第二十三章+最期
笑おう
そう決めた
この瞬間―――――――
「祐平・・・・・」
美波は言った。
「美波・・・・」
祐平は微かな声で言った。
「私・・・・祐平と出会えて良かったよ・・・?」
美波は必死に悲しみを押さえながら言った。
「今更・・・・だね・・・僕もだよ。後悔して無いよ」
「私は・・・・もう少しだけ・・・一緒に居たかった。」
美波は笑った。
「そうだね・・・・少し、未練があるかも。」
「―――何?」
「・・・・あの場所に・・・行きたかった・・・・」
祐平は微笑んで言った。
「行こうよ、私が連れてってあげるから。」
美波は言った。
「分かったよ、連れてって・・・」
「祐っ・・・・」
駄目だ
これ以上・・・・
耐えられない
「お母さんを・・・・呼んでくるね・・・・」
美波は立ち上がる。
「待って・・・・!」
祐平が言った。
力強い言葉。
「ありがとう。」
祐平は言った。
精一杯の微笑みで。
「――――――うん・・・・」
美波も微笑んだ。
あと少し、返事に遅れたら泣いてたかもしれない。
「お母さん・・・・」
美波は涙目で呼んだ。
祐平の、とは言えなかった。
最期なんだ
これで
呆気無い・・・・
呆気無さ過ぎて何も分かんないよ――――
最期最期最期最期・・・・・・
「さい・・・・・ご・・・・・。」
呪いの言葉みたい。
繰り返される言葉。
「大丈夫。」
約束したじゃない
あの場所に行くって。
行こう
絶対に
必ず
「約束だよ・・・・・」
手を組む。
願う様に。
「祐平っ!!」
祐平のお母さんの悲叫。
――――――――え?
ドアを開ける。
「美波ちゃん・・・」
嘘
嘘
嘘
嘘――――――――――!!!
「祐平・・・・。」
名を呼ぶ
返事が無い
近づいてみる。
微笑んでない
冷たくなっていた
目を閉じている
固く
固く
口も閉じている
固く
固く
祐平の手を握る
固く
固く
冷たい
見てられない
そう思った。
「祐平・・・・・っ」
駄目、逝かないで。
私を置いて逝かないで。
お願い
お願い
祐平―――――――!!
続きます・・・・!