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排水溝

作者: 夏 蜜柑

どうやら人間は、日々、愚痴や不満を溜めていて、

それを定期的に吐き出さずにはいられないらしい。


突然電話がかかってくれば、相談に乗る。

愚痴を聞いて欲しいと言われれば、話を聞く。


私は、それを受け止める。


当の本人は、すっきりしては帰っていく。

私には、ずしっと疲労感が押し寄せる。


永遠と話を聞いているわけでもない。

唐突に、中断されることだってある。


「ごめん彼氏帰ってきたわ」

「はーい」

「ごめん12時からでもいいかな?」

「はーい」


自分からは、何も言わない。

ただ受け止めて、ずしっとした疲労感に耐えるだけだ。


人の話を聞くのは、

嫌いではなかったはずなのに。

何故だろう。

最近は、電話をきるたびに、

自分の疲労が着々と積み増されて行くような感覚に陥る。



自分の悩みを相談してみたこともあった。

しかし、

頭ごなしに否定され、責められ、冷笑され、

かえって疲労が増えてしまうことになった。

そんな論調に毎回耐えられる程、私は強くない。


それ以来、

もう私は誰にも相談できなくなってしまった。


しかしながら、私は知っている。

やがて、壊れてしまうのだろう。

自分の気持ちすら受け止められなくなって。


何で、私の時間を奪って、勝手に振り回すの?

これ以上、邪魔しないで。やめて。

思ってもいないような言葉まで出てきてしまう。

重症みたいだ。



それでも、本当に

私が壊れてしまったら


「要らない

 さよなら」


って言うんでしょう?


今日も電話の着信が鳴る。


どうやら人間は、日々、愚痴や不満を溜めていて、

それを定期的に吐き出さずにはいられないらしい。


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