【○】
【自動的にセーブされます】
世界はどうして暗いのだろう。どこまでも暗く、どこまでもどこまでも黒く、どこまでもどこまでもどこまでも広く、まるで∞のようだ。どうしてボクが目を覚ました世界はこんななのだろう。
X、答えて曰く、
「光り輝くため」
あれ、ここは……
ボクは不思議に思いました。世界が真っ白なのです。確かにさっきまで真っ暗な世界にいたのに……
ポン。もしかして【i】の言う通り、一番最初の世界に戻ったのかな?
そう思いましたが、しかしそうではありませんでした。
白いのはボクの周囲だけでした。
というよりもボクのカラダ全体が白く光っているのでした。
「あなたなら……」
【i】が言いました。
【i】は【大目玉】の上に腰かけていました。
背中からは何百と腕が生えています。
その周囲を同じく何百という【唇】が囲んでいます。
上空には白い点が無数に浮かんでいました。
「ねえ」
【i】が尋ねました。
「あたしのもっとも悪い全てを受け止めてくれる?」
【i】はほほえみました。
そのほほえみを見て、ボクは確信しました。
今までで最も悪い時間がやってくる。
でも不思議と怖くはありませんでした。逃げようとは思いませんでしたし、かといって戦うつもりもありませんでした。状況としては今までの中で一番危ないものでしたが、なぜか気持は今まででの中で一番穏やかでした。
ポン。大丈夫。何があっても自分の選択に間違いはない。だからどんなことが起こったとしても、きっと全てを受け入れられる。
ティラリラリーン。
その時、ボクの中のどこかで音がしました。
すると胸の中で何かが動きはじめました。動きはじめたのは胸の中心でした。そこにはハートがあります。ハートの周辺に痛みが走りました。ハートの左右から突起のようなものが伸びた感触があり、その突起が内側からカラダを突き刺しているようでした。
ズキンズキンズキン。
やがて二つの突起は途中で進む角度を変え、背中側に向かって進んでいきました。細長い棒状のものが肋骨のすき間を通っていくのを感じます。ボクはあまりの痛みに膝をつきました。
ズキンズキンズキン。
棒の先端が内側からボクの皮膚を押しました。左右の肩の下の辺りが膨らんできます。
ズキン。
極限まで伸ばしたゴム繊維が耐えきれなくなってブツンと切れるように、背中の肉が音をたてて破れました。
ブツン。
あっ! と叫ぶだけの短い時間でした。その間に二本の棒は背中から一気に飛び出しました。小さい穴から水が噴き出すように外側に向かって勢いよく伸びていきます。そしてボクの腕の倍の長さまで伸びて止まりました。首を後ろに回すとそれは白く細長い棒でした。血で赤く染まっています。
その時、ボクは頭の上を見ました。あたたかい熱と特別まぶしい光を感じたからでした。
ボクの頭の上で【0】が黄金に輝いていました。
ティラリラリーン。




