プロローグ 〜公爵令嬢は処刑されます〜 1
拙い小説ですがどうぞよろしくお願いします。
どこまでも晴れ渡る空の下で公爵令嬢であるリコリス・アストレアは断頭台の上に立たされていた。
その理由は全て冤罪。脳内お花畑な殿下と何故か私を目の敵にしている男爵令嬢にどうやら嵌められたらしい。
民衆の目は動揺の色に染まっていた。それはそうだ私は馬…少し頭の宜しくない殿下の婚約者。今までこの殿下の代わりに城下に来ては民の意見を聞いて、最善を尽くしているつもりだった。
混乱するのも当然というのは自意識過剰だろうか?
そんなことはさておき、この冤罪の内容はなんとも子供が考えるような馬鹿馬鹿しいものの数々だった。呆れてものも言えない。
この私がたかが頭が…殿下の恋人に嫌がらせを?
はっ笑わせないで欲しい。勝手に絡んできたのは常識知らずな馬…男爵令嬢しかも自作自演で私を裁く、ましてや処刑など私のお父様が許すはずがないと分からないのだろうか?
この国ももう終わりだろう。
でも…なんであんな常識知らずの男爵令嬢なんかに負けたのだろうか?
自分で言うのはなんだが私は美少女という部類に入る顔だと自負している。
絹糸のような雪色の髪、少し気が強そうな空色の瞳、庇護欲を誘う体躯。しかも恋人にうつつを抜かしていて公務を行わない殿下に代わり仕事をする健気さ。
……完璧では無いか!!
そう思ったら急に腹が立ってきた。なんで私がこんなめんどくさい事をしなくてはいけないのだ。勝手にすればいいだろうに。
嗚呼めんどくさい…
長々と身に覚えのない罪を述べられ嫌気がさす。
もうそろそろお暇してもいいだろうか?
こんな格好でいるなんて気分が悪くなる。
後でお父様にはたっぷりと嫌味をこぼして差し上げよう。
やっと長々とした文を読み終えたらしい男が刃を落とす合図を出す。私はこの時を待っていた…!
次の瞬間、リコリス・アストレアの断頭を見ていた人々は思考を停止した。今まさに処刑されるところだった令嬢の周りにたった今おとされた刃が砕け散っていたのだ…。
読んでいただきありがとうございます。不定期連載予定です。