表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/52

第四十二話「白鷺から、二度目の接触」

九月。


今度は学校じゃなかった。


来栖堂に行く途中の、萩ノ宮の商店街だった。


「颯くん」


振り向くと、白鷺が立っていた。笑顔が自然だ。相変わらず。


「萩ノ宮まで来たんですか」


「颯くんのプロジェクトを見たくて。来栖堂、いいお店ですね。先ほど葛饅頭を買いました」


「そうですか」


「颯くん、先日はお断りいただきましたが、少し話せますか」


「少しなら」


白鷺が俺の隣を歩き始めた。


「颯くんのDBのこと、調べました。帝都全域で三十件以上の商店街のデータが集まっているそうですね」


「どこから聞きましたか」


「商工会議所です。西田部長が、非常に評価していると話していました」


俺は少し頭に入れた。白鷺は商工会議所にも繋がっている。


「弊社と組めば、全国展開が今すぐできます。データ収集のリソースも、ネットワークも、颯くんが今持っているものの百倍の規模で動けます」


「お断りします」


「なぜですか」


「俺がやりたいのは、規模を大きくすることじゃないので」


白鷺が少し首をかしげた。笑顔のまま。


「では何がしたいんですか」


「才能がある人間に機会を与えることです。規模は結果であって、目的じゃないです」


「それは——財前さんとの関係でも実現できますか。財前さんは」


「健康の話をするつもりなら、やめてください」


白鷺が少し間を置いた。


「……颯くん、一つだけ」


「なんですか」


「あなたは今、財前さんを守ろうとしていますよね」


「そうです」


「なぜですか。ビジネスの関係なら、代わりは作れます」


俺は少し、白鷺を見た。


この人間は、俺の動機が理解できていない。


ビジネスの関係だから守る、という発想がない。


「白鷺さん、一つだけ聞いていいですか」


「どうぞ」


「白鷺さんが囲っている七人の異能者、彼らの名前を言えますか」


白鷺が初めて、表情が微かに動いた。


「……どこでそれを」


「財前さんから聞きました。その七人は、今も連絡が取れますか」


白鷺が少し間を置いた。


笑顔に戻った。


「颯くん、そのことについては、今は答えられません」


「ではお断りします。失礼します」


俺は来栖堂の方向に歩き始めた。


背後で白鷺が「いつでも、どうぞ」と言った。


笑顔のまま、声だけで。


来栖堂に入ると、七海がいた。


「颯、なんか顔が硬い。どうした」


「ちょっと嫌な人間と話しました」


「誰」


「後で話します。葛饅頭、ください」


「はい」


七海が包んでくれた。


一口食べた。


甘くて、静かな味がした。


落ち着いた。


白鷺と話した後に来栖堂に来たのは、たぶん偶然じゃなかった。


---

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ