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第十章+モノクロ 紅

今回、急展開です・・・・・・・!

放課後・・・・・・・


美波は駅前で待っていた。


今日は!


展望台以外での初デートなのだぁ―――――――!


美波ミナミ!」

祐平ユウヘイが走ってきた。

「祐平!」

美波は祐平が走る方向へと小走りした。

「遅れてゴメン!」

「大丈夫だよー」

息を荒くして祐平は言った。

「じゃ・・・・じゃあ行こうか・・・・・?」

「息を整えてからねっ」

美波はそう言って軽くウインクをした。

「今日は何処へ行くんですか?」

「どうする?美波の行きたい所で良いよ?」

「じゃあ〜最近出来たデパートに行きたいです!」

デパートと言う表現は古かったかな?

と思いながら美波は言った。

「良いよ、其処に行こう」

「やったぁ!」

美波はぴょんっと一回ジャンプした。


最近出来たデパートはこの町から少し外れた所に在る。

都市復興だとか景気改善だとか今更な理由で建てられた建物である。


美波達が住んでいる街は少し山の近くに在り、何度かダム建設が予定されていたが、地域住民が抗議して、いつの間にかダム建設は無くなっていたという。


――――――――もう、二十何年前の話だったそうだ。


だから小学校は生徒が少ない。

中学校に至っては隣町の私立が一番近い。

だから美波は猛勉強して私立を受験したのだ。

そしたら受かってしまった。

そういう話なのだ。


「着いた―――――――っ!」

美波は大声で言った。

バスで二十分と少し、デパートは人が沢山居た。

「混んでるね!」

「出来たばっかりだしね、入ろうか?」

「そうだね!」

美波は笑った。

「人ごみじゃ離れる・・・・・ね?」

美波が少し俯きながら言った。

「え・・・・・?」

祐平は少し顔を赤らめた。

美波は祐平のシャツの端を摘まんだ。

美波は俯きながら赤面していた。

「・・・・・駄目だよ」

祐平は言った。

「え?」

美波は祐平を見上げた。

「服を掴むだけじゃ」

祐平は裾を摘んでいた美波の手を取って、微笑んだ。

美波はさらに顔を赤らめた。

「これで良いでしょ?」

優しく、柔らかい笑み。

「・・・・・ハイ・・・・・。」

美波は言った。

「じゃあアソコに行きたい!」

美波は祐平の手を引いて走った。

「わぁっ?!」

美波は満面の笑みを浮かばせていた。



「今日は楽しかったです!」

「僕は疲れたな・・・・・・。」

祐平は頭を押さえて言った。

「ゴ・・・・ッゴメンね?!私だけはしゃいじゃって・・・・・・」

「ああ、別に異常なほどじゃないから・・・・・・」

祐平は少し上を向いて言った。

「どうしたの?」

「別に、何でもないの?」

「?」

「でもいきなり雨が降って大変だったな。」

「そうだね、今も台風並みじゃないかな〜」

「土砂崩れとかないと良いんだけど」

「不吉なこと言わないでよ〜」

「・・・・そうだな」

バスの中は、雨に打たれる音が響き渡る。


ザァァァァァァァッ・・・・・・・


バシャッ


バスが角を渡ろうとした瞬間。



ドンッ



バスが揺れる

「美波!」

祐平が叫ぶ

「やぁぁっ!」

美波は絶叫した。

バスの乗客も騒いでいた。

最早、冷静などと言う言葉などないだろう。

「落ち着いて、大丈夫だから!」

祐平は美波を見つめた。

「大・・・・・・丈夫・・・・・・?」

美波は失い掛けていた自分を少しだけ取り戻した。

バスは半分横転していた。

しかし、ブロック塀でギリギリ引っくり返っていない状態なのだ。

床はは硝子が散らばっていた。

「美波、怖くない?」

祐平は美波の頭を撫でながら言った。

「うん・・・・・祐平は・・・・・?」

美波は言った。

「平気」

祐平は微笑んだ。

美波は安心した。



グラリ


ガッシャァアァァァ!



「キャァァァァァァァァァ――――――――――――!」

飛び交う悲鳴

「祐平っ!」

「大丈夫だから!」

美波は祐平に抱き付いた。

祐平は美波を強く抱き締めた。

バスは雨の影響でスリップしてしまったのだ。

最悪の事態

横転・・・・・・・・・・・!

「美波・・・・・・・!」

「祐平・・・・・」

美波は恐怖から涙を流していた。


バラバラと何かの破片が舞い散った。


何か分からなかった。



突然、祐平に向って割れたガラス達が鋭く光って降り注いだ。



「うわっ・・・・・・・!」

祐平は美波を庇う様に抱き締めた。

「祐平っ!」

美波は叫んだ。

「わっ・・・!」

祐平の足場が崩れる。

ほぼ九十度の急斜面で足場を崩さない訳が無い。


       どんっ!


「ゆうへ・・・・・・いっ!」

祐平は美波の肩を押した。

美波は座席に倒れた。

押された衝撃で少し痛みはあったが、ほぼ無傷だった。



ドッ



一つ、鈍い音が美波全体の神経に響き渡った。

「祐平」

美波は下を見た。

割れたガラスの破片

拡がる血

「祐平」

美波にとってはモノクロの、しかしハッキリした色だった。

真っ赤だった

どんな色より黒に近い色

そんな色が、現実を物語っていた。

モノクロ

頭の中でテレビでよくある砂嵐が起こった

その砂嵐が視界を覆った

「い・・・・・やぁ・・・・・・!」

美波は顔を覆った。

祐平は力無く倒れていた。


目・・・・・・・


目なんか・・・・・・・!



こんな中途半端な・・・・・・


世界なんていら・・・ない・・・・・・



目なんか・・・・・・・





見えなければ良かった―――――――――――――――――





祐平はどうなってしまうの!?次回を待て!!

・・・・・作者照々でした・・・・・・。

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