闇月に咲く花

闇を生きることを宿命づけられた、暗殺一族・月影。
その次男・昴は、冷酷を装いながらも、人としての痛みを密かに抱えていた。
任務の夜、彼が出会ったのは、光を宿す瞳の天才画家・幽紗。
だが、幽紗もまた、誰にも明かせぬ影を抱えていた。
感情を捨てることに慣れた昴の胸に、初めて芽生えたものは、恋か、希望か、それとも罪か。
交わってはならないふたりの出会いが、静かに、しかし確実に運命を狂わせてゆく。
影と光。二つの孤独が交わるとき、世界は変わり始める。