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最終話 トリック・オア・ユアマインド

 世界は退屈だ。

 でも人間を見ていると、そうでもないかな、と思う時がある。

 面白い?

 それとも楽しい?

 悲しそうな人間もきっと、嬉しいことを知っているかも知れない。

 それなら私は、それを知りたい。


「だからって人間のそばにいなくてもいいだろう?」


 まぁ、そう言われればそうかも知れないけど。

 でも。

 その場でその時にその人と一緒にいることは、きっと私が探している『何か』を見つける手がかりになるんじゃないかなって思うの。


「君も物好きだね」


 物好き?

 違うわ。

 私はきっと人間が好きなんだと思う。


「まぁ、せいぜい頑張ることだね。でも無駄かも知れないよ?」


 そうかも知れない。


「それでも行くんだろう?」


 そう。もう決めたの、私は。


 人間の『心』を知るために。


 ──私の、本当の『私』を見つけるために。



    了

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