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第十三章+拓と美波

――――――――泣いて空を見上げたら、涙が渇くことを知った・・・・・



「――――――――祐平・・・・・・」

美波はそう呟いた。

祐平はまだ目を開かない。

意識は在るらしい。

でも目を開かない。

「―――――――・・・・・・っ」

駄目

ダメ

泣いちゃ

祐平は大丈夫なんだから


泣いちゃ―――――――――――――


最近、行動が感情に負ける時が有る。

涙は感情に負けて呆気無く零れ落ちる。


駄目

ダメ

そう体は感情を拒絶してるのに

感情は勝ってしまうのだ

嫌だ

こんなの

嫌になってくる



―――――――――でも、そんな私にも光が在った。



目が治る

それは、つまり

モノクロの世界からの脱出

そして

カラーの世界への入国

嬉しい

でも

祐平に伝えられないのが悔しい



そして、明日は入国手続きの日となる・・・・・・・・・


それが、成功すれば。


私はごく普通の世界を手に入れる事になる・・・・・・



―――――――――――――運命の日―――――――――――――――



「――――――今日は頑張りましょうね、美波さん」

看護師のお姉さんはにこやかに言った。

安心した。

でも怖かった

何時の間にこんなに弱くなったんだろう

祐平が居たから?

甘えてたのかな

祐平に

だから祐平が・・・・・・・


美波は首を横に振った

いまはそんな事は考えないようにしないと・・・・・

大丈夫

大丈夫

ダイジョウブ

そう言い聞かせた



――――――――――――――――――



・・・・・・・んんっ


暗い・・・・・・


真っ暗じゃない?


微妙に見える・・・・・


光が見える・・・・・


「・・・・・・・・・・ぁ」


目が覚める

でも前が見えない

「美波!」

・・・・・・お母さん?

見えないよ?

「眼帯を付けてるから分からないわね、でも一週間位そうしておいてってお医者さんに言われたから、付けててね」

あ、だからかっ

良かった、手術失敗したかと思った―――――・・・・

・・・・・・あっ

「私どれ位寝てたの?」

全身麻酔だったから結構寝てたかもしれない。

寝てたと言うより麻痺してただけなんだけど。

「えっと・・・・・手術終わったのが午後二時位だったから・・・・・・」

お母さんが言う。

私は、何も見えないけど。

「今は五時半位かしら?」

「あ、そうなんだ・・・・・」

私は少し驚いた。

三時間も寝てたんだ・・・・・

というか、麻痺?

「どう?美波大丈夫?」

「・・・・・うーん・・・・・目の周りが変な感じ?」

「そうね、手術したからかしら?」

お母さんは曖昧に言った。

「祐平は?」

美波は聞いた。

「あーまだ眠っているわ」

「そうなんだ・・・・・」

美波は心配そうに言った

祐平は大丈夫かな・・・・・?

「それよりお腹空いてない?」

・・・・・・そう言われてみると。

お腹が減った

お腹が麻痺しないかな・・・・・

美波はそう思った。

「ビスケットがあるの、食べない?」

ごそごそと物音を立ててビスケットが入っている箱を取り出す。

「ハイ、口開けて?」

歯の辺りにカツンッとビスケットが当たる。

美波は口を開けた。

さくさくっ

ビスケットが軽い音を立てて砕ける。

「噛める?」

「噛めますっ」

美波は少し怒ったように言った。

「ハイハイ」

お母さんは苦笑したように言った。

しばらくして、お母さんは帰った。

一ヵ月位入院する事になるらしい。

あ―――――――――――退屈!!

美波はビスケットを齧りながら思った。

「やっほ!美波!久し振りだな」

・・・・・・聞き覚えのある声。

優希ユキ・・・・さん?」

「当たりっ」

「俺も居るぞ――――」

「えっと・・・・・・タクさん・・・・でしたっけ?]

「何だその可能性の無さ!当たってるから!当たってますから!!」

ばっこーん

優希の鉄拳が拓の頭に直撃する。

「病院では静かにしろや」

怒りのコモった声がする。

「ひぃぃ・・・・・・」

拓がビビった声を出す。

「良かったな、眼帯してて。」

「地獄だ・・・・・・!」

ばっこーん

「要らんこと言うな」

「ハイ・・・・・・スミマセンでした・・・・ぁ・・・・」

震えた声

確かに

優希さんって強いなぁ・・・・

美波は冷や汗を流しながら言った。

「おめでとう、目が回復して」

優希は花瓶に花を生けながら言った。

「有難う御座います」

「祐平はまだ眠ってるらしいな」

拓が言う

「らしいね、まだ熱があるらしいの」

「そうなんですか?」

美波は言った。

「そうみたいよ、美波は聞いてないの?」

「ハイ・・・・・・」

美波は小さく頷いた。

「そうなの・・・・・」

「あ、そういえばさアレ、食べる?」

拓が言った。

「あーアレね」

がさごそと何かが重なり、擦れ合う音がする。

・・・・・・・・?

美波は眼帯を外したくなってきた。

「ハイ、あーん♪」

優希が楽しそうに言う。

美波は素直に口を開けた。

ひんやりとしたモノが口に運ばれる。

・・・・・ナニコレ?

「なーんだ♪」

拓が楽しそうに聞く。

・・・・・甘いっ

・・・・・プリン?

いやいやいや何か違う気がする。

「・・・・ゼリー?」

美波は自信無さげに言った。

「正解☆」

美波は安心した。

「結構プリン仕様にしたんだけどなー」

優希が悔しそうに言った。

「そうだよなー作ったの俺だが」

「そうなんですかっ?」

美波は驚いた。

「コイツ、欠片も手伝わないんだぞ?」

ばっこーん

「何度言わせる?要らん事言うなと・・・・・」

オーラがっ・・・・・・!

ヤバイですっ・・・・・!

優希さんは敵にしないようにしなければ・・・・・・!

美波は心に誓ったのだった。


でも、安心したな。


優希さんと拓さんが来てくれて。


良かった・・・・・・


「まだ、サ−フィンやってるんですか?」

入院して一週間が経った。

美波は言った。

「やってるよ、少し寒いけど」

拓さんは言った。

今日は優希さんが用事で来れなかったらしい。

「優希さんの事、どう思ってるんですか?」

「・・・・・は?」

拓は少し驚いて言った。

「別に、どういう風にも」

「本当ですかー?」

美波は少し疑い深く言った。

「本当だよ」

拓は真剣に言った。

「そうですよねっ」

美波は励ます様に明るく言った。

「そうだよ」

拓は少し悲しそうに言った。

美波の額に拓の手が当たる。

拓の表情は分からない

両目に眼帯を付けているから。

でも、少しだけ分かった。

とても悲しそうな顔をしている

そんな、気がした。

「大丈夫ですよ、多分」

美波は額に在る手を、美波の手と重ねた。

「・・・・・・え」

拓は少し動揺した。

「良く分かりませんけど・・・・・・大丈夫だと思います」

美波は言った。

「美波は強くなったね」

拓が言った。

「そうですか?」

美波は笑った。

景色は分からないけど。

「そういえば今日だよな、眼帯外すの」

「あ、そう言えばね。」

「まだ外さないの?」

「お医者さんにOK貰ってからだって」

「そうなんだ」

拓が言った。

「早く色の付いた景色が見たいな」



美波は言った。



一瞬だけ


拓さんが笑ったように見えた。


そんな


気がした―――――――――――

拓さんを少し登場させたかったので、登場させました^^

そのせいで優希さんが少しだけになってしました==

では、次回!遂に美波の眼が・・・・・!

お楽しみにっ!!><

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