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私たちの理想郷 第一話~はじまり~

みんなでルームシェアしようぜって話

部活も終わり、それぞれがそれぞれの道を歩み始め、またその未来の決まったある日のこと

部員たちは、ひとつの家の前にそれぞれ大きな荷物を抱えて集まっていた


「…いや~、皆集まってくれてうれしいよ」


その中で一人、ほとんど荷物のない宮内が皆から前に出て言う


「まぁいいよ、面白そうだし」


結城は、笑いながらリュックを背負い直して言う


「全員来る上本当にやるとは思わなかったけどな」

「僕もそう思う」


一ノ瀬と鳴滝もどこか楽しそうにそう返す


「う~、変な緊張してきた…」


塚本がそう言って手提げかばんのもち手をギュッと握る隣で

海部は一人難しい顔で何かを考えていたが、それはこれからの未来の楽しい生活を頭で描いているだけであった


――――――――――――――――――――――――――――


それは、一週間ほど前のこと


部活が終わり、それぞれの行く先も決まり、中には一人暮らしも考える者も居る中

久しぶりに部員全員が集まろうという話になり、その日

結城のマンションの下全員が思い思いに話をしていたときだった


「ねえ皆、ここに居る皆でルームシェアしたら楽しそうだと思わない?」


突然、宮内がそう切り出したのがきっかけだった

以前、一ノ瀬と結城と海部は彼女からそうしたい、という話を聞いたことがあった


「確かにやってみたいとは言ったけどさ…場所が…」

「だ~か~ら、仮にやってみるとしたらって」


結城が考えるのに、宮内はそう言って意見を言わせようとする


「…まぁ、そりゃやってみたいかな?面白そうだし」


結城は考え込みながらだが、同意する


「俺は嫌だ、これ以上お前らと一緒に居て何が楽しいんだよ」

「ふんふん、結城さんと悠斗君は賛成ね」

「おい話聞けよ」

「どうせやりたい派なんじゃないの~?」

「あぁ、そうだよ…」


一ノ瀬がふざけて反対意見を言うが、見事に宮内にスルーされてしまい意見を引きずり出されてしまう


「私もやってみたいかな…でも変な趣味とかばれたら」

「お前はオープンだろ」

「確かにオープンだけど、そんなに即答すること無いじゃん…!」


塚本が言うのに、結城は即座にツッコミを入れる、塚本は少し落ち込んで結城に言う


「僕もやるならやってみたい、面白そうだし」


鳴滝は頷いて同意する

こういうとき大抵海部さんからの冷たい指摘が入る

そのことを予感した全員は海部のほうを見ると、彼女は気難しそうな顔をしている

そして、ようやく口を開く


「そうだな、それなら互いの部屋なんだけど隣接してるといろいろばれるけど何かあったとき…」

「何か一番話が飛躍してた!さっきから難しい顔で何考えてた!」

「…いや、その、いろいろと」


結城がはぁと息を吐くが、まぁこういうノリに全員が賛同できるのは

この団体ならではと言えて、逆に安心した


「ふ~ん、それじゃあ反対って人は居ないってことか…

 だったらさ、もういっそのことやってみない?

 ちなみに、場所の宛てなら何箇所かあるし」


「「はい?」」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


と、言うわけで

一週間後、暮らせるだけの服やら自分の洗面具やらを荷物につめて

メールに記された地図を頼りに集まったのだった


「ここが私たちが生活する家」


そこは宮内の家から少し離れた6,7人は暮らせそうな大きな家


「なんで手にはいったんだよこんなの…流石魔界の住人」

「あぁ、人間のやることじゃねぇ、魔界の住人に違いない」

「ちょ、なんでそうなった!」


一ノ瀬と結城はまじめな顔で言うが、その内容は明らかにふざけていた


「フォローできないな、私の家より明らかにでかい」


海部がため息をつきながら家の大きさを見る


「まぁ、舞ちゃんだからって言えばそれまでだよね」

「だな…宮内だからって感じだよな」


塚本も鳴滝も、関心なのかあきれたのか分からない調子で言う


「…もう、まぁいっか、とにかく中入ろうよ!」


そう言って宮内が扉を開き、中へ入るように進める


「おじゃましま…は?」


結城が最初に入って声を上げかけるのに、思わずとまる

当たり前だろう入り口からまっすぐ見えるのは見たことも無いほど広いリビング


「えっと、これが共用スペースってこと?」


結城が恐る恐る尋ねるのに、さも当然そうに宮内は頷く

他の部員も入っては思わず声を漏らす


「これなら暴れまわっても大丈夫そうだな」

「いや、暴れるな暴れるな」


一ノ瀬が生き生きしてそういうのに海部は冷静に引き止める


「…じゃあ、とりあえず部屋と当番決めようか、荷物降ろして」


結城が言うと、部屋の一箇所に荷物を固めて全員でテーブルを囲む


「それじゃ、宮内は掃除係な」

「え、ちょ、なんで」


結城が宮内を見ないまま紙にマジックで書いていく

宮内は反論しようと静止する


「どうせお前料理できないだろ」

「甘いものなら…」

「はいじゃあ、誰かできる?」


宮内の訴えを完全に無視して結城は他の人に尋ねる


「海部さんできそうだよね」

「ハンバーグとカレーと焼き飯とギョーザぐらいしか作れない」

「はい決定」


塚本がふと海部の方を見ると海部はなるべく料理量を減らして言い訳をするが

それなら十分だろうと結城がマジックで書く


「男子は?」

「仕方ねぇ、俺はまだ修行中の身だからな、ゆずりましょう」

「僕も自信ないし」


一ノ瀬がえらそうに言うのをハイハイと流して、二人を雑用、というアバウトな枠に入れる


「お前、俺のことパシリにするつもりか!」

「女子じゃできない力仕事って意味!」


一ノ瀬がいちいちつっかかってくるのに、結城はいつもどおりに返す

そのやり取りが相変わらずで他の4人は笑ってしまう


「塚本は、掃除でいい?」

「え、私整理整頓とか苦手だけど…まぁそれしかないよね」

「だいたいでいいから、生活できるくらいなら大丈夫だって」


結城が慰めるように言うと、マジックで名前を書く


料理…結城・海部

掃除…宮内・塚本

雑用(力仕事)…一ノ瀬・鳴滝



結城は、リビングの壁にガムテープで貼り付ける


「おぉ、なんだか一緒に暮らしてる感があるな!」


海部がどこか楽しそうに言う


「でしょ?やっぱ雰囲気大事だよね!」


結城もそれに同意して振り向いて海部に言う


「それじゃ、次は部屋の位置決めますか」



リビングの奥の扉を開くと広い廊下に部屋が6つ、

出てすぐ手前にトイレがあり、突き当たりにシャワールームが見える


「男子女子でわかれようぜ、トイレの目の前が俺、その奥が鳴滝、その奥が結城」

「私は女子じゃないんですねわかります」

「え?女子なのか?」


わざと傷ついたように結城が言うが、一ノ瀬は驚いたように返すので結城はあきらめる


「まぁ、場所に関しては私は別にどこでも、京君は?」

「僕もどこでもいいからそこでいいよ」


鳴滝は頷いて先ほど言われた部屋に向かう

結城も一番奥の部屋に入る


「…私は一番奥、お前らは?」

「私はどこでも~」

「ん~この二人の隣ならいっか」


塚本は何かを隠すつもりだったのだろうが、残った面子をみて安心したように言う

結局、宮内は海部の隣、塚本は一番手前の部屋にはいる


そして、それぞれが自分の部屋を自由に作っていく



…こうして始まった奇妙なルームシェア

これはそんな彼らの平和な日常の一部分





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