小夜物語、 第43話 「霊能者おばあさん」 tales of little night 「 An old woman Spiritualist.」
いわゆる「町の霊能者」「町の占い師」って一体日本中にどれくらいいるのだろうか?
電話帳見て「祈祷師」とか「占い師」って検索するといっぱい出てきますよね?
まあそれ以上に、今や。インターネット検索ですよね。
いくらでも出てきます。
でもそれらのいわゆる霊能者、、というか、、いわゆる、
町の拝み屋さんですね。
そういう人の中で、、誰が、、本当に?信用できるのか?
こればっかりは、、まあ実際に自分が占ってみてもらうしかないでしょ?
ところで今回はそんな埋もれた町の霊能者のお話です。
それでは,、さっそく、、、どうぞ、、。
「霊能者おばあさん」 小夜物語、 第43話
私は、、そう、、仮にK、、と名乗っておこう、
私がその人と知り合ったのは今から30年前くらいだったろうか、
そのころ私はとある山あいの重度閉鎖病棟がある精神病院に勤務していた。
私は某看護大学を卒業したものの、これといって就職先も見つからずに、さて
どうしようかと途方に暮れていたときだった。
たまたま指導教授が嘱託顧問医をしていたこの精神病院に行ってみないか?と
勧めてくれたのだ。
かくして、私ははるばると、〇〇地方の、けっこう山あいにあるこの
精神病院へと赴任したというわけだ。
そこは小さな町からさらに、10キロくらい人跡の無い山道を入った先にあり、まわりは人家もない雑木林である、ぽっかりと開けた雑木林の空き地にその真っ白い精神病院は立っていた。
まわりは鉄柵で囲まれていて林の中にその威容を誇っていた。
門は頑丈な鉄製で高さは2メートル以上はあっただろうか。
病院棟から歩いて100メートルくらいのところに山小屋風の2階建ての、看護婦(夫)寮というのがあって
ほとんどの人はそこに入寮して勤務するのです。
というのも他県からの就職者が多かったためですね。
地元といっても10キロ先の町は人口1万人の田舎町ですからね。
当時そんな田舎町にアパートもろくなのがないし、
そこから通って来てる人もいますが、、ごく少数です。
圧倒的に他県からの若い人が多い、そして数年でやめる人が多い、
で、寮が完備というわけです。
そういう実体でしたね。
さて
そこでの勤務がはじまってほどなくして私はすごいカリスマ?看護婦さんを知ることになったのである。
その看護婦さんはHさんと言い、、年のころは40歳くらいでどこと言って変わった風貌でもないし、
見かけは普通の中年の女性だが
重度病棟で、患者が興奮状態で手が付けられなくなったときなどその人が行くだけで
患者やがピタッとおとなしくなるのである、。怒鳴るとか、、暴力で抑えるとか
全くすることもなく、ただそばに行くだけ、、、。
ふしぎと言えばふしぎなことだった。
何かオーラというか「気」のようなものが天性備わってるとでも言うしかない
そういう存在。
その人が新米の私に指導員として、着くことになって
まあ、指導員というか私はそれから日々、奇跡のようなその人のカリスマ?的な指導に接することになるのである。
すべてが驚異?の指導力?なのだが、、
たとえば、、こんなこともありました。
ほかの看護師が暴れる患者を二人係でおさえつけていても、それでも抑えきれず
汗だくになっていても彼女が行くと、ピタッとその暴れる患者が嘘のように静かになるのである。
もうこれはまさに超能力?としか言いようがなかった。
新米の私にとってはまさに、オドロキしかなかった。
そんなドジな?私のことは何くれとなく援助してくれたのである。
まあいってみれば子弟関係ですよね?
なぜか彼女と話が合って、、いつしか、、
いろいろ仕事以外のことも話すようになっていました。
ある日、、
「私はね、今まで3回死にかかったことがあるのよ」
と、Hさんは言う。
「一回目は高校生の時、下校途中で国道歩いてたら、夕方暴走してきたトラックに
ひっかけられて50メートルくらい引きずられたたのよ、もちろん意識不明で三日間昏睡状態、
でも奇跡的に息を吹き返したのよね。でもその三日間というのは私、ふわふわと魂だけさまよっていて
光の渦巻きのような空洞を通ってすごい明るい世界に行こうとしてたのよ、
そしたらいきなり、真っ白な髪をふり乱したおばあさんが出てきて「そっちに行っちゃならない」というのよね。びっくりしてはっと気が付くと病院のベッドで息を吹き返してたってわけ。」
で、それから、、ずんずんよくなって後遺症も無く、退院したんだけど、
それ以来、なんか夢に、あのおばあさんが出てきて「お前に力を授ける」っていうのよね。
確かにそれ以来、なんかああこの人死ぬなって直観で分かったり、怒ってる人の真っ赤なオーラが目に見えたり、手でその赤いオーラを払うと、なぜかその激怒した他人が急に静かになったりするようになったのよ。
跡2回の死にかかったのは、やっぱり交通事故で2回目の時ははねられてポーンと10メートルくらい飛ばされてどさって芝生におっこちたのよね。それがクッションになってまったく無傷で、
警察の人も驚いてわね。三回目は危うく酒酔い運転の大型車に暴走されて後30センチでカスっていかれあと時よね。。でもあの最初の時の大けがの時以来、なんか殺気を感じるというか、ああ来るなってわかるのよね。だから奇跡的に避けられるのよ。」
こういう不思議な超能力ゆえにあの暴れる患者を全く力を使わずに鎮められるんだと、、その時理解したのでした。
私の勤務が始まって2か月くらいたったころ、
ある日、Hさんと茶飲み話をしていたとき、
彼女がこういった。
「k君。今度休日。私の叔母に当たる人と良かったら会ってみない?」
わたしもようやく勤務にもなれて,、と言っても休日は寮で、文字通り休息が主体でしたね。
夜間勤務もあり結構今でいう3K仕事ですから若くても疲れるし神経も相当使いますからね。
たまーに、休日出かけるといえば10キロ先の町に行って、買い物したりするくらいですよ。
で、、「ええ、いいですよ、」と私はHさんに答えたのです。
さて次の休日、私はHさんの車で、そのおばさんの家に向かいました。
10キロ先に街からさらに、下ったB町にありました。
それまでにざっとその不思議な?おばさんについて聞かされていたのでしたが
実際にその家は、町はずれの、木立の迫るところにあって平屋でなんの変哲もない古ーい家でした。
いざ入ってみると、もう何人かのお客様?が来ていて、
そのおばさんという人は年のころは60~70歳くらいで、一種無気味な?老婆でしたね。
眼光鋭く、、上目づかいで怖いという印象です。
以前看護婦をしてたというが今はご覧のように「拝み屋さん」である。
Hさん曰く、「叔母さんは私以上に霊能力がすごいのよ。で、退職後は誰も宣伝しないのに、B町の
神様と呼ばれて、口コミで、お客様が来るようになっていつしかそれがまあ本業になってたのよね」
やっぱりこのHさんの家系は遺伝的に?霊能力の一家なんでしょうね?
でもその家には、、よく霊能者の家にあるようなたいそうな仏間とか、祭壇もないし、まったくのふつうの家です。
そこでその老婆はお客さんと畳敷きの八畳間で会い足して訴えを聞くのである。
その時の何人かの相談者は、、私も平気で同席している前で、亭主が浮気して帰ってこないとか、
難病で娘が死にそうだとか、子供がキツネツキで幻聴があるとか、、
そういう切羽詰まった相談だった。
すると神様と呼ばれる老婆は、じっと考え込んだかと思う間もなく、
「見えますよ、、見えますよ、、、ぜーんぶ見えますよ」
もごもごとそういうのである。すると相談者みんな満足して?かえって行くのである。。
何とも不思議な光景だった。これといってアドバイスもないのであるにもかかわらず、
みんな満足して帰ってゆくのだ。
言葉面だけでなく何か納得させるものがあるのだろう。
数時間後待っていた数人のお客様がみんな相談を終えて帰って行った。
で、私も見てもらうことになった。
オズオズと進み出て老婆の前に座ると。ふわっとした浮遊感に囚われた、
何も言わないのに老婆はいきなりこう告げた。
「あんた前世で相当悪業をおつみになりなりさんしたね。だから、こんな遠くまで来させらえて、人が嫌がる仕事に呼ばれたんですよお。」
ふっと私の脳裏に、、幻覚が、、それは私が人を殺めてる、、光景だった。
いつともどこともわからない、、でも私は狂気に駆られて、、人を刃物でぶった切っている、、そんな原幻覚?だった。
次の瞬間、ふと我に返ると、老婆が私を上目づかいで凝視していた。
じとーっと、汗が噴き出した。
「で?これからどうしたらいいでしょう?」
私は思わず聞いていた。
「見えますよ、ぜーんぶ見えますよ、、大丈夫、なるようになるからね」
私はそっを聞くとスーとt夢魔に引きずり込まれるような錯覚?に老い散るのだった。
ほんわかした安心感に包まれて、
スッキリしたような、、
確かに私もそれまでの相談者のように満足した、充実感しか残らなかったのだ。
具体的のどうしろこうしろと言うアドバイスもなかったというのに、、。
ふしぎだった。
私は満足感のままHさんの車でまた寮に戻ったのだった。
その後、、、、、
私は、、その精神病院に半年ほど勤めて、ひょんなことから紹介してくれる人がいて
外国の医療チームの看護員として、
その国に赴任することになり、
以後10年ほどその外国に勤務したのでした。
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㊟ この物語は完全なるフィクションです。
物語の内容は全くの私の想像であり創作です。
又、地名・人名などはすべて架空です。