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【漫才】道順

作者: 橋本 結伊

二人「はい、どうもー」


ボケ「あのね、この前、街をぷらぷら歩いてたら道順を聞かれたんですよ」


ツッコミ「ああ、よくありますよね。それは親切にしてあげないと」


ボケ「それがね、コアラだったんですよ」


ツッコミ「コアラ? あの動物の!?」


ボケ「そう、向こうから歩いてきたの」


ツッコミ「木にしがみついているイメージしかないけど、二足歩行で??」


ボケ「そうそう、テクテク歩いてきてね」


ツッコミ「大きさはどれくらいなの?」


ボケ「俺とそんな変わらない」


ツッコミ「本当にコアラか!? 着ぐるみとかじゃなくて?」


ボケ「なんか、ポケットに手を突っ込んで歩いてくるから‥‥」


ツッコミ「オセアニアの動物はだいたい有袋類だけど、そのためのポケットじゃないでしょ」


ボケ「でも、けっきょく恥ずかしくて。“急いでますんで”って断っちゃって」


ツッコミ「ふつう、そこは怖い、とかじゃないの」


ボケ「そこでね、街でコアラから道順を聞かれたときの練習をしたいな、と思って」


ツッコミ「どういうシチュエーション!? めったにないよ、二足歩行のコアラに道順聞かれるなんて」


ボケ「おれ、そのコアラやるから。おまえ、おれやって」


ツッコミ「そこは逆だろ!」


ボケ「ほら、おまえ、そういうの、うまそうだから、手本見せてほしいわけよ」


ツッコミ「まあ、わかったわかった。道を教えればいいのね」


   ボケ、両手をズボンのポケットに入れながら歩いてくる。


ツッコミ「ポケット二つあるのかよ。まあいいけど」


ボケ「あのすみません」


ツッコミ「はいはい、どうなされました?」


ボケ「この辺で、ユーカリを売っている場所ってありますか?」


   ツッコミ、ボケを制して、


ツッコミ「ちょ、ちょっと、止めようか」


ボケ「どうした?」


ツッコミ「いきなり難易度高いって。ユーカリ売っているところ、おれ知らんから。花屋でも売ってないでしょ」


ボケ「え? 売ってるでしょ。おれ、Amazonで売っているのを見たよ」


ツッコミ「街中で聞かれてるのに、Amazonで買って下さいって言えるか」


ボケ「じゃあ、ちがうパターンで」


ツッコミ「頼むよ。ふつうに聞いてきて」


   ボケ、両手を前に突き出してなにかにしがみつくように歩いてくる。


ボケ「次に飛び移る枝はどこですか?」


   ツッコミ、またボケを制して、


ツッコミ「待て待て待て。枝を掴みながら歩いてきたの?」


ボケ「コアラは基本、地面を歩かないから。枝の間を飛び移るんだよ」


ツッコミ「知らんから。コアラに枝を飛び移る習性があるなんて。それにコアラが飛び移れるような枝なんてそうそう道端に生えてないから」


ボケ「じゃあ、ふつうに行きます」


ツッコミ「そうそう、ふつうに来て」


   ボケ、今度はふつうに歩いてくる。


ボケ「お、キミ可愛いね。どう、これから一緒に枝に飛び移らない?」


ツッコミ「おれ、いつの間に、メスになってる!? それに枝なんか無いって!」


ボケ「そこに、いいアカシアの木があるんだよ」


ツッコミ「おいおい、止まれ止まれ」


ボケ「どうした?」


ツッコミ「道順を聞くんじゃなかったのかよ。それナンパだから。あと、アカシアの木ってなんだよ」


ボケ「コアラって、アカシアの葉っぱも食べるから」


ツッコミ「そんな豆知識いらん。っていうか、おまえの方が、コアラに詳しいじゃねえか」


ボケ「すみません、シドニーってどっちですか?」


ツッコミ「南の方!」


   手をクネクネさせて道順を示しながら、


ツッコミ「どこをどう曲がれば、行けるとかいう、距離じゃないから!」


ボケ「ああ、ごめん。オーストラリアの首都はキャンベラだった」


ツッコミ「いちいち、その知識いらんから。腹立つなあ!」


ボケ「じゃあ、コアラのマーチはどこで売ってますか?」


ツッコミ「コンビニ行け!」


二人「ありがとうございましたー」



- 終わり -

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