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仕事帰り、ふと夜空を見上げた伊達。
メガネ越しに広がる星空は、驚くほど無数の光で満ちていた。
「俺の目が悪かっただけで、こんなにあったんだな……」
胸が熱くなり、しばらくその場を動けなかった。
少年の頃、友人と星座を探した日のワクワクがよみがえる。
視力を取り戻しただけなのに、忘れていた心まで取り戻せるなんて思わなかった。
伊達は空に感謝のため息をついた。
「そういえば、あいつはどうしているんだろう……」
何十年も連絡をとっていない友人。元気でいることを、そっと願った。