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支給日

チョークの乾いた音が教室中に広がる。

先生はチョークを止めた。そこに書かれてある事はインプという小悪魔の生体についてだ。

知的そうな黒縁のメガネをくいっと上げて先生は口を開いた。

「さてここで質問です。インプという小悪魔は君たちにどんな悪戯をすると思いますか?」

先生は教室中を見つめる。

生徒の中には下を向く人もいれば、堂々と先生の目を見ている人、余裕そうな顔をしている優等生もいる。

先生は堂々と目を見ているアデルの名前を呼んだ「ではアデル、インプが君たちにどのような悪戯するか答えてください。」

短髪で金髪の背が低い少年が答える「自分の秘密を探ってきます。インプに秘密を探られないようにするのは至難の業です。」

先生はにこやかな顔になった

「その通り素晴らしい答えです。」

その後すぐ真剣な顔に戻る

「インプという生物はまだ未知な部分が多いですがこの生物に秘密を探られると他のインプの耳にもその情報が入って非常に厄介です。」

先生は教師の机の下から赤色の布のかかった大きな箱を取り出す。

「中学1年生になり2か月が経ちました。君たちはこれからしばらくの間インプと共に生活してもらいます。」

先生が布をまくるとおびただしい数のインプがそこにはいた。

生徒たちの中には笑う人がいたが先生は箱のドアを開けインプたちに命令を下す。

「さぁ好きな奴の元へ行きなさい!」

一斉に飛び出したインプたちに目を向けるとゴキブリの大群が飛んでいるような光景に見えた。

全てのインプが好きな人の元へたどり着いたようだ。

僕のインプは「よろしく」と言ってきたが僕はそっぽを向いて「君は僕の秘密を探ろうとするんだからこれからは口を聞かないでくれ」と言った。

他のインプを見渡すと人間と同じく顔も違うし大きさも多少違がった。

可愛い女子のテスのインプはとても顔が整っていて太っている男子のベガッサの場合太ったインプだった。

まるでペットが自分と顔が似ていたりする現象と同じように思える。

授業終了のチャイムが鳴り先生が僕の顔を見る。

「ジェム、こないだのマンドラゴラについて宿題を忘れていますよね?」

先生は黒縁のメガネをくいっと上げて冷静に言っているようだが怒っているようにも見える。

「明日には絶対に完成させない」

先生は教師用の教科書を机に叩いて揃えるとそのまま教室を出て行った。

他の生徒も先生が出た後ゾロゾロと教室を後にした。

頭を抱えるていると上から声が聞こえてくる。

「僕は結構マンドラゴラの事、詳しいと思うよ?」

すぐさま上のインプに目を向ける「じゃあ教えてくれよ」

インプはニヤリと頬を上げると「条件があるよ?君の秘密を一つ教えてくれたら教えてあげる。」

僕は腹を立ててインプを振り払おうとしたがスイ~っと避けられる。

「てことは交渉決裂ってことだね」

インプは口に手を当てながら笑っている。

「図書室で調べるからいいよ!それと僕にもう二度と話しかけるな!」

怒りながら図書室へ向かった。

図書室にはグリフォンの乗り方やコカトリスの解毒剤、石の番人ガーゴイルの解剖記録やら難しい本が陳列されている。

僕はマンドラゴラに関する本を見つけようとしているが全然見つからない。

しばらくしてイスに座ると目の前に難しい本を読んでる人がいる。

大きな本のせいで顔が見えない。

この人ならきっとマンドラゴラの本がどこにあるのか知っているのかもしれないと声をかけようとした瞬間に読み終わったらしく本を閉じ机の横に置いた。

そして見覚えがある顔が僕の前にあった。

同じクラスで家が隣の優等生の中でも天才と言われているアルフォード・ゼフェだ。

話したことがないから少し緊張をしながらゼフェに問う。

「あのさ・・マンドラゴラについての本が見つからないんだけど・・」

ゼフェはこちらを一瞥して右に重なっている一つの本を取って「これの事?」と言った。

その本のタイトルはマンドラゴラと医学という難解そうな本で僕には読む事が難しい事を悟った。

「それ以外ないのか?」

ゼフェはその本を見て答える。

「これ以外は図書室にないみたいだね、ほんとにギルス先生は意地悪な人だ。普通の生徒が読める様な内容のものが図書室に置いていないんだから」

「じゃあ、みんな宿題はどうしたんだ?」

ゼフェは近くにある魔術図書館の方向に指を向ける。

「魔術図書館で初心者向けの本を読んで宿題を終わらしたんだろう。俺の場合は図書館にないような古い本がここにあるから通っているだけかな」

礼を言って図書室から出てガラス戸を閉るとゼフェの背中に隠れていたインプが頭を出した。こめかみに手をやりながらゼフェの後ろから本を読んでいて非常に賢そうに見えた。




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