ᓚᘏᗢ 地鳴りか遠雷か ᗢᘏᓗ
――ゴロゴロゴロゴロゴロ。
夏のある日。
俯せで寝ていた私はその大きな、いや、大きくはないのだが低く頭の芯へと響き渡る音に目を覚ました。
頭を持ち上げる。薄暗い闇の中。まだ早朝という時間帯であろう。
耳を澄まし、欹てる。
何故か音が小さくなっていた。
しばらくしてもそれは変わらない。
再び首を落とし、眠りへと向かう。
だがそのときまた低く響く音が聞こえた。
首を巡らすと、そこには闇の中で緑色に光る二つの人魂が。
違った。
猫の目だった。
夏の暑い日が続くと、猫があまり近寄って来ない。
しかしたまに身体にすり寄って来る。
寂しいのだろうか。でもそれも長続きはしない。体温に熱せられて離れてしまう。
朝方だと気温が下がってくっ付いていても不快にならなくなったりもする。
そのとき、こうして近づいてきて一緒に寝ているのた。
というか、こんなに近くに寝ていたらビビる。
しかも咽喉を鳴らしているなんて。
――ゴォーゴロゴロゴロ、ゴォーゴロゴロゴロ。
よく聞いてみると、呼吸に合わせているのがよく分かる。
未だにこの猫の咽喉が鳴るという現象はよく解明されていないらしい。
下手すると横隔膜が響いている、とかいう説もあったりする。
これは猫と一緒にいてゴロゴロさせて身体に耳を当てて聞いてみればすぐに分かることだ。
咽喉の辺りが一番大きく聞こえるというのは。
猫好き、猫の研究者、猫が可愛い、なんでもよいが猫に懐かれていることとは同義ではない。
飼い犬ならば飼い主に懐くのは当たり前だ。
飼い猫はエサを貰えば、それで良い、という具合の懐き方もある。
エサでしか懐かせられないというのも問題があるのだろう。
ちゃんと撫でたり、猫が嫌な時には離れていたりと猫自身にも選択できて、その上で呼んだら来てくれるような飼い主と飼い猫の関係では、私は、ありたい。
AからBへ。またはBからAへ。塀の上で口笛でやって来るようになったときに短い距離を呼んだら来るように、そして来たら撫でて褒めてあげることを繰り返したおかげだろうか。
私の飼い猫は呼んだら寄って来て擦りスリと頬擦りをする。
他の家族にはそうではない。この優越感。
可愛い。懐いている猫のこの可愛さ。
それで家族がエサでしか呼べないためにエサをやりすぎて吐かせたりするのはどうしたものか。
家族の飼い猫にたまに会ったらゴロゴロ言わせてたら、会い行ったら撫でる前にゴロゴロ言うようになった。
このなんとも言えない優越感よ。猫は可愛い。
たぶん2021年 08月31日ごろ作成