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試験的なネタ

せっかくヒロインに生まれ変われたのに!!!

作者: 日文

ライバルは悪役よりも憧れるくらいステキな人の方が嬉しいなぁと思ったら、こうなっていました。

なぜに?

 ステキな男性に愛を囁かれ、愛を乞われ、夢のようなロマンスが出来る!そう思っていたのに……



『宇宙は女王陛下の愛で満ちている』というシミュレーションゲーム。

 主人公はとある名門女学院に通う少女。

 彼女は一般入試枠でその学院に入り、特別授業を受けているわけではないごくごく普通の少女。

 そんな少女が新しい女王候補の一人として選ばれた所からゲームは始まる。

 宇宙を支える女王と、女王が宇宙を支える補助をするために存在する、五聖と呼ばれる五人の男性。

 麗しい彼らとの愛に生きるか、宇宙を愛で支える女王となるか……


 そう、そのヒロインのデフォルトネームである〝アリシア・シンフォニー〟と言う名前が私の名前。

 ヒロインの外見的特徴の二本のあほ毛、もとい触覚に見える特徴的な髪の毛。

 蜂蜜のような柔らかで綺麗なハニーブロンドと、綿菓子のように繊細な髪質。

 そして青とも緑とも角度によっては見える不思議な瞳。

 顔の見映えは悪くない。

 にっこり微笑めば十人の内八人くらいは振り返ってくれる。

 標準以上の容姿。

 そして入学した学校。

 学校というか学院。

 女子校。

 この星に住む女の子であれば憧れる、超絶有名な女学院。

 名前を聞いてもぴんと来なかったけれど、学校の先生が是非にと進めてくれたから受験してみて、受かったらものすごく両親も親戚一同(見たことも聞いたこともない人までお祝いしてくれた)が駆けつけてくれた位喜ばれた。

 そのことは置いておいて、入学した年から制服が一新されてその制服を着た自分を見たとき、思い出した。

 あぁ、ヒロインだ。

 私がヒロインだ。

 宇宙と、恋を天秤に掛ける事が出来る、許される存在だ、って。



 でもそれは間違いだと思い知らされる。

 私以外のヒロイン達と言うかそっくりさん達が存在し、あげく彼女たち共々女王候補として集められて試験を受けさせられ、試験結果にだめ出しをされたあげく試験勉強のやり直しをさせられるなんて……恋の前に勉強なんて、酷い!

 他のヒロイン達も勉強させられて居るみたいだけど、せめて教師には攻略対象の五聖が交代で教えてくれるとか、それくらい良いじゃないかー

 私達女王候補だよ、未来の上司だよ。

 というか貴方たちの運命の相手よ、だから教師役交代求む!

「アリシア嬢、何か他のこと考えていませんか?」

「えぇ?そ、そんなこと無いけど?」

 こいつ鋭いんだよなー

 少しくらい良いじゃない。

 何でそんなにまじめにやらないといけないのよー私女王になる気なんか無いんだからね。

「五聖の方々はみな既婚者ですよ。そして彼らの役目は女王陛下の補佐です。候補生でしかないあなた方はお会いする機会はございません」

「へ?な、何を……」

「他の候補生の方々が五聖を出せと喚いていましたので……アリシア嬢?まさか貴女もそのような事」

「言いません!」

 言いたいけど。

 それにしてもこいつ何なのよー

 せめて教師役男よこしなさい男を。

 美青年とか美少年希望!

 それにしても既婚者?どういう事よ。

 攻略対象なのに。

 私よりも先に誰かが攻略したって事?

 他にも記憶持ちの転生者が居るの?

 もーやだー

「あなた方は女王候補として選ばれ、候補生となることを了承した次点でもう後がないのですよ。帰る場所も、人も存在しない」

 それ言われると軽率だったとはもう。

 選ばれてもならなかった人も結構いた。

 馬鹿にしてた。

 でも、今ならならないという選択の方が正しかったんじゃないかって思える。

「女王陛下に選ばれるか、女官や補佐官となるべく進路を変更するか……」

「うぅ、ガンバリマース」

 女官や補佐官の勉強も大変だって判っている。

 今は女王になるためだけの勉強ですんでるけれど、これが女官や補佐官になると今以上に大変になるのだから……うぅ、見目麗しい男性との恋愛ぃぃぃぃ……

 こんなに大変だ何てぇぇぇぇ。



 そう、私は知らなかった。

 元々このゲームが恋愛シミュレーションではなく、女王育成シミュレーションであったと言うことを。

 そして教育係達が私たちに恋愛をさせる気が無いのだと言うことを。

 私たちは知らなかった……

五聖達はハニートラップを候補生達に仕掛けます。

彼らとの恋愛ENDは実はBADENDだという罠。

五聖達の上に立つに相応しい女王を彼らは選別します。


候補生達が家に帰れないのは、試験をしている場所の時間軸がというか時の流れが異なるため。

試験に落ちたーと帰っても、もう兄弟の孫とかそれくらいの世代に移行している。

毎年全宇宙から候補者候補が集められ、家に帰れないと言うことを了承して候補者になります。

ゲームではこうだったからと何も考えずにサインしたヒロインは、現実とゲームとの違いを今更ながらに思い知らされています。


ちなみにライバルは女王陛下の次期筆頭補佐官に収まっているため、ヒロイン達の前に現れるのはかなり後の方です。


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