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私たちの理想郷~恋慕?~

リビング…


一ノ瀬と鳴滝がソファに座り、結城はその後ろのテーブルからそれを眺めている


扉の開く音がして、結城がそちらを見る

海部が深刻そうな顔をしてテーブルに座る


「なあ、相談…いいか?別に隠すようなことでもない」


「あぁ、言ってたアレね?聞くけど」


結城は事前に聞いていたらしく、頷いて相手のほうを見る

一ノ瀬と鳴滝は、テレビを見ながらもその会話の方に意識をやってしまう

少し申し訳ないと思ったが、やはり相談事となると好奇心がうずいてしまう


「…まず、どうやって声をかければ良い?」


海部が口を開くと、結城は答えは決まっているとすぐに返す


「どうやってもないと思うんだけど…

 普通に『今時間ある?あるなら話したい』とでも言うしかないんじゃない?」

「だよなぁ…」


相手の当然といえば当然の答えに、はぁと息を吐きうなだれて机に顔をつける


“話しかける?…海部さん何かあったのか?”

“…もしかして、恋愛相談かもしれない”

“アイツ、人のそういう話好きだもんな”


ボソボソ、と一ノ瀬と鳴滝は口を交わす

尋ねてみてもよかったのだが、話が一通り終わるまで事情を聞きたかった


「…だいたいさ、声かけるだけでいいんだよ?

 そこまで緊張しなくても…」

「…迷惑かもしれないだろ」

「無い無い」


海部が机に顔を伏せたまま暗い声で言うのに、結城は笑いながら否定する


“いや、好きな奴なら話しかけるだけでも緊張するんじゃないかな?”

“人に相談するほどじゃないけど…まぁそうだよな、ある程度緊張はする”


鳴滝が考え込むように言うのに一ノ瀬は頷いて返す


「それに、他の奴に声かけてるんだし、少なくとも忙しいってことはないでしょ」

「そ、そうか…そうだな」


海部は体を上げて、相手のほうを見ると二回頷く

結城はさらに加える


「それに、嫌われる心配なんかはもっと大きなことになってからすること!

 喧嘩とか、ちょっと気まずくなったとか」

「はは、ごもっともだな」


結城が説明するのに、海部は笑いながら頷く


“あ、海部さん笑った”

“結城もなかなかやるんだな、今回「だけ」は見直してやる、今回「だけ」は”

“にしても、他の人に声をかけてるってことは、結構明るい人なのかな?”

“かもな~…海部さんも新しい方向に向いてるってことかも知れねぇな”


考えながらも、耳は二人の会話を逃さないようにする

結城は何かを思い出して言う


「それに、同じ趣味なんだし、会話のネタに困ることはないんでしょ?

 相手はそれに乗ってるんだし」

「気を遣わせてるみたいでな」

「本当に嫌なら嫌って言うもんだと思う」


笑いながらも少し悲しそうに言う相手に、結城は安心させるように言う


“…海部さん、やっぱ後ろ向きなのかな?”

“だな、だから違うタイプの結城のアドバイスで近づこうとして…

 待てよ、海部さんと同じ趣味?”

“ほら、最近はゲームとかすきでも委員長とかやってるタイプいるし…あれなんじゃ…”

“ハイハイなるほどな”


海部はしばらく黙って考え込むと、突然立ち上がって相手に言う


「ありがとう、勇気出た気がする、鈍らないうちに声かけてみる」

「はいはい、どういたしまして」


海部が笑って言って自室に戻っていくのを、結城は手を振って見送る


「…で、そこのお二人さん」


結城に言われて、二人は思わずビクッと肩を震わせる


「な、なんだよ?」

「どうしたの?」


二人同時に尋ねるのに、結城ははぁとため息を吐いて言う


「あれ、宮内が最近塚本としゃべっててどうすればいいって相談だから」

「…は?」

「…えっ」




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