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なんだか大変なことになってきました。ヴィアナ大暴走。
流石に寂しくなったのかアレースがセレナに質問した。
「あのー、それ僕に決定権ないの?」
「あっごめんなさい。忘れていたわ。」
あまりの言われようにアレースは一気にまくし立てた。
「酷くない?一応当主だよ?偉い人だよ?」
母は強かった。
「でもリコリスが行きたいと言ったらどうせ貴方は反対できないでしょう?」
「そうなんだけどっ!でも相談ぐらいして欲しいな!」
反対できないのかよっ!当主としての威厳は何処へ?今までの余裕は?
なんなんだこの家族は。
全ての決定権が娘にあるとは。
もしリコリスが国を破壊したいと言ったら1週間以内に破壊することが出来るだろう。いや、何としてでも破壊するだろう。
それだけの力をこの家族は全員持ち合わせているのだ。末恐ろしい限りである。
「で、リコはどうしたいの?」
やはり決定権はリコリスにある。
つまりリコリスを敵に回すのは自殺行為ましてや、国を滅ぼす事になるのだ。
そう考えるとやはり陛下は馬鹿としか言いようがない。
生粋の馬鹿だ。
リコリスは考えた、
(リズリット帝国の公爵家ともなれば面倒臭い事をしなくても良くなるかもしれない!)
悩みすぎたリコリスはついに楽な方に逃げた。
あまりにも突拍子も無さすぎて頭がパンクしたのだ。
「王妃様どうぞよろしくお願い致します。」
ソルシエール王国滅亡のお知らせである。
聖女であるリコリスの加護を失ったこの国はただの荒地になるのだ。つまり滅亡を意味する。
「リコリスちゃん私はもう王妃じゃないのよ!だからヴィアでいいわ!むしろそう呼んで!」
「じゃあヴィア様改めてよろしくお願いいたします。」
もう誰もこの決定に口を出すことは無かった。どうせ言っても無駄な上に、言うことが出来る立場の者が皆言葉を発せる状況ではなかったのだ。
グレイスは愛するヴィアナに離婚を突きつけられ涙目で俯いていて止める所ではなく、ルカは自分がしてしまったことの重大さに未だに茫然としている。
つまりこの者達を止める術は無いのだ。
その間にどんどん話は進んでいく。
「リコリスちゃん達の御屋敷は飛び切り豪華なものを用意させるわ!!できるまでは私の別邸で一緒に暮らそう!みんなはそれでいいかな?」
「あと出来るだけ早い出発の方がいいよね!ぅーん、もういっそ今日なんてどうかな?」
「ここからは大体1週間位かかるから途中に観光もしてー…。」
もう敬語が外れている。これが本来のヴィアナである。リコリス達が唖然とするほどのマシンガントークだ。
「えぇ、ヴィア様の言う通りでいいですわ。」
「そうしたら早速お父様にお手紙を出さないと!」
まさか手紙が着いてすぐに着くとはヴィアナの父も思わないだろう。やはり自由である。
「早く準備しなくちゃ!みんな後3時間後に馬車で大通りに集合ね!じゃあまた後で!」
まるで嵐が過ぎ去ったあとのようである。未だに陛下達はショックを受けていたがそんなことにかまけている暇は無い。
そうと決まれば早く準備をしなければ。帝国の姫を待たせる訳にはいかない。
リコリス達はよくわからないままその場をあとにした。
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