けていそうなサティアは、炎を放射させたままにしておくと、それが結果的にエンドラルに最期を提供してしまう事になるとしか考える事が出来ず、炎の熱に歯向かうかのように目の前で水のエネルギーを溜め始める。
――サティアは目の前で小規模な津波の形を作り、炎に向かって解き放つ――
放たれた津波は炎が放たれている発信源の地面に向かって突き進み、包み込むように上から覆いかかった。しかし、炎の熱が強かったのか、蒸発する激しい音を響かせながら津波自体は消滅してしまったが、炎自体は僅かに弱まっているようにも見えたかもしれない。
「熱には冷気って事かい? いや、わたしが手を出さなくても良さそうだね」
炎は水に弱いというイメージは殆どの者が抱いている概念だったのかもしれないが、マルーザは実際にそれを実行させる者を目の前で見た為、本当に冷気で熱の存在を潰す事が出来るのかを見させてもらっていたようだ。
そして、津波が炎を弱めたからだったのか、理由は分からないが、炎を浴びている本人の動きに変化が入った事を見抜いたようでもあった。
――エンドラルを包んでいた炎が膨張を始め……――
炎は激しくエンドラルに向かって放射されていたが、エンドラルがいる場所なのか、そこだけが膨らみ、放射されている炎も内部の膨らみに対応するかのように外に逸れていく。
膨らみは一気に肥大化し、炎を弾くように一気に膨張したかと思うと、そこには炎で衣服に焼け跡をいくつか残しながらも電撃の壁で自身を防いでいたエンドラルの姿が現れ、今度は自分に真っ直ぐ放たれていた炎を押し返すように電撃の壁を力任せに前に向かって押し出した。
「心配させたようだな! でも我輩はこの通りだ! 最後の仕上げ、させてもらうぞ!!」
自分に向かって放たれていた炎を受け止める事で、ようやく自分の姿を仲間達に晒す事が出来たエンドラルはまずは自分が言葉の通り、まだ死んではいない事を伝え、そしてまた言葉の通りにさせる為だったのか、電撃の壁に更に力を込める為に目元を力ませた。
――炎の発生源を塞ぐ気なのか、電撃で炎を押し返し……――
エンドラルは地面から放射されている炎を電撃で塞ぐ事を狙ったのか、炎を押し返しながら、ゆっくりと力を込めながら歩き続け、全身の力を維持し続けた甲斐があったのか、発生源はもう目の前という所にまで迫っていた。
「これならわたしらの援護はもういらないかな?」
マルーザも本当は自分の冷気の力で炎を弱めてやろうと考えていたのかもしれないが、逆にエンドラルの邪魔になってしまう可能性もあると意識したのか、ここでは手を出さなかった。
――しかしルージュは違和感を感じたようであり……――
「でも電撃でどうやってあの炎止める気なんだ?」
ルージュとしては電撃の力でどのような原理で炎を停止させるのか、少し理解が難しかったようである。電撃そのものを炎の発生源に命中させたとして、それでどう鎮火させられるのか、それが分からなかったようでもあったが。
エンドラルは既に発生源の目の前にまで来ていたが、その時に発生源の方で最後の抵抗とでも言うべきだったのか、ただ封じられるだけで終わる事をしなかった。
それはつまり……
――突然地面から何かが突き破って現れたのだ――
それは炎そのもの、というよりは炎を纏ったとしか思えないような人型の何かであった。当然それはルージュの召喚する炎の分身の類では無い。
地面を強引に突き破り、現れたそれは炎の発生源に接近していたエンドラルを力任せに殴り飛ばし、距離を無理矢理に放させた。炎に包まれた人型のそれは既に炎の放射自体は停止させていたものの、今度は炎そのものとしてエンドラルを葬り去ろうと戦略を変えたのだろうか。
「貴様……まさかビスタルなのか!? 随分なもんだなぁ!!」
エンドラルは見抜いていたようであり、炎を全身に纏った人型のそれはやはりビスタルであったと気付く。元々いた場所に電撃の一撃を受け、そこから出てきたのであればそれは別人として捉える方が無理だろう。
相手はビスタルで間違いは無い。
「あれで勝ったつもりでいたようだが、もう終わりだ!!」
威圧的な声はやはりビスタルのものであり、炎で焼かれる事で既に生命活動の為の力を奪われ始めているとしか思えないが、自分以外の相手も終了させてやろうと企んでいたのだろうか。無理矢理とでも言うべきか、そんな状況でエンドラルに歩み寄ろうとする。
「あいつあれでまだ生きてたの!?」
地面から這い上がるように現れる様子をリディアは見逃さなかったのだろうか。炎で全身を燃やされているのにも関わらず、喋る事も歩く事も出来ているビスタルの姿を見て驚いた声を出してしまう。
地面に無理矢理に埋め込まれた事で何かが発生したのは確かなようだが、どちらにしても身体が燃え上がっている様子はとても正常とは言えないだろう。
「いや、もう殆ど自棄っ八だろあれ!」
ルージュとしてはもう自分が炎で焼き殺される事を理解した上で最期の力を放とうとしているとしか思えなかったらしい。自分の死を前提とした上で敵対者に派手な攻撃を放とうとしているとしか思えなかった様子だ。炎を扱うルージュでも、全身に炎を受けたらどうなるかなんて、実感しなくても想像で分かるはずである。
「ってかこの周辺って火山でも近くにあるの?」
サティアはこの川の下に溶岩でも存在したのかと想像するが、サティアの探知では地盤の奥までは把握する事が出来なかったのかもしれない。
地面から出てきた際に炎に包まれていた理由が、どうしても地中に存在していた高温の物質の影響としか思う事が出来なかった。
「今は地形の分析は後でいいんじゃないか?」
しかし、地下の状況や環境によっては今いる自分達にも危機が訪れる可能性があると言えるが、マルーザとしてはやはり敵対者として対面しているビスタルを終わりにさせる事の方が先だと意識していたようだ。
「お前ら遊びは終わりだ! お前ら全員地獄逝きにしてやる!!」
炎で焼かれている最中でありながらも、ビスタルはまだ気力も体力も残っていたのか、焼かれているという事実を感じさせないような覇気のある口調で敵対者5人に言い放つ。そして、一瞬屈んだ後に派手に筋肉質な胸部を突き出すような姿勢を取った。
――その場で雄叫びを激しく飛ばす!!――
「うおおぉおおおお!!!!!」
両腕も開くように左右に伸ばしながらビスタルは雄叫びを放つが、すると身体に纏わりついていた炎の一部が放物線を描くようにビスタルの周囲、そしてリディア達を更に通り越した先に飛んでいき、地面に着弾する。
――周囲に炎が散らされ、一気に炎上する――
地面に落ちた炎はその場で激しく広がるように炎上し、元々は水気を思わせるこの河原地帯も炎で荒れる高熱地帯へと変貌しているかのようでもあった。
「おいこれどうすりゃいんだよ……」
周囲に放たれた炎は決して壁となって炎上した訳では無い為、逃げ道を完全に塞がれた訳では無いにしろ、ルージュは炎で囲まれた状況と、そして燃え上がるビスタルの姿を交互に目視しながらこの後をどのように切り抜けるべきなのか、答えを出しにくい様子となっていたようだ。
「あんたは炎しか使えないんだから、ここはあたしの水の出番じゃないかしら?」
サティアは、炎を攻撃面でも防御面でも頼りにしているビスタルを見て、自分が持つ属性が今度こそ本当に発揮される時であると自信が沸き上がったのか、自分の周囲に水の球体を複数出現させた。
その頃、ビスタルは丁度エンドラル相手に飛び掛かっていた所であった。勿論全身を燃え上がらせた状態のままで。
――ビスタルはエンドラルを地面に押さえつけていた――
エンドラルを背中から地面に押し倒し、恐らくはそのまま噛みつこうとしていたのか、無理矢理にエンドラルの首元に顔面を接触させようとしていたが、エンドラルの両腕がそれを許していなかった。
燃え上がるビスタルの頭部を無理矢理に両手で掴んで噛みつきを阻止し続けていたエンドラルは、そのままビスタルを掴み、横へと投げ飛ばす。
「悪いな、我輩は炎だけじゃくたばらないぞ?」
起き上がりながら、たった今投げ飛ばしたビスタルに言い放つエンドラルであるが、転がる形であっさりと立ち上がったビスタルは、再びエンドラルへと飛び掛かる。
「オレは火だけだと思ってるのか?」
今度は押し倒す為では無く、力任せとでも言うべきか、彼の本領を発揮するとでも言うべきか、叩き潰すかのように殴り掛かってきた。体格を見れば威力は説明するまでも無いような高さを想像出来るはずだ。
エンドラルは相手の殴打を滑らせるように左腕でガードを決め、真っ直ぐ拳が入る事を上手に避けていた。
「力だけでも我輩が止まると思……ん? なんだ?」
元々燃え上がっているビスタルのせいで自分の周囲が熱で支配されている事は分かっていたが、それ以上に違和感のあるもう1つの熱が自分に近づこうとしている事に気付いた。
ビスタルから零れた炎とでも言うべきか、火の粉はその場で規模を肥大化させ、その場で停滞する炎の塊としてその場で高熱を発し始めたのである。
徐々にエンドラルの動く事が出来る範囲を狭めようという計画だったのだろうか。
「ビビってるのか? だったらそのまま地獄にでも逝け!」
炎はビスタルの意思で肥大化していたのか、それとも纏わりついている炎自体の成分が勝手に肥大化をさせていたのか、それでもビスタルがエンドラルに殴り掛かる度に火の粉が周囲に散り、それらがその場で肥大化し、場所を狭めていく。
「悪いけどまだあたし達はね、そんなとこに行かないのよ!」
サティアはエンドラルの為に、自分の右手を持ち上げるなり、そこから水を右手から溢れさせる。魔力で出現させたであろうその水を今度は自分の手を巻き込ませる形で柱の形状にさせ、そしてそれを停滞していた炎の塊目掛けて滑らせるように解き放つ。
水は炎より強いからか、激しい水蒸気と共に炎の塊は消滅し、エンドラルに付着しそうになっていた炎達は次々に消滅させられていった。
「サティアナイスプレイだぜ……。じゃあわたしもちょいカッコ付けるか!」
炎でどうしても動きを止められていたルージュであったが、サティアの水による援護で自分も何かをすべきかと思い、両手から鎖で繋がれた苦無を出現させ、ビスタルの背後から苦無を横から巻き付けるように振り付けた。使うのは苦無では無く、鎖の方だったと言うべきか。
――ビスタルの上体と両腕を鎖が拘束し……――
「なんだ!?」
炎に包まれているビスタルであったが、エンドラルに折角重たい一撃を加えてやろうと一歩踏み出そうとした途端に、突然後ろに向かって引っ張られる力を感じてしまう。当然背後を振り向くが、そこには両手から鎖を伸ばした赤い髪の少女の姿があり、鎖の力を強める為なのか、両腕に炎を灯らせていたが、どういう訳か両足、つまりは地面に足を貼り付けているかのように足にも炎を灯らせていた。
「へっ! 悪いな! お前には好き放題させないぞ!」
ルージュは自分の腕力にも自信があったからか、両手から伸ばしていた鎖を渾身の力で引っ張りながらビスタルの動きを封じ込めていた。勿論相手は筋肉質で尚且つ人間では無い種族である為、純粋な力比べでは勝つ事が出来ないと分かっていたからか、足元を炎で地面と固定する力も発揮させていたようだ。
「火達磨でいられちゃこっちも危ないのよ。あたしからも贈り物させてもらうわよ!」
サティアも水を使う事が出来るとは言え、それでも自分の身体に炎を浴びせられたりでもすれば無事では済まない。今後の拡大を抑えたり、自分への被害も防ぐ意味合いだったのか、その場で左の膝を地面につけた後に、右手に水の力を溜め込んだ後に、地面、目の前の場所を狙い、右手を接触させた。
するとビスタルの周囲を包むかのように、円形状に水のラインが出現し始め、一気にラインの部分から水が激しく飛び出した。それは一気にビスタルを包み込み、そして包んだ水自体もまるでビスタルへの密着を保持させるかのように蒸発もせずに水としての形を維持し続けていた。まるで高熱による蒸発を無理矢理に耐え抜いているようでもあったが、サティアの魔力を強められていたのだろうか。
「ウ゛アゥウ゛ウウ!!!」
炎上していた肉体に急に冷気である水で身体を包み込まれた事で、ビスタルにとって思わぬ深手を負ったのだろうか。
背後からはルージュによって鎖で引っ張られていたが、片方の膝を地面に付けてしまったのか、体勢が低くなったようにも見受けられた。
「今のよく分かんない悲鳴みたいなのって、もしかして効いてる? じゃあ私も援護させてもらうかな!」
リディアはビスタルの周囲から迫る炎を、自分の氷の力で消火させていたが、ビスタルの何だか弱々しささえ伝えてくるような呻き声を聞いた為、一旦消火の手を止め、ビスタルへと向き直す。
氷の刃で斬りかかるつもりだったのか、両手から刃を生成させるが、攻撃に入る前にサティアから左腕を叩かれた。それは言いたい事があるからこっちを向いてという意思表示でもあったはずだ。
「だったらリディア、あのまま凍らせちゃってくれる?」
サティアの提案としては、動きを封じたビスタルに対して闇雲に斬撃を与えるよりは、水で包まれた状態でそのまま冷凍してしまった方が確実だというものであった。
サティアには対象を氷漬けにする能力は無いようであり、リディアに頼るしか無かった。尤も、マルーザも同じ能力を持っているが、今は隣にいるリディアを頼りたい所らしい。
「その方がいいですか? 分かりました!」
リディアはすぐに持っていた氷の刃を魔力で崩し、粉々になった欠片をそのまま冷気の力へと変えるかのようにそれを手元で風のように舞わせ、ビスタルへと力強く放つ。
「わたしも協力させてもらうよ?」
サティアの要求をやや離れた場所から聞いていたマルーザは、いつものように相手からの返事を待つ事も無く、左手のヌンチャクを回し、氷のエネルギーを左手に纏わりつかせる。そしてそれをビスタルの場所へと放つ。
――ルージュは相手の抵抗する力が弱まるのを感じ取り……――
「あれ? こいつなんか弱くなってきたぞ! チャンスじゃないか!?」
ルージュはビスタルの背後で、鎖を駆使しながら拘束を続けていたが、当然リディア達の冷気による動きを封じる行為を見ており、その影響もあってか、自分の引っ張る力に逆らっていたビスタルの力が弱体化したと感じたようでもあった。
しかし、自分の鎖による拘束を辞めてしまった場合、今の優勢が続くかどうか分からなかった為、今だからこそ狙う時だと皆には伝えながらも、ルージュ自身は今自分がしている事を中断しなかった。
「その通りだな! もうこれでフィニッシュと行くぞ!!」
ルージュの言葉を受け取ったのはエンドラルであった。両腕に電撃の力を蓄積させると、それは光に包まれたかのような外観となり、妙に神聖な属性を手にしたかのようにも見えたかもしれないが、実質的には戦闘能力を一時的に向上させていると見るのが正しいはずだ。
――光に包まれた両手で、ビスタルを派手に掴む!――
エンドラルは、水の膜に包まれた後に氷漬けにされたエンドラルを両手で掴むなり、そのままエンドラル自身よりも遥かに大きな数値を出しているであろう体重を誇るはずのビスタルを持ち上げ、ビスタルに対して大量の電撃を流し込む。まるで電撃の帯でビスタルを包むかのように激しい注入を開始する。
「ビスタルよ、これで終わりだ! 残念だったな!」
ビスタルからは何も返答が来なかったが、エンドラルは電撃を注入する事を止めず、そして氷漬けになったその内部で激しく損傷を受けていたのか、氷の隙間から煙のようなものが漏れていたが、更に電撃を周囲にも散らせるかのように強めると、この戦いに終止符を打った事を知らせてくれる光景が全員の目の前で発生したのである。
――ビスタルの身体は氷に包まれたまま、激しく砕け散ったのだ――
既に氷が身体を蝕んでいたのか、氷が砕けても血液が飛び散る事も無く、砕けた氷はそのまま地面へと落下した際に更に細かく砕け、ビスタルの肉体はそのまま完全に消滅してしまったのだった。
「……呆気無かったが、これで一応は終わりだな」
顔面に付着していたであろう氷の欠片の一部を左手で擦らせるように拭いながら、エンドラルは周囲に散らばった氷の塊を見まわした。
流石のビスタルでも肉体を砕かれてしまえばもう命を維持させるなんて不可能な話である。散らばった氷の内部では、ビスタルの一部が残っている事を考えるとなかなかに残酷な光景と言える。
「形はどうだったとしても勝てたからいいんじゃないんですか?」
黒いマスクの裏で深呼吸をした後に、リディアは結果を純粋に喜ぶ事を決めた。ビスタルの岩を投げ飛ばす怪力には驚かされたと思われるが、勝利を掴む事が出来たのだから、どのような形で決着を付けたとしてもそこに物足りなさを求めるものでは無いと感じたのかもしれない。
「そうだな。結果が良ければそれでいいと思うべきだな!」
リディアの考えに納得したのか、エンドラルは今にも大声で笑い出しそうな表情を浮かべながらその場で腕を組み始めた。
「アタシとしてはいきなりとんでもない奴がやって来て驚いたけど、一応飼育場所を把握は出来たし、生物の姿も確認出来たし、最低限やる事は出来たって事でいいかしら?」
サティアに限った事では無かったと思われるが、突然現れたビスタルによって神経を絞めつけられたのは確かだったようだ。それでも勝利は勿論、飼育されていた生物の正体を確かめる事が出来た為、目的はいくらかは果たす事が出来たと信じたい様子であった。
「だけど一番の問題はあの生物、だぞ? あいつなんかどっか行っちまっただろ。特定出来ないとなると厄介だな……」
ルージュは今どこにいるか分からないあの球体状の生命体を思い出しながら遠方に橙色の瞳を向けたが、どこへと向かったのかを知る事が出来ないせいで妙に不安として頭に残っていたようである。
「じゃあ……どうするんですか? 何とか探すにしても、エンドラルさんのお仲間さんが今お城、でしたっけ? そこで今戦ってるって話でしたよね? そっちも心配ですよね?」
本当であれば行方知れずとなったあの生物を追いかけた方が良いのかもしれないが、リディアとしてはエンドラルの仲間の事も無視は出来なかった。もしかすると分かれて行動というのも考えの中に過ったかもしれないが、どうなるだろうか。
「正式には古城サラマンドっていうんだけどな。ただ、マッカムの奴、本当は我輩がいないと生き残れるか自信が無いってぼやいてたんだよ。だから本来なら今頃我輩もあの古城にいたはずなんだがな」
エンドラルはこれからの目的地になると思われる城のもう少し詳しい名称を伝えた後に、仲間であるマッカムの言葉を思い出したようだ。どうやら古城で待ち構えている敵対者はエンドラルの力が無ければ撃破が出来ない程の実力を持った存在であるようだが、しかし、今はエンドラルはこの場にいる為、やはり心配だったようである。
「マッカム、だったか? その話だとかなり不味い状況に追い込まれてる気がするし、きっとさっきのビスタルと同じレベルなんだろうね。わたしらも行った方がいいとしか思えないね」
マルーザは自分達が今戦っている間も、古城にいるであろうマッカムが激しい戦いをしていたのかと思い浮かべたようだ。撃破したビスタルに並ぶ実力を持つ相手であれば、単独で挑み続けるのはやはり危険であると言える。
自分達が力になるしか無いと、深紅の双眸で遠方を眺めた。尤も、それが古城の場所に向いていたかどうかは分からないが。
「あの球体の生命体の方は……確かに今どこに行っちゃってるか分かんないし、探してる時間がなんか勿体無い気がするわね。それでエンドラルさんの仲間のマッカム……さんの方がいいのかな? その人ってどんな感じなの?」
何となくサティアも、行方の分からない球体の生命体を無理に探して時間を浪費させてしまうよりも、場所が確実となっているマッカムの援護に向かった方が良い方向に向くかと感じ、戦闘中はずっと装着させていた白い仮面を外し、懐から取り出した赤いフレームの眼鏡に付け替えた。仮面は水となり、そのままサティアの手の上で重力に引っ張られる形で消滅する。
「なんだサティア? 敬称に抵抗があるのか? まあマルーザを呼び捨てに出来るならマッカム相手でも同じ態度でいられると思うぞ?」
何故か敬称を付ける事に戸惑いを見せていたサティアであった為、エンドラルは聞かずにはいられなかったようだ。もしかして自分達よりも目上なのかどうかを疑っていたのかもしれないが、立ち位置的にはマルーザとほぼ変わらないらしく、仮にマッカムに敬称を付けずに呼んだとしても大した問題にはならないようだ。
「呼び方はまあいいとして、そいつって、わたしらみたいな人間なのか? それともエンドラルさんと同じ種族とか?」
ルージュは敬称を付けるかどうかはどちらでも良いらしいが、気になったのはマッカムの種族の事だったようだ。ルージュ達のような人間の姿なのか、それとも人間とは異なる存在なのか、それを聞こうとする。
「種族としてはリザードマンの一種だな。ある意味でミケランジェロに近い種族だな。まあ心配はするな。あいつ人間と仲良くやってくれるし、一応女の子相手だと尚更仲良くはしてくれるからな。但し、お触りは基本避けてるって話だからな」
エンドラルの答えはほぼルージュの考えと一致していたようであり、マッカムは事実としては人間では無い事に加え、今はこの場所にはいないミケランジェロに似た種族である事を皆は知る事となった。
しかし人間とは異なる種族とは言え、人間であるリディア達を拒否するような態度を見せる事は無いらしく、そして条件は付くようだが、女性に対して好む性格も持ち合わせているらしい。
「仲良くしてくれるのはいいけど、所でそのお触りどのこのって、わたし達ってマッカムに触ったり掴んだりとかはしちゃ駄目って事? 仲良くしてくれるのに触るのは駄目って微妙に矛盾してないか?」
ルージュは自分達に好意的に接してくれるであろうマッカムの性格には安心したのかもしれないが、接触を認めないという所が引っかかったらしい。勿論過度に密着するつもりも無いとは思われるが、多少触れる程度でも許されないのかと思い、好意的な印象に何だか水を差すような部分として残ってしまったようだ。
「あぁそれはな、あいつは結婚してるから他の女性との関わり合いは禁止されてるんだよ。あいつが言うに浮気したら抹殺されるって話だ。決して相手が嫌だから触る事を拒否してる訳じゃないぞ」
一瞬だけエンドラルは説明を渋るかのように表情を曇らせたが、やはり理解をしてもらえなければ相手にも違和感を残し続ける事になると思ったからか、事実を説明する方向で決めた。
どうやら他の女性に接触する事を厳禁として守らされているようであり、それを破った時にはマッカムの身にとんでもない事が起こってしまうようだ。あくまでも異性として大事にしなければいけないのは嫁ただ1人だけというのを徹底的に厳守させられているらしい。
「そうなんですか……。所謂恐妻家っていうやつですか? ま、まあその辺の話はホントにもういいですから、えっと、行くとしたらもうホントに今から、なんでしょうか?」
リディアはただ苦笑いをするしか無かったようだ。本当の意味で命を奪う事はしないと信じたかったかもしれないが、どちらにしても夫婦間で亀裂が入る危険がある事には変わりは無かった為、女性としての性別を持つリディアもこれから関わる場合は1つ注意を心に留めながら声をかける必要があるのだろうか。
「悪いけどそうなるな。実質的に連戦になるけど、皆の体力を信じたいとこだが、どうだ?」
まずはリディアに対してマッカムが恐妻家であるという事が事実であると返答し、そして古城に向かうのであれば本当に今からであると言い返した。
エンドラルから見た所だと、4人とも多少呼吸こそは乱れているが、戦いに行くのは不可能という程には見えなかったようであり、後は皆の気持ちだけであった。気持ちが無ければ連戦は不可能かもしれない。
「敢えてわたしから言わせてもらうね。わたしはいつでも大丈夫って言わせてもらうよ?」
最初にエンドラルに応えたのはマルーザであり、元々人間では無い種族であるからか、どこか人間とは異なる好戦的な何かも宿っていたのだろうか。どちらにしても、古城に行く分には何も問題は無いようだ。
「アタシもまあ……ちょっと疲れてるけど戦えない訳じゃないかな。皆が行くならアタシももうちょっと頑張らせてもらうわよ」
サティアはやはり戦いによる疲れがどうしても残っているのは事実であるようだが、それでも恐らくは他の者達は向かうと決めるはずであるから、サティアも古城に向かう事を決定させた。
まだ力が残っているのかを試したのか、右手を持ち上げ、その上で水の球体を生成させた。どうやら戦う力そのものは枯渇していないようだ。
「皆次第ってのがなんか引っかかるけど、わたしも平気だ。折角わたしらの事助けてくれたんだから、今度はわたしらが助ける番って事だよな?」
ルージュは自分達が古城に行くと決めなければ自分も行かないと言おうとしていたとしか思えなかったようだが、サティアと同じでルージュにだって何かしらの疲労は残っていたはずである。
しかし、ルージュはここに後から来てくれたエンドラルによって援護をしてもらえた身であったのだから、次は自分達が援護をする立場に周るのも悪くは無いだろうと、再び闘志を燃え上がらせた。その証拠なのか、サティアの真似でもするかのように右の拳を持ち上げ、僅かではあったが炎で包んで見せた。それはまだ戦う力そのものが残っているという事を皆に見せたかった事の現れなのだろうか。
「勿論私も行きますからね? あのお城で起こってる事がなんか今後にも響きそうな感じがありますし」
リディアはまだ自分はこれからどうするかを言っていなかった為、自分も当然のように戦いに向かうと伝えた。
自分も戦うと決めたのは、それは古城に存在する敵対者がこれからの自分達の旅に関わるものであると想像した為だったようだ。
「各自付いてきてくれるって事でいいんだな? でも相手がどんな奴かは我輩でも知らないから、またビスタルみたいな奴と戦う前提で来るようにな」
エンドラルは皆の気持ちを受け取ると、皆に対してまずは気持ちを引き締めてもらうように伝えた。これから戦う相手は実はエンドラルもまだ把握をしていないようであり、それを知っているのは実際に今古城にいるであろう仲間のマッカムだけという事なのだろうか。
「分かりました!」
最初に返事を聞かせてくれたのはやはりリディアであり、そして他の者達もそれぞれが納得の意味を含んだ返事をそれぞれ聞かせてくれた。
「所でここからだとそれなりに距離はあるが、皆は移動手段はどうしてるんだ? まさか徒歩か?」
この水辺の地帯から古城サラマンドに行くにしても、徒歩の場合だと相当な距離があるらしく、エンドラルはこのタイミングで皆の移動手段が気になり始めたようだ。
「いや、皆各自で乗り物とか能力を使っての移動手段でここまで来ましたよ? 私はエアドライバーがありましたからそれで来ましたし」
リディアは徒歩でこの水辺にまでやってきた訳では無いとエンドラルに説明をする。因みにリディア自身はエナジーリングの力で実体化をさせる事で出現させる事が出来るエアドライバーという個人用の小型搭乗機でここまで来たという話である。
「アタシも水を足元に纏わりつかせてそのまま快適に高速移動が出来るからそれでここまで来たわね。まあルージュはアタシの後ろに掴まりながら来たけどね」
サティアは何か他の道具を使って移動するのでは無く、自身の元々の水の力を足元に集中させる事で快適な移動が行なえるようである。また、単独で進むだけでは無く、誰かを後ろに付けながら行う事も出来るようだ。
「悪かったなぁ自分で移動手段持たなくて……」
ルージュは自分自身では徒歩以外で目的の場所へ向かう方法を所持していない為か、各自自分で用意が出来る事を説明している様子を見て、何だか自分だけが取り残されたかのような気分を覚えた様子である。
橙色の瞳を細めながら弱々しく口に出した。
「いや、別にサティアさんも嫌味で言った訳じゃないと思いますよ? ルージュさんそんな顔しないでください」
ルージュに対してはリディアのフォローが入れられた。何故サティアの事をルージュを責めた事を前提にしているかのように解釈をしているのかを追求するよりも先に、それ自体が嫌味を意味するものでは無いと理解してもらう方を選んだ。
気まずそうにしているルージュの表情をあまり見たくなかったのだろう。
「そうよ……。アタシはただルージュの事後ろに乗せてあげたって説明しただけなんだけどね?」
サティアも嫌味のつもりだった訳では無かったようで、リディアに合わせるかのように面倒そうにルージュに言って聞かせた。ただ自分と同乗させたと言っただけなのに何故意図しない形で届いてしまったのか、多少ながら自分の言い方を反省もしていたのだろうか。
「悪かったごめんごめん! 変な風に捉えちまっただけだよ!」
誤解が晴れた事に納得したのか、ルージュは暗くなりかけていた表情を捨て、いつもの何が来ても怖がらないであろう表情へと戻しながらはっきりとした謝罪を聞かせてやった。
マイナスの方向になる形で勝手に思い込んでしまっていたのが原因だったようだ。
「一応だけどわたしの場合はこの通りだね。別に道具の小細工が無くてもこの子らに遅れも取らないでここまで来れたからね?」
マルーザも自分の説明をまだ行なっていなかった為、元々存在しない下半身を指差しながら、浮遊による移動で苦労も低速も味わう事も無く動く事が出来ると説明した。
「マルーザ、あんた小細工って言うのかよ……。滅茶苦茶遠回しにわたしのフォローでもしてるのか?」
ルージュは移動の為に用意した道具の事をまるでズルい存在であるかのように言い出したマルーザに対し、細い目にさせた目付きで見る事しかしてやれなかったようだ。
しかし、自分で移動手段を用意出来なかったルージュの事を何となく味方してくれている気もしなくも無かったようである。しかし、小細工と評価されたのは実質的にエアドライバーを扱うリディアだった可能性があるが、リディアはどう感じたのだろうか。
「それはあんたの捉え方に任せるよ? そしてエンドラル、わたしらは移動には困らないからね? あんたはどうやって行くつもりだい?」
マルーザはここでルージュの味方をしていたのかどうかの答えを出す事をしなかった。
一旦ルージュは置いておく形にさせてから、エンドラルにまず自分自身の移動手段が他者から心配される程の脆さは存在しないと伝え、そしてエンドラルの方がどのような手段を使うのか、それを聞く事を決めた。
「我輩か? ストレートに言うが、ワープが出来るぞ? 序に言うならお前らも纏めて出来てしまうぞ?」
エンドラルの移動手段は言葉の通り、ワープであるようだ。そして自分以外の者も一緒に連れて行く事も可能らしい。
「そういえばエンドラルさんってワープ出来ましたよね? じゃあそれでもしかして私達も連れてってくれるって事でしょうか?」
うっすらとリディアはエンドラルの特殊能力を覚えていたのだろうか。しかし詳細までは理解していなかった為、ここで改めて複数の者達も纏めて能力を発揮する事が出来るのか、ここで実感出来る事になるようだ。
期待をするかのように、エンドラルからの返事を目の前で待つ。
「話が分かる奴だな。真っ直ぐ言えばそうなるな」
エンドラルは初めから皆を連れて行くつもりでいたようであり、自分のワープの性能は決して低いものでは無かったようだ。
「じゃあいちいちわたしらの移動手段聞く必要あったのか……?」
ルージュとしては今のような言い方をするのであれば、すぐにワープで皆を連れて行くという話から初めても良かったのでは無いかとどこか気持ちの一部が抜けたような表情を浮かべたが、その後すぐにサティアの言葉もやってきた。
「いや、ただエンドラルさんも普段アタシらがどうしてるか確認したかったんじゃないの?」
サティアの言う通りだったのかもしれない。移動手段に関して疑問が浮かんでしまうのはよくある話だという認識だったからか、サティアとしては答える為に時間を使われてもそこまで自分にとっては障害のような問題とはならなかったようだ。
「徒歩だと骨が折れるが、我輩に頼ればあの距離ぐらいは一瞬だ。我輩を信じる者は我輩に寄ってくれるか?」
エンドラルは自分がいない場合の皆の移動手段に関する心配を密かにしていたのだろうか。しかしこれで事実は晴れた為、ワープを実際に披露する時が来たと、妙に表情が明るくなる。
「分かりました、お願いします」
リディアは疑うつもりなんて一切無かったからか、答え方は本当に真っ直ぐそのものであった。
「信じるかどうかってなんだよそういう聞き方……」
ルージュからすると、エンドラルを信用しないのであれば一緒に来ない方が身の為だとでも言っているかのように感じただろうか。
自分達を試しているかのような言い方にも聞こえたかもしれないが、拒否をするという選択肢はきっと取りづらいのは確かだ。
「ルージュいいから頼れる時は頼りましょうよ? 所で貴方のやり方だと凄い電撃とか使いそうな気がするけど、痺れたりとかしないでしょうね?」
もしかしてルージュはエンドラルのワープを拒もうとしているのかと捉えてしまったサティアであったが、折角ワープの効果を自分達にも与えてくれると言ってくれている以上は使わせてもらうべきだとルージュに伝えた。
そしてエンドラルの戦闘スタイルの事が頭を過ったからか、ワープの際に物凄い電撃を周囲に放つのでは無いか、そしてそれらはワープの効果を受ける自分達にも触れてしまうのでは無いかと、何だか不安に感じ始めてしまう。
「そっか、サティアは水で戦うから電撃は怖いっていう事か? 心配はするな。人体には一切の影響を与えないのが我輩の力だ」
エンドラルは水使いが電気を通常の者達よりも恐れると価値観を抱いていたのだろうか。しかし、エンドラルのワープは見た目に反して術者及びそれに付随する者達に対しても肉体的な苦痛等を受けさせる事は無いようである。本人が言っている以上、それを信じるしか無いだろう。
「いや、水使いじゃなくても電撃食らったら誰だって不味いと思うぞ?」
水は確かに電気をよく通すかもしれないが、水という条件が無かったとしても、人間だって電撃を浴びてしまえばただでは済まない。ルージュの言う事は正しかったはずであるし、まともな防御体勢や装備を纏っていない者が受けたら属性は関係無しに危険な状況に陥るのは言うまでも無いだろう。
「どっちにしても本人が何でもないって言ってる訳だから、頼っても損は無いだろ?」
マルーザは頼る事が出来るものがあるのであれば、頼っておく事が生きる上で有利になるとでも言いたかったのか、直接自分達に害が及ばないのであればワープに頼るのが最も今は効率性があると、恐れを見せない口調で皆に聞かせる。
「安全性も分かった事ですから早く行きましょうよ? その、マッカムさんでしたよね? 今も苦戦してると思いますし、すぐ援護に向かった方がいいですよ」
普段の移動手段の話から、今度はエンドラルの行うワープそのものの危険性の疑いの話に変わっていったが、問題が無いと分かったリディアはそろそろ目的地へ向かうべきだと、エンドラルにワープの能力を発動してもらう事を要求する。
「マッカムの奴も驚くだろうなぁ。我輩が助っ人を4人も連れてきたら。だけど古城の中は決して甘くないからな? 覚悟はいいか?」
当然今リディア達と合流を果たしている事は、マッカムにとっては全くの知らない話であり、エンドラルはどういう表情を見せるのかを期待していたようだが、古城の話をここで持ち出す辺り、ある種の覚悟をあの時間の中で試していたのだろうか。
そして、今が本当に気持ちが座っているのかどうかを確かめる時であったようだ。
「それは勿論ですよ! 断るなんて選択肢なんか無いですよ!」
リディアの気持ちが変わる事は無かったようであり、そして他の者達もリディアと同じ気持ちである事をそれぞれ口に出してくれた。
「皆よく言ってくれたな! じゃあ一瞬だ。行くぞ!」
まるで待っていたとばかりにエンドラルは言い返し、そして言葉の通り、エンドラルは自身を中心にリディア達を包み込むように魔法陣のようなものを地面に出現させ、そして足元から皆を光に包み込んでいく。
――その場でエンドラルを中心に眩い光が爆破するように発生した――
エンドラル本人が言っていたのだから、今の爆破で確かに皆その場から消滅したが、それは絶命を意味するものでは無いのだろう。
皆が向かう場所は古城サラマンドであるが、そこに待ち構えているのは何なのだろうか。
とりあえず次回からまた新しい者との出会いがありますが、男性の亜人系だと何故か女性キャラの時とはまた違ったテンションが自分の中で沸き上がります。今は絵画もやってますが、いつかは亜人キャラも描けるようになりたいですね。




