課題1 仲直り
土曜日の昼前。教室の中には副担任と僕のたった二人。
筆記を終えた答案用紙をざっと眺め、最後に名前を書いたことを確認する。
先日雨に打たれ体調を崩した結果。放課後に土曜日にと、期末試験の追試を受ける事になり……それがようやく終わった。
本日校内では中学生向けの体験授業が行われており、僕の追試姿を見学されたらどうしようと思っていたけれど廊下を歩く数人と目が合うだけで済んだ。
やれやれ、先輩の威厳、見せちゃったかな。
「終わりました」
と声を出す。すると。
「んぉ、お疲れさん」
テストの監督をしてくれた副担任の阿部先生が眠そうな目を僕に向けた。
「忙しいのにありがとうございました」
追試を受けているのは僕一人。まあ追試というか病欠への特別救済措置を頂いたのだが、その為に教師一人を拘束するのはなんだか申し訳ない。特に吹奏楽部の顧問でもある阿部先生は体験授業の一環で部活紹介の準備もあったりで忙しいはずだ。
「演奏までは時間があるからいーよ。というか、あとは生徒達の仕事だし。俺は撮影カメラの録画ボタンを押すだけ」
三十歳前、まだ青年といった容姿の阿部先生は他の教師陣よりもフランクな態度で答えると答案用紙を回収した。
「さてと。じゃあ昼飯でも食うかな。綾野はもう帰り?」
「小林、じゃなくて、生徒会の友達が手伝えって言うので少し残ります」
「おー偉い。ならついでに吹奏楽の演奏聞いて行きなよ。観客は多い方が良いからさ」
「はい、寄ってみます」
阿部先生が教室から出て行き、本日の追試終了。
五科目はそれなりに手ごたえがあったし、これでようやく一息つける。
「よ、追試くん」
「お、和菓子屋のドラ息子」
生徒会で体験授業のアレコレを準備していた小林がビニール袋を片手に現れる。僕を労いに来たわけでは無く労働力が逃走する前に首輪をかけに来たのだろう。
「ドラ息子はやめろ。で、テストはどうだった。俺のヒントは役に立ったか?」
「あんなふわっとしたヒント役に立ちませんでした」
「生徒会役員がテスト用紙を横流しなんてマズいだろ? そんな俺からの精いっぱいのエールだったんだが。期待に沿えず申し訳ない」
小林が謝意の欠片も無い表情で詫びる。
「とはいえ約束は約束。コレ預けるから校内回って体験入部の様子をテキトーに撮ってくれ。まずは体育館からスタートで、あとは見栄えの良いとこを頼む」
テストのヒントを貰う代わりにお手伝いを引き受けたのだけれど、これ、詐欺では?
机の上にデジタルカメラと生徒会の腕章が置かれる。
「昼ごはんもまだなんですけど」
「そのくらいは準備してある」
ビニール袋から焼きそばパンとどら焼きが取り出される。どら焼きは小林の家のやつだ。ありがたく焼きそばパンに手を伸ばす。
「しまった、飲み物を忘れた」
小林は隣の席に座りため息をつくと、腕時計を確認した。おそらく今から一階にある自動販売機まで行く時間でも考えているのだろう。
結局小林は背もたれに体重を預ける方を選んだ。
「午後は何すんの?」
「俺は希望する中学生から学校生活について質問を受け付けるんだが、これがなかなかどう答えたものか難しい。スクールカーストってあるんですか、イジメってあるんですか、とか聞かれても答えようがないからな。俺は校内の下世話なゴシップしか知らん」
こいつ真面目な顔でクソみたいな話をしている。
「例えば?」
「美人で有名な金井先生を体育の外岡先生が好きらしいが、金井先生は音楽の、さっきここに居た阿部先生がタイプらしい」
「恋のトライアングルじゃん」
「集会の時とかに外岡先生の視線を追うのも面白いぞ。あ、男子高校生とおんなじ目つきしてる……ってなる」
「外岡先生かわいそ」
「教師も一人の人間なんだとわかる身近で良い話題だろ」
小林はビニール袋から取り出したコロッケパンに齧りつき、懐から取り出した進行表を眺めはじめる。
「園芸部に入りたいんですけどって中学生いたら教えてよ」
「文化祭で金を荒稼ぎする事を目的とする部活を紹介したくはないな」
「部長がお金好きなだけで僕はノルマに従ってるだけだから」
ちなみに売り上げノルマを達成すると部長直々にご褒美が貰えるので部員のモチベーションは高い。
「まさかとは思うがこれから体験入部の生徒に葉っぱ売りつけたりしないだろうな」
「幾ら部長でもそんなことは……しない、はず」
「頼むからザクロ部長の手綱は握って置いてくれよ? せめて俺か生徒会長に事前報告だけ頼む……」
ちっこくて虚弱で口が回り、要領がよく、お金儲けが大好きな我らが部長ザクロちゃんを止められる者は存在しないのだ。
小林も苦い思い出があるのか表情が優れない。
「……話は変わるが、大場が文化祭用に豚汁を作ると言っていたの憶えてるか?」
「ああ、最近ずっと調理研に入り浸ってるとは思ってたけど」
「実はあれ、中々凄くてな。お前が休んでいる内に校内で異臭騒ぎが起こったんだがそれが調理実習室で――」
などと無駄話をしているうちに、体験入部が始まった。
・・・
体育館二階のキャットウォーク、細い通路に立ち吹奏楽部を見下ろす。ここからなら吹奏楽部と見学の中学生を良い感じに撮影出来そうだ。
「未来の部員のみなさん、こんにちはっ! これから体験入部で色々な部活を見て回るかと思いますが、まずはぜひ吹奏楽部の演奏を楽しんでくださいっ、そしてぜひ来年は入部してくださいっ! 一曲目はシング・シング・シングですっ」
眼下で指揮者の生徒がパイプ椅子に座る中学生たちに挨拶すると、拍手と共に聞き覚えのある曲が始まり、パシャッと撮影する。
「……微妙」
さすがに学校の備品だけあってカメラが古すぎる。どこかに望遠カメラを持ってる悪魔でもいないだろうか。
液晶モニターを眺めながら丁度良い構図を探していると、見覚えのある長髪女子を発見。演奏中はポニーテールにしているらしい。とりあえずフルートを吹く横浜さんを撮影。続けて何枚か吹奏楽部を撮影。液晶モニターで撮れた写真を確認。
それなりの出来栄えだけれど、まあこんなものか。
この古いデジタルカメラで撮影するよりもスマートフォンのカメラで撮影した方がよっぽど綺麗な写真が撮れそうだけれど……。私物のスマホで中学生やら女子の姿を撮影していては世間体が悪すぎるし仕方あるまい。
「シング・シング・シングでしたっ! 続いて――」
吹奏楽部の演奏は一曲目が終わり、二曲目に突入。この曲が終わるといよいよ体験入部の始まりだ。
……体験入部。
中学生の時は学校見学もせず当時の担任に勧められるままに決めた高校だったけれど、眼下の中学生に倣って大学くらいは早めに調べた方が良いのかもしれない。
とりあえずのどかで静かな地域が良いとして北は北海道、南は沖縄あたりは悪くない。他だと、一説では島根はパソコンが無かったり香川ではゲームが規制されていたりするらしいからバーチャル系の魑魅魍魎が寄り付かなそうな四国も悪くはなさそうだ。いっそ海外というのも悪くは無さそうだけれど、その場合は教会での英会話レッスンに力を入れないと厳しいか……。どこか遠く、何も失わず一人になれる場所が理想だ。
キャットウォークの手すりに寄りかかり本日の体験入学会の資料を確認。野球部、サッカー部、陸上部、テニス部、この辺りは抑えておくとして。文科系は吹奏楽部を省くと……。しゃがんで手すりにもたれかかり、じっくり資料に目を通す。
「……」
思ったより沢山部活がある学校なんだ、ここ。
これは園芸部に入る新入生なんていないのも納得。あのギャル後輩はよく園芸部なんて見つけたなと呆れるほどだ。ボードゲーム研究会とか絶対楽しいやつじゃん。こっちに入ればよかった……。
しばらく資料を読み込んでいると二曲目の演奏が終了し拍手が響き、パイプ椅子の軋む音が聞こえてくる。
僕もそろそろ移動して写真を撮らねば。
そう思うのだが。
「……ふぁ」
追試終わりの昼食後という事もあり気が抜けてウトウトしてきた。
撮影、変わりにやってくれないかなとスマートフォンをタップしギャル後輩にメッセージを送るとすぐに返信が来る。
園芸部の面々が幽霊部員を除いて部室のプレハブ小屋前に集まっているようだ。
『部長が体験入部にかこつけて中学生に肥料を撒かせようとしてる』
『積極的に入部希望者を減らそうとしてる……?』
『あとミニサボテンを受験合格のお守りとして売ろうとしてる。辛抱強さの象徴、粘り強く努力を継続するパワーがサボテンから与えられるのだ。だって。これホント?』
『ホントだよ』
部長の事はさておきギャル後輩が居るなら丁度良い。メッセージでのやり取りを止めて通話ボタンを押す。
『おつかれー、パイセンも居るならこっち来なよ』
「生徒会のお手伝い中」
『あ、またイケメン先輩に買収されたなー』
「テストのヒントと和菓子を貰う事を買収と呼ぶのなら、そうかもしれない」
『じゃあそーだよ』
「部長は元気?」
『元気ありあまってる』
「それは良かった。でさ、後輩にちょっと手伝って欲しいことあるんだけど」
『ん?』
「校舎で楽しそうな体験入部やってたら写真撮影して僕に送って」
『サボる気でしょ。ま、病み上がりかつ追試終わりでお疲れだろうからやってあげるけど。あ、部長そんな雑に土掘り起こしたらダメだって、根っこから――』
プツ、と通話が途切れる。
特に対価を求めることもなくお願いを聞いてくれるとは、なんだか人間としての器の違いを見せつけられたような気分だ。僕も、こういう人間になりたいものだと薫陶を受ける。
が、睡魔には勝てずほんの二時間だけ眠るつもりで目を閉じていると……。
ピィッと鋭い音が頭上で響き、驚いて手すりに頭をぶつけてると、手すりがゴォンと反響した。
「おはよ、綾野」
頭をさする僕のすぐ傍にはフルートを持った長身長髪の女子が立っていた。
先ほどまで合奏を披露していた横浜さんだ。
「なにか用?」
横浜さんは無表情で僕を見下ろしているものの、普段からこの様子なので機嫌が悪いという訳ではない、はずだ。
「暇なら夏生に付き合って」
「ん?」
振り返る横浜さんの視線を追うと、そこには長身の横浜さんより頭半分ほど背の高い女の子が立っていた。ボーイッシュな短髪と横浜さんに似た顔は、女子高であれば王子様扱いされていそうな雰囲気。
「じゃ、私はこれで」
「え、お姉ちゃん一緒じゃないの」
妹さんがたじろぐ。僕も説明不足に困惑。
「片付けあるから」
横浜さんは初対面の二人を置いてあっさり去っていくと、気まずい沈黙が流れる。
「さてと」
なんて、間を埋めるような音を発しながらとりあえず立ち上がり、僕よりも気持ち目線が高い女の子を見つめる。どこかで見た事のあるような顔だなと思ったものの、それはまあ横浜さんの妹らしいから当然……。
いやそれにしたって、どうにも頭の奥が痒くなるような『どこかで見た事のある顔』だ。
「あの、その、私のことの憶えてますか?」
横浜さんの何が起こっても動じなさそうな瞳とは違い、気弱な雰囲気の瞳。
いつだったか、見た憶えがある。
場所は確か――我が家だ。
「もしかして、肉まんちゃん?」
見覚えがあるのも当然。
かつての、妹の友人だ。
・・・
カーン、と打ちあがった白球を体験入部の中学生がキャッチすると。
「うえーい」
と、男共の声がグラウンドに広がる。目立った活躍の無い野球部だけれど、髪型自由で和気あいあいと野球を楽しめる環境に需要があるのか、それなりの数の中学生がグラウンドに集まっていた。
まるで休日の草野球、そんな楽し気な様子を撮影。うん、中々良い写真が撮れた気がする。
「で、肉まんちゃん。僕に用事でもあるの?」
「にく……はい。その、エリのことで」
そりゃあそうだ。それ以外で女子中学生が僕に用事など無いだろう。
ちなみに推測だが『肉まん』という呼び名は『横浜』という苗字から横浜中華街→肉まんという安易な発想によって生まれたに違いない。
「エリは元気にしてますか?」
妹が小学生のころ、たまーに横浜さんの妹を我が家で見た憶えがある。もっとも当時の僕は誰にも彼にも彼女にも関心が無かったから会話をした記憶は無いけれど、妹が友達を家に呼ぶなんて珍しいなと思った事は確かだ。
妹とゲームをしてはしょっちゅう泣かされていたような気がする。そして。
中学一年生のある時期を境にパッタリと見なくなった。
「エリは……深刻な状況かな」
視線を落とし、悲し気な顔を作る。
「え」
「エリちゃん、もう部屋の中で一人で喋ったり騒いだりしてて……」
「そんな、エリ。私のせいで」
肉まんちゃんが口元に手をやる。
「ネットの皆が友達って言うか、全人類見下してる節もあるし。僕に嫌がらせもするし」
「あぁ。そんな」
「しかも……ああいや、これは流石に、言えないか。エリちゃんがあんな手段で金を稼……」
「何があったんです、教えてください、力になりたいんですっ」
やばい。本当に心配してるっぽい。
お友達の悪魔と遊ぶ感覚で調子に乗ってしまった。
「まあ、なんだ。そういえば肉まんちゃん髪切った?」
「露骨に話題を変えないでくださいっ」
冗談半分だけれど、気になっているのは本当。
僕の中にある横浜さんの妹の姿と、目の前にいる彼女の姿はかなり違う。昔は三つ編みおさげの丸メガネ、気弱な文学少女だったはず。
それが今では王子様風長身女子、かなりの激変だ。もしかしたら身長は昔から高かったのかもしれないけれど、猫背だったし。この子をあの『肉まんちゃん』だとすぐに気がついた僕ってもしや凄い洞察力があるのではなかろうか。
「そんなに気になるなら、うち来る?」
面倒くさがって最短距離を提案すると。
「それは、……その」
快諾は貰えなかった。
横浜さんの妹は頷くことも断る事もせず、口を開きかけては閉じるを繰り返す。どうやらすぐに解決する問題、という訳ではなさそうだ。
とりあえず柔和な表情を作り。
「ごめん、気が利かなかった。直接は行けないから勇気を出して僕のとこに来たんだもんね。兄としてはそれだけで嬉しいよ」
そう言っておく。
大方、妹を登校させたいとか気まずくなった関係を修復したいという相談だろう。
まさか横浜さんの妹だとは思わなかったけれど、そう言えばたまーに横浜さんが我が家の妹の様子を聞く事があったような気がするし。この妹ちゃんなりにエリちゃんの事を気にかけていたのかもしれない。
僕としても妹を社会復帰させ兄離れさせたい思いはあるから横浜さんの妹の登場は都合が良いっちゃ良い。
個人的にはこの子に思う所はあるものの……まあ、そこは一度忘れておこう。
そもそもキミがしっかりしていれば妹はまだ学校に通っていたかもしれないのに、というのは、一端忘れておこう。相手は中学生だ、ムキになる相手じゃない。そう言えばうちのエリちゃんがイジメられたらしい時、助けなかったんだっけ、なんて。少なくともこのタイミングでは言うべきでは無いだろう。
では、横浜さんの妹はどう使うのが良いのだろうか――と考えていると。
「……似てる」
彼女が僕の目を見て呟いた。
「それって。もしかして僕とエリちゃんがってこと?」
心外なんですけど。
「あ。何というか見た目とかじゃなくて、その、怒りませんか?」
「うん」
もう怒ってる。
「えと、心にもないこと言ってそうな感じというか。内心で別の事を考えてそうというか。人を自分に都合の良いように使おうとするとこが似てる……あ、いえ、すみませんやっぱり今の聞かなかったことに」
「遅い遅い。全部聞き取れた」
類は友を呼ぶというか、妹の友人らしい性格だ。
「まったく嫌だな肉まんちゃん、エリちゃんはともかく僕は人を都合の良いように使おうとか考えた事無いよ」
「…………?」
目を逸らし斜め下に首をかしげる様子から、どうやら横浜さんの妹は僕を信用してくれたらしい。いやぁ、よかったよかった。
それにしても遺憾だ。
まさか僕とエリーゼちゃんが似てるなんて言われる日が来るとは。ここは真っ当な人間の威信にかけてエリちゃんとは違うと証明しなければ。
「あ、あと、ですね、お兄さん。その、肉まんちゃんって呼び方は、ヤです」
意を決したように告げられる。
少々意外だった。どう見ても芯が弱そうなタイプなのに、年上の人間にこういう言い方が出来るとは……。
「ごめん、気を付けるよ」
「いえ、そういうのはちゃんと言おうって、決めたので」
揺れながらも、真っすぐとした視線を向けられる。
「そっか。うん、そっか」
なるほど。
「……?」
横浜さんの妹だから相手をしていたけれど、もう少しだけ、様子を見てみるか。
「キミがエリーゼと仲直りできるように微力ながら力を貸すよ」
「っ、ありがとうございます。私、エリに言いたいことがずっとあって、だから――」
横浜さんの妹にギュッと手を握られ、その温かさにゾッとする。
「おっと落ち着いて」
急に人間に触られると心臓に悪いな……。そっと掴まれた手を離す。
「あ、すみません私」
「いいよ。で、じゃあ作戦は僕が立てようか」
「良いんですか?」
自分じゃどうにも出来ないから僕の元に来たんだろうに。
「まあ、エリちゃんゲームが好きだから。オンラインとかで一緒に遊べば少しは喋りやすくなるんじゃない?」
「わわ、私だって名乗ってから遊ぶ感じですか」
急に弱気な目になった。
「じゃあ匿名さんとして喋ってみて勇気が沸いたら対面してみたら? 勢いつけてからなら行けるかもよ。ゲームはリハビリってことで」
横浜さんの妹はゴクリとつばを飲み込み頷く。
「そ、それなら。大丈夫かもしれません。勇気、大事です」
自分で言ってなんだが、一緒にゲームやったからって仲直りするのだろうか。疑問だ。
「勇気……。持ちます。だから、お願いしますっ」
堂々とした言葉。
小さい頃の泣き虫の彼女とは見た目以外もかわったのかもしれない。
それならば今はとりあえず信じてみよう。
上手くいけば、僕も身軽になるだろうし――。
「それじゃ改めてよろしく、ジューシー肉まんちゃん!」
僕の中で彼女への評価を上げてみると、目の前のキョトンとした目元にみるみる涙が溜まっていき――。
「百円上がっただけぇぇっ」
あ、泣いた。
かくして。
僕は様子を見に来た横浜さんに尻を蹴られたのだった。




