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私たちの理想郷 第三話~酔いⅠ~ 


車の通る音すら聞こえなくなった深夜

結城は一人ソファーに座り、リビングで芸人のやっているバラエティ番組を見て過ごしていた


時計は、もう二時をさしており眠気が彼女を襲っていたが

今日は眠れない理由があった


宮内が、友人と飲みに行っていたのだった

彼女は確実に酔って帰ってくる、その彼女を部屋まで送り届ける役目が合った


男子に任せるのはとても気まずい

塚本が相手では塚本の身が危うい

海部はそもそも起きているかどうかさえ怪しいのだった


つまり、消去法で考えても結城以外には任せられないのである


早く帰ってきてほしい、そう思いながらあくびをすると、玄関の扉が開く音が聞こえる


「たっだいま~!!」


妙にテンションの高い宮内の声が聞こえた

結城はソファーから立ち上がって宮内を迎えに行く


宮内はそれなりに酒も飲めるために完全にフラフラになることは滅多にない

が…大きな問題点があった、それをどうにかするための結城のはずなのだが…


「…おかえり~、また派手にやらかし…」

「ゆうきさ~ん!」


結城が声をかけると、相手の言葉を待たずに宮内は結城にギュッと抱きつく


宮内は、酒に酔うとなぜか周りの人間に触ったり寄りかかったり抱きついたりする

…それも女子を狙って

なら男子に任せるべきだったかもしれないが、やはりそれは申し訳なかったのだった


結城は、やっぱこうなるか…と思いながら相手の頭に手を当てて離そうとする


「いいいから離せ馬鹿!」


が、相手の腕の力は強まるばかりでなかなか離れようとしない

甘えたような声であるが、やってることは結城にとってはあまり喜ばしくない状況だ


「離せ!」

「いいじゃんか~減るもんじゃないし~」

「ダメ!せめて部屋行ってから」

「部屋行ってからなら何してもいいの~?」

「そういうこと言ってるんじゃないって!!」


どうにか部屋に行かせようとするが、相手は抱きついたまま離れない

結城は引き剥がすことは諦めて、ため息をついて言う


「わかった…部屋までは腕組んでいい、部屋に着いたら即刻離す、いい?」

「ん~…」


宮内はどこか不満そうだったが渋々相手の腕をぎゅっと抱きしめるようにする


(組んで良いとは言ったけど…まぁいっか、とりあえず部屋まで…)


少し痛い腕を気にしながら、結城のほうが少しおぼつかない足で宮内の部屋まで歩く

廊下まででると、結城は歩きながら宮内に話しかける


「ほら、部屋つくから離して!」

「いや~」

「離してくださいおねがいします!」


部屋の前で再び宮内を引き剥がそうとする宮内、しかし相手は離れない


「とりあえず着替えてさっさと寝てください!」

「ゆ~きさんに添い寝してほし~な~」

「できるか!!」


そんなやり取りを続けていても埒が明かない

結城は、一応部屋の扉を開き宮内を連れて部屋に入る


「ほら着替える!」

「わかったわかった…」


宮内はいやいや着替え始めて寝間着に着替える、その隙を見て結城は部屋から出ようとしたが

着替え終わった宮内に腕をつかまれてしまう


「…宮内さ~ん、何してるんですか…」


宮内は、黙ってニコニコとしているだけで答えない

結城はため息をはいて、もはや逃げられないことを察した





(…今度は、海部さんを無理やり起こしておいて、犠牲にしよう)



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