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入れ替わり その6




4時間目前



(…疲れた…しかも…すごく眠い…)


宮内(鳴滝)は教室の一番前の座席、眠気に敗北しそうになりながらもどうにか授業を乗り切り

ノートを机にしまう



今朝から、彼の身にとって災難以外が起こっていない


まず宮内の友人の殆どは女子である

これは異性との会話が気恥ずかしい鳴滝にとって心臓に悪い事だった


ただでさえ会話を交わすのにいっぱいいっぱいだというのに

そこに加えて女子特有のスキンシップ、腕組みやらハグやらをされて

完全にのぼせてしまったのであった


不自然に思われたのをなんでもないと繰り返していたが限界は近いだろう


「…大丈夫?」


クラスの友人が声をかけてくる

宮内(鳴滝)は腕を枕にするように突っ伏していたが、返事が出来ない


「あ…うん…」


まったく、大丈夫という要素の無い声で答える

二つ目の困難が眠気である



宮内は普段から午前3時ごろに眠ることも珍しくないと彼は結城や海部から聞いたことがあった

この眠気から考えておそらく今日もその時間に眠っていたのだろうと彼は思った



「今日朝から顔赤かったしね

やっぱ熱あるんじゃない?」

「い、いや、眠い…だけ…」


最小限の情報だけを伝えて会話をする

それも具合が悪いと疑われる原因の一つであったが、下手に口数を増やすのも上手くいかず

考えれば考えるほど頭はごちゃごちゃになり口調は混乱した


今朝葉はそれを散々つっこまれてしまい危うく涙目になるところだった


「ごめん…チャイムまで…寝かせて…」


あ、うん、いいけど

友人の戸惑ったような声の理由を考える暇もなく、すんなりと眠りに落ちた






-4限目-


科目は数学

眠気は未だに残るが自分の得意科目だ

迷惑はかけることはないだろう

宮内(鳴滝)は内心安堵しながら配られたプリントを見る



宮内のクラスは私立を目指す人間のものであることもあり

難しくても教科書の応用レベルであった



それをスラスラと、特に問題なく解く鳴滝

周りのひそひそとした声が心に引っかかりながらもプリント一枚を仕上げる


「せ、先生?」

「どうした宮内、できないか?」


手を挙げた宮内(鳴滝)に、教師はいつものことと慣れたように声をかける


「いや、その、プリント…終わって」



その言葉に近くの席の宮内と仲が良いと思われる女子がガタンと椅子を鳴らした


どうしてだろう?と思いながら目の前の教師を見るが、相手も少し驚いているようだ


「先生?」

「あ、いや、ならこっちのプリントやれ、まだ種類はあるから」


机の上に出されたプリントを宮内(鳴滝)はそれを再び熱心に解き始める


「宮内…やっぱりおかしい」

「うん…今日辛そうだったけど授業中は寝てなかったし」


彼女の後ろの女子は周りの顔見知りと話をする


(宮内…ある程度酷いって聞いてたけど…)


鳴滝はその話がかすかに聞こえて、ほんの少し普段の彼女の行動が気になりながらも

わかりやすいように書かないと困るだろうかと途中式もしっかりとプリントに書き込んでいく


「それじゃあせっかくだし宮内!

基本問題やっていくか」


周囲からぼそりと鬼だと言う声が聞こえたが鳴滝は意に介さずにはいと返事をする



教師と宮内(鳴滝)のやりとりは数回であったが

それを周りの人間は奇跡でも見るような目で見守っていた


それもそうだろう

普段の宮内なら完全に眠り、しかも答えを言うのにも時間を要していた宮内が

スラスラと、しかもそれなりの難易度の問題を答えているのだ


「今日は頑張ってるな宮内」


「い、いえ、それほどでも…」



彼は、この行動で宮内の「やればできる」のハードルをただ上げただけという事実には、気づいていなかった…





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