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集合



「グルルルル....!!!」

巨大バケモノオオカミはますます近づいてくる。

逃げようにも、腰に力が入らず立ち上がることもできない。

(や......やばい......!!)

オオカミが牙がぎっしり生えた巨大な口を開き俺に襲いかかってきた。


「ガアアアアアアアアアアアアッ‼︎‼︎」


(あぁ...!!終わった...!!)



そのときだった。



「ハアアアアアッ!!!!」


バケモノオオカミの頭上に人影が現れた。

「は⁉︎」

その人影は、握りしめた大剣を、落下とともに力強くオオカミの頭に突き刺した!


ドスッ


あの剣の突き刺さり具合からすると、脳みそにまで到達している。






「あ...ああ...」


俺は、そのまま地面にへたり込んだ。

目の前で起きた一連の出来事に理解が追いついていない俺は、ただただあっけにとられていた。


無意識にずっと息を止めていたのに気づき、体が凄い勢いで肺に空気を入れようとして、ものすごい過呼吸になる。


汗がダラダラと流れて、過呼吸が自分で止められなくて胸がズキズキしてくる。


人影がこちらにずかずかと歩いてきた。


「全く何を考えている!?そんな軽装でこの深夜のロゼッタの森をうろつこうなど...

..!?その格好、オーライネも付けていないじゃないか‼︎」


やはり、人影の正体はさっきの女の人だった。

つか、今言ったオーライネってなんだ?


「ちょ、ちょっと、まって、呼吸が、ハァ、ハァ...。」






ある程度、呼吸が落ち着いた。


さっきの一連の出来事で、自分の精神力の弱さを痛感させられた。

あんなの、今までテレビや漫画やらで散々見てきたはずなのに。

いざ対面してみると、逃げることもできなくなるなんて。


タイミングを見計らっていたお姉さんが口を開く。


「あー...お前...何者なんだ?妙な見た目、初めて見る人種、さっきの非常識な行動...」

「...おい?どうした、顔が真っ青だが----」



ドサッ。


「な....⁉︎」


あ...れ....

なん...か...起き..れねー...


「おい‼︎どうした⁉︎立て‼︎」


さっきの...緊張....から...解き放....たれたから.....?....


「クソッ....とりあえず、こいつは王宮の寮に...」





「.......ぅ...」

強い光がまぶた越しにあたり、俺は目をゆっくりと開いた。


でかい洋風の窓から、光がいっぱいに差し込んで、俺の顔に直射している。


「....まぶし.....」


目をパシパシさせて、自分のいる場所を確認しようとした。


「あ、メガネ....」


あーもう、またこのパターンかよ....。

と思ったがメガネは近くの小さいタンスみたいなのの上に置いてあった。


メガネをかける。

周りを見渡す。


俺のいる部屋は、約6畳ほどの大きさの洋風な部屋だった。

あるのはクローゼットに小さい机と椅子のセット、それと今俺が寝ているベッドだけと、こざっぱりとしていた。


ベッドから出ようとした瞬間、ドアが開き


「ん、起きていたか。気分はどうだ?平気か?」


昨日の人だ。

彼女が近くの椅子に座り言った。


「さてと、そろそろお前の名前を教えてもらおうか。

私はクレア・パトラ。

このロゼッタ王国に仕える騎士だ。

まあ、ここらでは有名なんだがね」


(なんだよその名前...絶対本名じゃないだろ。

いやでも顔日本人じゃないしな...)


「あ....俺、は...会津あいづ大久だいくです...」


「アイヅ...?初めて聞く名だ。ますます妙なやつだな、お前は。国は?まあこの辺りの人間ではないだろう」

「あ...あの...」

「ん?」


「ここ、日本...じゃないんすか?

ロゼッタオウコク、って場所なんすか?」

「ニホン...?....あ!そういえば、この間お前と同じ様に見つかった連中がいて、たしかそいつらも同じような単語を発していたぞ!」


えっ?俺の他にも...!?


「ちょっと、そいつらに会ってみないか?」

俺はすぐにYESの返事をし、一緒に廊下に出た。


外に出ると、吹き抜けになっていて、やはり全体的に西洋風なデザインだった。

俺たちが出たドアと同じものが壁に続いている。


ようするに、ここは寮みたいな場所なのか。


人もいた。みんなアホみたいにゴツい男ばかりで、ギラギラとした重そうな鎧を着けている奴もいる。


俺は、自然と見知らぬ場所への恐怖心と警戒心で、攻撃的な目つきになってしまった。


「お?クレア、昨日の変な奴、起きたのか!」

「へっ、なよなよしてて女みたいだな。」

「昨日みたいにお姫様だっこしてかないのかー⁉︎」


むっさい男どもがヤジを飛ばし、でかい声でハッハッハと笑っている。


「あー、あのバカ共は気にしないでくれ。

あいつら筋肉と力こそが正義だと思ってるゴリラみたいなもんだからな。」

「いや、ハハ...。」


...俺、昨日この人にお姫様だっこされたのか...。


「まあ、嫌な奴ではない。むしろ情に厚いからな。もし会う機会ができたら、仲良くしてやってくれな。」

「あ、はあ...」


適当に会話をしながら、長い廊下と時々階段を進んでいくと、突然広い部屋に出た。

天井もぐんと高く、卵の殻の様にカーブした建築になっている。


(うっわ、この建物、思ったよりデッケエ...!!)


そんなことを思っていると、クレアさんが


「開けてくれ。また一人住所不明の迷子が出た。」


と、これまたクソでかい大理石の扉の前にいる甲冑のおにいさん達に言った。

すると、言った直後にその巨大な扉は「ギギギ...」と、重そうな音を出して開きだした。


「え...!?」


思わず驚いて声が漏れてしまう。

それに対しまた不思議そうな顔をするクレアさん。


完全に開ききった扉の向こうには、まさに漫画に出てくる様な王座とレッドカーペットが敷かれていた。


そして、レッドカーペットの横には、2人中学生くらいの子供が立っている。

1人はおそらく日本人で、もう1人は...なんだ!?


長い距離を歩き玉座の王様に近づいていくと、クレアさんは驚くべき速さでガシャッと鎧の音を立ててひざまずいた。

それ俺もやったほうがいい?

クレアさんは、顔を下に向けたまま


「王様、昨日南西の森で見つかった三人目の異界人と思われる者を連れて参りました。」


「ほおー。まだいたんか、異界人。」


王様のじいさんは思ったより割とフランクな口調で言った。


「まあ、新しいことばかりで混乱しとるじゃろ。そこの2人とちょっと顔を合わせときなさい。」

「あ、はい。」


俺は2人の方を見た。

片方は男。

無愛想なツラをしている。黒パーカーに長ズボン、おそらく家にいた時にここに飛ばされたんだろう。


「あー、やあ。...君、日本人だよね?」

「ん?ああ、そうだ。俺は霧島きりしま 叶人かなと。三河区出身だ。」

「!三河区出身って言ったら、結構俺んとこの近くじゃん!俺は会津大久。よろしくな。」


ああ、安心した...。


さて、もう片方は女の子。.....ってかこいつこっちの世界の住人だろ‼︎

髪色も瞳も真っ赤、ものすごい長さを後ろで束ねている。服装もこちらの世界のものだ。


「?...いや、アンタ...」

「ま、待って!私もここに飛ばされてきた人だから!ちょっと髪は理由があって...」


俺の考えていたことをズバリと当てたように少女は言った。

たぶん、さっきのやつに俺と同じことを言われたんだろう。


「私は彩蓮さいれん いろは。

君と同じ学校の人だよ。

会津君だよね?」

「ん...?あ、たしかに、よく見たら知ってる顔だ!良かった、よろしくな。」

「うん!」

彩蓮いろは。

前、一度休み時間で話題に出てきたことがあった。(顔面偏差値が高かったので)

確か俺たちと同学年のはずなのに、なぜかいつも別の階で勉強していたやつだ。

前駅のホームで出くわして、どんなイロモノかと思ったが案外普通の奴で拍子抜けしたのを覚えている。

(飽きたんで次につづく。

超長くなっちゃった。)

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