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入れ替わり その3

見た目(精神)でお送りしております

【朝礼~二時間目休み時間:結城(一ノ瀬)・海部(塚本)・塚本(海部)】


朝のHR後


一時間目までの10分休み…先生の話があったため残り4分だが…海部(塚本)と塚本(海部)は結城の机に集まっていた

結城(一ノ瀬)は腕を組みながら偉そうに椅子に座っている

周りが特別自分たちに注意を払っているとも思えないが、念のため声を抑えて話すことにした



「海部さ…塚本?えっと…とにかく二人!!、普段コイツってどんな感じだ?」


結城(一ノ瀬)は呼び方に混乱しながら二人に尋ねる


「…普通に真面目に受けてるぞ?時々、軽くノートの隅っこに落書きしてるレベルだろ」

「あと、すっごく文字キレイだよね…筆跡は流石に体のままだと思いたいけど…」


海部(塚本)が言うのに、二人は「あ」と言う

ノートの文字、書き方、これは個人によってかなり差がある


「ゴホン…ちなみに、お前…ノート…」

「取らん!!」


塚本(海部)が咳払いをしながら口の前に拳を持っていって尋ねると結城(一ノ瀬)は自慢げに言う、

予想通りであったものの彼女はソレを見てため息を吐き、海部(塚本)はハハハ…もどこか乾いたように笑った


「…まぁ、うん、涼香ちゃん困るからちゃんと取らないとね」

「俺はコイツが困ろうとどうでも良いんだけど…仕方ない、やりましょう!」


相変わらずの仕方なさそうな事を上から目線で言う相手に二人は笑う


「海部さんは普通にノート取ってるよね?」

「板書程度だ、偶に気が向いたら追加も書いてるがたいてい落書きしてたり

 先の内容片付けてたりだ」

「…さ、先の内容…?」

「当てられたら困るだろう?」


真面目か不真面目かよくわからない返答に海部(塚本)は困惑しながら言う


「…あと、口調とか…そろそろ気をつけないとな?つかも…かい…ん~」

「今は別に塚本でも…あ、でも慣れるには呼ばないとダメだよね?」

「だな~…それにちゃんとコイツの名前で反応してやらないと」


結城(一ノ瀬)が息を吐きながら言うのに、二人は頷く


「それも難しいな、口調を演じれたとしても…」

「…そっちのほうが課題かもしれないね」

「まぁ…うん、何とかなるだろ!多分!」


一ノ瀬の大雑把な片付け方に、二人の胸の中にドッと心配が押し寄せてきた

彼が何とかなるといったときはかろうじて何とかなることが多く

大抵かなりの困難が襲い掛かるのである


「…それじゃあ…口調と呼び方、三人の間で慣れようか海部さん!」

「…………」


結城(一ノ瀬)が強く海部(塚本)に声をかけるが彼女は反応がなく黙っている

塚本(海部)は一瞬肩を動かしたが返事をせずに腕を組んでいる


「海部さん!」

「え、あぁ、うん、そっか私か!」


二回目の呼びかけで、ようやく海部(塚本)は返事を返す


「…はぁ、大丈夫か?」

「塚本も、常日頃から抜き打ちなんだから油断しないほうがいいと思いますわ」

「…お前の中で結城はそんなしゃべり方なのか?」


結城(一ノ瀬)が言うのに塚本(海部)は呆れるようにため息を吐く


「コイツの女子としての評価を高めてやろうというサービスですわ」

「仮にそのつもりでも女子は『コイツ』とか『やろう』っていう言い方はしないと思うが…」

「確実に怒られるよね…」


海部(塚本)が笑いながら言って塚本(海部)の方を見た



「表情険しいね…」

「黙れ!そういうお前は落ち着きすぎだ、もっと不機嫌そうな顔してろ!」



そう海部(塚本)が指摘するのに相手は変な文句で相手を指差す



「…その命令もおかしな話だな」

「し、しかたないだ…しかたないじゃんか…」



結城(一ノ瀬)が笑いながら言うのに塚本(海部)は口調を弱くして、口調を考えながら返す


「あ~…まぁ…頑張るしかないよね?…コレでいいな?」

「そうそう、そんな感じ」

「お前も…海部さんもがんばってね」


まだどこか引きつった笑顔で塚本(海部)が言って時計を見る

時間は既に授業の1分前だ



「そろそろ戻らないと…だな?」

「そうだね」


海部(塚本)が語尾を迷いながら言うのに一ノ瀬(結城)は頷いて自分の座席に戻った






海部(塚本)の座席は一番後ろで、他の二人の様子が遠くからだが見える

それは少しだけ特であったが、同時に二人の様子が少しだけ不安であった


(とりあえずノート…ってなにこれ!?)


彼女は海部の鞄の中身を見て驚く

ぎっしりと詰め込まれた教科書とノート、間に挟まれてはみ出た端がボロボロになったプリント


…今日の授業分のノートと教科書が全て詰め込まれているのだった


(聞いてたけど…ここまでつめる?っていうか重いよ!海部さん置き勉しようよ!)


心で訴えるがそれが届くわけもなく、幸い授業のセットはまとまって入っていたので

本の詰まった中からそれを引き出してノートの上に出す



と、同時に授業のチャイムがなり、クラス委員の号令が聞こえた

少しだけぼんやりと名前をよばれることに集中していた彼女は慌てて立ち上がって頭を下げて座る



(えっと…海部さんって言われたら反応、海部さんって言われたら反応…)



自分に何度か言い聞かせて担当の教師が生徒を当てるのを慎重に聞く

一時間目は古典

プリントに書かれた重要古語の意味や文法事項を前もって調べてそれを黒板に書かなければならない

出席番号を何個か飛ばした順で名前は呼ばれる



「それじゃあ、岸谷が3番と4番……」


(ふぅ…通り過ぎた…)


それに安心して海部(塚本)は改めて海部のノートを見る

大切なことは書かれているがほぼ殴り書きで時々解読不能の文字がちらほらと見えた



(結構雑なんだ…まぁこのペン太いから仕方ないかな…)

「結城がdとgそれじゃあ書いていけ~」



気がつくと結城の名前が呼ばれていた、しかし肝心の“彼女”は…



(……あれ?寝てる?)


結城(一ノ瀬は)両腕を枕にするように机に突っ伏している、早くも眠っているように見える



「結城?結城!」

「あ、はい!すんません!」

「どうした?珍しいな?」

「あ、まぁ、その、いろいろあったんす…」



どうにか自分の態度をごまかすが普段の結城とは違う口調が出てしまう

ふと見ると、前の座席にいた自分と入れ替わった彼女がこっちを見て呆れた…と言わんばかりの表情

それに海部(塚本)は苦笑いしながら頷いた








幸い、その授業中はほかの人間が当てられなかったためそれ以外のハプニングが起こることは無く、休み時間に入る



塚本(海部)は次の時間の教科書を探そうと机と鞄の中を漁る


“えっと…置き勉…してるよなぁ…ロッカー行かないと…”


そう思いながら不機嫌な顔で立ち上がると声をかけられる


「塚本、来週の日曜日空いてる?次のじゃないよ?」

「えっと…その…それは……」


戸惑いながら彼女は後ろの机に座った相手に助けを求めるように目線を送る

それに気づいた海部(塚本)は慌てて立ち上がって相手に近づく


「どうしたの?都合が悪いの?」

「えっと…私…えっと…あ、そう!部活、部活だな…じゃなくて…だよね?

 ね、つ…海部さん」


少しだけ引きつった笑顔と普段使わない自分の言葉遣いの気持ち悪さに内心不快感を積もらせたが

そう言って海部(塚本)に話題を振る


「あ…え、えっと、そうだ…な」

「日曜日の上テスト近いのに?」

「うん!テストの期間と大会の期間って結構被っちゃうし…休日返上しないと…ね?」

「あ、うん、そう…だな」


何度も同じ語尾を不自然に使いながら

ぎこちない笑顔で互いを見つめて笑うのに相手は疑わしげに見ている


「…なんか…おかしくない?」

「そ、そんなことないよね?」

「あ、うん、そんなことない…ぜ?」


否定する二人に息を吐いて流した相手はため息を吐く


「まぁいいや…それにしてもせっかくカラオケ行こうと思ったのに…」

「ごめんね?」


素の言葉が出そうになるのを抑えて謝るといいよいいよと笑いながら返した

そして、相手が別の人間を誘うのか離れていくのを見届けると塚本(海部)はため息を吐く


そして小声で隣の自分の姿に話しかける


「私はふざけない限り“ぜ”なんて語尾につけない」

「ごめん…男の子口調意識しすぎた…」


笑いながら返す海部(塚本)に呆れながら、少し気になって結城の机の方を見る

そちらでは、一人の男子生徒が結城(一ノ瀬)に話しかけていた



「結城、ちょっといいか?」

「ふっ」


話しかけてきた相手の顔を見るなり、結城(一ノ瀬)は少し笑ってしまう

というのも、相手は結城の中学時代の友人で彼の話を度々聞いていた一ノ瀬はそれを思い出したのだった



「…あのな、さすがにそれは失礼だ」

「あぁ、ごめんごめん…で、何?」

「あ、またテスト近いだろ?ってことで」

「あぁ、うん」



そういって携帯を取り出して自分のアドレスを探すと見えないように一ノ瀬(結城)にメールを送る



「にしてもお前なんか変だぞ?大丈夫か?」

「森脇の顔面の造りの所為だろ」

「お前…お前…」

「ま、まぁ、そういうことだ……よ!!」


横から入ってきた相手の友人の言葉にうなだれている間に結城(一ノ瀬)は笑いながらごまかす

そのまま相手は友人と会話を始めたので結城(一ノ瀬)は少し安心して息を吐く


(やべぇやべぇ、様子がおかしいのばれるかもしれねぇ

 ってか相手が相手なのが面白ぇ…そうだ、ノートのことついでに報告してやろう)



そう思って携帯を取り出して。自分の携帯に向けてメールを打ち込んだ



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