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広がる世界2  作者: HGCom
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001 知らないアプリ

半年ぶり更新。

リハビリ程度に更新していきますので、よろしくお願いします。


 中学の頃から欲しくてたまらなかったスマホ。

 先月、高校合格のお祝いでやっと親に買ってもらったんだ。

 流石に人前で「ヤッター!」なんて、感情を表に出したりはしなかったけどさ。

 手に入れた時は、内心飛び上がらんばかりだったぜ。

 もしかしたら、気づかないうちに顔がニヤニヤしていたかもしれないな。

 そんな感じで、スマホが手に入ったのは良かったけど、ちゃっかり妹の愛梨(あいり)まで一緒に買ってもらってたんだ。


 父さん、「中学生には、早い!」んじゃなかったのかよ!

 愛梨は俺の一つ下で、今度中学3年なんだ。

「お兄ちゃんだけ持っていたら、かわいそうだろ?」なんてほざくなら、俺にも納得できる理由を言っとけよ。

 全く、愛梨には弱いんだから。

 いつの時代も、どこの家庭の兄妹も、割りを食うのは上ばかりなんだろうな……。



 スマホは、創成期から色々なアプリが増えたけど、22世紀の今でも、根本は大して変わらない。

 非接触で、レジや改札のゲートを精算して通過したり、リモコン代わりに家電の操作や鍵代わりになるというのも、技術の程度はあれど、昔からあったみたいだし。

 スマホの機能充実に伴って、キャッシュカードや免許証などの各種カードが世の中から姿を消していったのも、自然の摂理ともいえる些細(ささい)な変化だろう。

 音声や視線で操作するためのセンサーも機能が向上しているらしいが、当たり前に使っているから今更だ。


 そんな感じで、多少は本体(ハード)も進化があったんだろうけど、何といっても中身(ソフト)が重要だ。

 良いものは大抵有料アプリなんだけど、無料でも使()()()ものは結構ある!


 スマホを手に入れて、まず最初にやったのは、友人達からオススメのアプリを聞き出すことだ。

 流行のアプリをどんどん()()()いって、それ以外にも、面白そうなアプリや役立ちそうなアプリは、どんどん入れた。

 試しては消してを繰り返し、気が付くと、いつ入れたのか覚えていないアプリもあるんだよな。

 こういうのが、古き良き時代からある「スマホあるある」なんだと思いつつ、スマホで出来ることを色々試した。

 当然、アプリをどんどん入れると、容量も食ってしまうわけで……それで今日も、幾つか要らないアプリを消してたんだが――。


「消えない!」


 ちゃんと、消す操作(アンインストール)したのに、一つ消えないアプリのアイコンが残っている。


 バグか? いや、もしかしてウィルスアプリなのかも?

 そう思って、センターに問い合わせて、俺のスマホをネット経由で簡易スキャンしてもらうが、5分後に「ウイルスなし」と結果がでる。

 とりあえずホッとするものの、買って一か月しか経っていないのに、アプリが()()()()という異常動作に、何だか持ち物にケチがついたようで、ちょっとブルーな気持ちになる。

 買い替えるほどじゃないし、とりあえず誤操作しないように、設定で「無効化」なり、「非表示」なりする……が、無効化も非表示もできない。

 想定してはいたけど、嫌な事とは続くものだよな。


「やっぱコレ、ウイルスじゃないのか?」


 新種のウイルスは、登録されるまでウイルスと認識されないらしいんだよ。

 ホーム画面に、こんなアプリあったら流石に気づくしな……。

 いつもじっくり見るわけじゃないけど、少なくとも3日前に色々アプリを消した時は無かった気がする。


「そもそもコレ、いつインストールしたんだろう?」


 やっぱりどう考えても、このアプリを入れた(インストールした)記憶が無いんだよ。

 まぁ、深夜まで起きてる時は、眠くてたまに記憶があやふやだから、絶対俺が入れてないとは断言できないけどさ。

 でも、わざわざ他人が俺のスマホ触るなんて、考えられないし……。


「そもそもアプリ名が『広がる世界2』って何だよ!」


 自己啓発的なアレなのか?


 つーか、このタイトルじゃ、何のアプリなのか絶対わからない。

 エロサイトに(つな)がっても、変な宗教のサイトに(つな)がってもおかしくない。

 広がるって一体、どんな世界が広がるんだよ!

 そう考えると、さっきはよくぞ起動させずにアンインストール操作したなと、自分をほめてあげたい。

 有害な匂いがプンプンするぜ。

 それに、このままホーム画面にあるのは邪魔だ。

 せめて別の場所に移動させようと思い、操作する。

 音声指示や視線でのアイコン移動を受け付けないから、原始的に指で操作だ。

 アプリのアイコンをスライドさせて、ホーム画面から移動させて……それで、指を離し――。


「え!!」


 アイコンから指を離したとたんに、元のホーム画面に戻ってしまう。

 もう一度同じ操作をするも、アイコンはホーム画面の左下の位置におさまってしまう。

 ……これは素人がどうこうできるシロモノじゃ無いんじゃ?

 やっぱ、ショップに持って行った方が良いのかな?


 そんなことを操作中に考えていると、いきなりガチャッとドアが開く。


「お兄ちゃん、ご飯だって呼んでるよ?」


 そう言いながら、愛梨がノックも無しに部屋に入ってきた。

 驚いた俺は、思わずビクッと反応してしまったんだ。

 それが少し恥ずかしくて、ついつい文句を口にする。


「おま、ノックくらいしろよ!」


「えー、別にイイじゃん。そんなに慌てて、何か見られてマズいことでもしようとしてたの?」


 マズイことって何だよ……ってナニですか?

 俺が手に持つスマホに気付いて、興味を持ったのかそのまま中に入ってくる。

 いや、ホントに見られて()()()()()する時は、ドアの鍵かけるし、ブツはテンプレな場所(ベッドのした)に隠してある。

 エロいサイトを見て、スマホの履歴に残すようなヘマなんてチェリーな俺がするはずもない。


 隣に来た愛梨が、スマホの画面を覗き込んでくる。


「それ、何のアプリ?」


 手元を見ると、驚いた拍子に指が画面をタップしたらしく、例の消せないアプリを起動してしまったようだ。

 しかも、こんなメッセージが表示されていたんだ。


 ------------------------------------------------------------

[ようこそ、広がる世界2へ。本人確認が終了しました。]

 ------------------------------------------------------------


「あ゛ーーーーーー。コレ、どうしてくれるんだよ!」


「えっ? 何が?」


「いやいや、コレ、おま……。えーー、何だよ本人確認って!」


 怒りと疑問と不安が()()ぜになって、上手く言葉が出てこない。

 本人確認って、何か個人情報を送っちゃったのか?


「ノックしなかったのは悪かったけどさ……。でも、そんなのいつもの事じゃない! 何そんなに慌ててるの?」


 俺のうまく言葉にできないテンパり具合いを見て、とりあえず謝る愛梨だが、同時に(いぶか)しげな視線を送ってくる。


「あ!」


 そうだ!

 こういう時にも使えるからと、友達に教えてもらったアプリを思い出した。

 愛梨を放置して、急いでスマホの中からそのアプリを探しだす。


 その名も『切断君あるふぁー』。

 通行止めの道路標識の真ん中に電波塔が入ったようなアイコンで、『切α』という略字がアイコンの下に書いてある。


「あった!」


 これを急いで実行する。

 ポチッとな。


 ふー、これでとりあえず、スマホが「圏外」になったから、仮にウイルスだとしても、友達にウイルスまき散らす心配は無いか。

 道具は持つだけでなく、使えてこそだよね!

 ナイスひらめき、俺!


 本来の用途は、通信制限がかからないように、電波を圏外にしてくれるアプリらしい。

 電波が届いてなくて(オフラインで)も動くアプリを操作する時のためにと、(すす)めてくれた友達が説明していたんだ。


 これで、とりあえず友達に迷惑をかける(さいあくな)ことを回避できたな。

 問題は解決していない気もするけど、個人情報もこれ以上飛ばす事もないだろう。

 既に手遅れかもしれないけど、過ぎた事はしょうがない。

 それで、若干落ち着きを取り戻して顔をあげると、そこには俺――返事せずに無視してスマホを操作していた兄――をジト目で見つめる妹がいた。


 あれ、何か怒っていらっしゃる?

 ドア開けられて驚いたので反射的に文句言ったり、例のアプリを起動した事を八つ当たり気味に怒ったしな。

 うん、腹が立つかも。

 ただ俺としては、とりあえず水際で危機を乗り越えたような、ある種の達成感もあるため、既に怒りは収束気味なんだけど、……うーーん。

 ここは、笑わせて空気を(ゆる)ませるか。


愛梨(あいり)ちゃん、怒ってるでちゅか?」


 さっきまでジト目だった愛梨が、眉間に深い(しわ)を作ってコチラを見ていた。

 ……あ、マズイかも。


 予定では「プッ、ちょっと何ソレ」みたいに愛梨が笑ってくれて、ちょっと雰囲気を和らげようとして言った、赤ちゃん言葉だったんだけどな。

 地雷踏み抜いたか?

 今更崩せない笑顔のままで、愛梨と相対しながらよくよく考えると、さっきのセリフはおちょくっているようにも受け取れる事に気づく。


 しまった、そんなつもりは全くなかったんだけど、完全に言葉のチョイスをミスったな。

 すると、()れた様子の愛梨が腕組みして聞いてくる。


「もう一度聞きますけど、さっきのは、な・ん・の・ア・プ・リですか、()()()!!」


 般若(はんにゃ)じゃあるまいし、眉間に(しわ)を寄せて微笑(ほほえ)むなよ。

 それに、「お兄ちゃん」じゃなくて、「お兄様」なんて久々に聞いたな。


 さて、何て伝えようか。

 俺自身、何のアプリなのかよくわかってないんだから、「知らない」とか、「わからない」って答えるのが正解な気がするんだ。

 でも、この雰囲気で「知らないよ」って言ったら、勿体(もったい)ぶって、答えをはぐらかしているように聞こえるだろう?

 このままだと、火に油を注ぐ結果になるのは、目に見えているよな。

 でも、特に答える義務も無い訳だし、ここは三十六計――。


「それより、飯なんだろ? 行こうぜ!」


 そう言って、さっと立ち上がると、愛梨の横を通り過ぎて部屋を出て行く。

 まぁ、逃げても怒るだろうけど、説明するのも面倒くさい。


「あーーー、ちょっと、お兄ちゃんってばー!」


 そうやって、プリプリ怒りながら俺の後をついてくる愛梨。

 言っとくけど、おまえが想像するような、いかがわしいサイトに(つな)がるようなアプリじゃないぞ!

 たぶん……。


 俺の名前は、朝比奈(あさひな)斗真(とうま)。16歳。

 家族構成は、父、継母(ままはは)、義理妹、ネコ(♂)のごくごく普通の家庭だ。

 実母は、俺が小学生の時に事故で亡くなっている。

 さっき愛梨が言ってた、「お兄様」というのは、両親が再婚して俺達兄妹が出会った頃の呼び方だ。

 俺は、そんな良いところの坊ちゃんじゃないんだから、「兄貴」か「お兄ちゃん」って呼べよな! って言ってたら、そのうち「お兄ちゃん」呼びになったんだ。


 アプリは気になるが、とりあえず親を待たせるのも悪いし、先に飯食いに行こうっと。


22世紀のちょっとファンタジーな日本のお話です。

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