名前は
「そうだ!名はなんという?俺様はダブラ様だ。しょうがないから貴様の名前を聞いてやる」
そこでまた少女からデコピンがくると思い構えたが少女は悲しそうな表情である。白い髪が顔を隠しているが泣いているようにも思える。
「ズッキューン」
俺様の心が痛い。俺には心などない。あるのは殺戮を楽しむ感情だけだ。
(なのに何故心が痛いのだっ?)
彼女が「覚えてないの?」と小声でいう。そう言い俺に抱きついてきた。
「本当に何も覚えてないのね。私の名前はマリア=インセント。偉大なる大魔法使いアーリアの弟子であり、あなたの幼なじみよ」
そう言い抱いていた俺様から少し離れ見つめた。
(俺様は・・俺は・・獣王ダブラ・)
そう言いかけようとしたがやめた。
俺は既に死んだのだ。これからは勇者としてやっていこうではないか。そう決意した。このマリアを泣かせる者は例え魔王二ーデ様でも…
俺様の中の心が動いているのが分かる。これが恋というのだろうと。
「名前は分かった。俺様の事は・・・」
「ダブラ様でしょ!いいわ。思い出すまで、その名前にしましょ」
「して他の仲間は?」
そう俺様が言うとマリアが答える。
「わたしの魔法で、どっか遠くへ行っちゃった」
「えっ?」
こうして俺様と魔法使いマリアは仲間を探す旅にでるのであった。