入れ替わり その2
体(精神)でお送りしています
「とりあえず、状況から整理しよう、誰が誰と入れ替わったのかここに書くから、確認」
全員を椅子に座らせて
一ノ瀬の姿をした誰かは紙を広げてマジックを片手に言う
「…とりあえず、悠斗くんの体に入ってるのは、結城、結城涼香」
「ったく不快だ、まったく不快だ、俺と結城は完全に入れ替わりだ
不本意ながら結城と入れ替わったのが俺…一ノ瀬」
「文句多すぎ」
言いながら一ノ瀬(結城)は紙にまとめる
【一ノ瀬←→結城】
「んじゃ、次、言って?」
「海部要だ、塚本織枝の体に入っている」
「それじゃ、こっちも入れ替わりだよね、海部さんの体に塚本が入ってるよ」
塚本(海部)が腕を組みながら言うのに、塚本(海部)は頷いて言う
【塚本←→海部】
話を聞きながら、一ノ瀬(結城)は言う
「…にしても、海部さんの雰囲気柔らかいよね」
「な~…」
結城(一ノ瀬)もそれに同意する
「悪かったな!雰囲気とげとげしくて!」
「まぁまぁ…落ち着こう、ね?」
塚本(海部)が声を荒げて言うのに、海部(塚本)が宥める
「とりあえず、次」
「えっと…その、僕、鳴滝だけど、宮内と入れ替わった」
「は~い、で私が京くんの体になってます…ってこれ特定の二人が入れ替わっただけみたいだね?」
宮内(鳴滝)が遠慮がちに言うのに、鳴滝(宮内)は手を上げる身振りをして言う
【宮内←→鳴滝】
「……そこの違和感もすごいよね、宮内のそんな声聞かないから」
「俺も聞いたこと無い」
一ノ瀬(結城)と結城(一ノ瀬)は笑いながら言う
「…え、あの…えっと…ちゃんとしたほうがいいのかな?」
「まぁ急には無理だろうけどね」
宮内(鳴滝)は慌てたように言うのに、鳴滝(宮内)は笑いながら椅子にもたれて返した
「…でも、どうするよ、、何人かには姿が見られてるからいまさら抜けられないし
仕事は先生にも片付けたって報告したから授業は抜けられないし…」
「…このまま乗り切るしかない…な」
一ノ瀬(結城)が考えるのに、結城(一ノ瀬)は暗い声で言う
全員が、沈黙する…他人になりきって一日過ごすのは、おそらく至難の業
「…でも、それしかないよな?」
「ハードル…高いけど…」
塚本(海部)があきらめたように言うのに、宮内(鳴滝)は頷いた
「でも、そもそもこれってどれくらいの時間で解けるんだ?」
「えっと…24時間…」
塚本(海部)が気がついたようにつぶやくと、鳴滝(宮内)が本を見てそう言う
再び、嫌な雰囲気の沈黙に包まれる
「…夜をどうやって過ごすか…はどうする?」
「…いや、それより今日一日の過ごし方だろう…あと、なるべく同じクラスの奴は休み時間にかたまっていよう
無駄に神経すり減らすのもアレだろうし、普段から話してるなら…」
「それが良いと思うよ」
一ノ瀬(結城)が尋ねるのを結城(一ノ瀬)は制止して考えながらいうのに、海部(塚本)は同意して頷いた
「でも…でも、僕…」
宮内(鳴滝)は深刻そうな声で何かを訴えかけて口ごもる
「…あ、そっか、京くん…一人…」
「辛いだろうが、頑張ってもらうしかないんじゃないか?
最悪体調悪いとか言って保健室だろ」
一ノ瀬(結城)は気づくのに、塚本(海部)が腕を組んで言った
結城(一ノ瀬)がなんとなく時計の方を見る、と既に朝のHRまで10分を切っていた
「…予鈴までに戻らないとヤバイよな?」
「ってことは…もう、どうしようもなくなったような…?」
相手が言うのに、海部(塚本)は半ば絶望を含んだ声でつぶやく
「仕方ないよね~僕は頑張れる自信あるけど?」
「順応早くないか?」
鳴滝(宮内)はニコニコとしながら言ったのに塚本(海部)は呆れたように返す
「とにかく、さっさと鞄もって教室行かないと間に合わないし…」
一ノ瀬(結城)が部室の鞄置き場に向かい、結城の鞄を取ろうとするが、何かに気づいたように止まる
「…どうしたの?」
「これ、そっか、入れ替わった相手の鞄取らなきゃならないんだよね…」
宮内(鳴滝)が心配そうに覗き込むのに、一ノ瀬(結城)は意識としての自分の鞄から手を離す
「…海部さん、鞄かなり重くなかった?」
「そりゃあ…その日の教科の教科書ノートは全部持ってきてるからな…勉強とかするのに」
海部(塚本)が不安そうに言うのに相手は腕を組んでどこか自慢げに言う
「さすが海部さん!…でも塚本には地獄だな」
結城(一ノ瀬)は笑いながら言うのに、海部(塚本)はため息をつく
「我慢してくれ…とにかく、今日一日は頑張らないとな…」
鞄を背負って息を吐くと、塚本(海部】は考え事をしながら部室から出て扉の前で待つ
「…やっぱり重い、こんなのどうやって持ってきたるの…」
海部(塚本)が少し辛そうに言いながら後に続く
「…はぁ…ったく、俺の体で変なことしたら絶対許さないからな!」
「アンタが一番不安なんだ!!」
結城(一ノ瀬)が相手を指差して言うと、また相手も強く言い返して部室を出る
「あ、京くん…私男子とほぼ接点無いからね?」
「…うん、ど、どうすればいいのかな?えっと?」
完全に混乱しかけている宮内(鳴滝)をなだめながら鳴滝(宮内)も笑いながら出てくる
鍵を持っていた塚本(海部)が鍵をかけて、部員の方を見ると部員もまた円を作り互いを見る
そして結城(一ノ瀬)が口を開く
「それじゃ、今日一日生き残るぞ!」
「「「「お~!」」」」




