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黒剣騎士団の主婦盗剣士  作者: 緒方 征羅
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第1話 放り出された異世界で戦闘訓練

佐竹三郎様、ヨシくんの扱いが酷くてごめんなさい。

ほとんどキリーの独白が多いです……

さっきまでreiと狩りしてたよな?

急に画面がフラッシュして、にくをきって記憶が無いな。ん??reiはどこに?

上体を起こして足元を見た。私の足ふを抱き枕にした狼の耳と尻のある少年…どうりで足が重いと思った。エルダーテイルのreiのアバターだよな?えーっと?)」

改めて自分の体を見てみる。普段見慣れた自分の手足より細い手足、先程まで画面で見ていた自分のアバターと同じ装備を付けている。

「(鏡がないから分かりにくいが、今の私の姿はエルダーテイルの私のアバターのキリーと同じ姿をしていると考えていいのか・・・。まともに動けるかな?無理やり慣らすしかないだろうなぁ。reiを護るためには戦闘も出来んと拙いか。コケまくってる姿とか見られたくないからここでしばらく慣らすか・・・)」

周辺を見渡したら木々に囲まれた林の中。近くに塔が見える。

「(おそらく書庫塔の林だよな?狩りしてたからそんなもんか…。でもなぁゲームの世界に自分のアバターの姿で取り込まれるのって何の冗談なんだろう?

ここは安全地帯とは言い難いな、結界アイテム使った方がよさそうだな。)」

まとまらない思考だが、安全対策は必要だろうからカバンの中からアイテムを探そうとすると、頭の中に携帯の着信音の様な音が聞こえて慌てる。視界にゲーム画面の様に相手名と着信と表示される。

「(へー、ステータス画面は使えるのか、念話どうしたらいいのかな?)」

無意識に中空に手を動かしタッチパネルの要領で着信の部分を押してみる。

「キリ姉。アキバの外にいるみたいだけど、大丈夫?」

「ヨシくん、何が大丈夫なのかな?書庫塔の林のモンスター程度でどうこうなる私じゃ無いよって、この状態で戦闘出来るのか私?」

「キリ姉~。そういう問題じゃ…」

念話の相手は脱力したような声で返してくる。同じ黒剣騎士団ギルドの神祇官の義盛だ。

「でもさぁ、何が原因でこの世界にアバターの姿でいるにしろ、元の世界に戻るまでは戦闘は必要になるんじゃないかな?それより、ヨシくんの方こそ大丈夫なの?元の体と性別違うけど?」

「……」

「(ん?返答がない。固まったかな?)あぁ、ゴメンね。とりあえず、息子と一緒に体慣らしの為にしばらく此処にいるから、みんなに伝えてね」

念話を切って、画面を操作して結界アイテムを使用する。私の足を抱き枕にして気持ちよさそうに寝ているreiの耳を触ってみる。毛は少し固いが意外にさわり心地が良い。触られたのが嫌だったのか耳がピクピクっと動く。可愛いなどと思っていると

「…やめて~」

寝言の様だが耳を掻いて寝直そうとした様だが、違和感があった(本来無い狼の耳と尻尾がある)ので、吃驚して起き上がる。

reiは耳や尻尾を触ったり、自分の格好を見て困惑している。顔はアバターにreiの雰囲気がプラスされてる。

こちらの方を見て首を傾げている。

「お…かあさん?」

自信なさ気なに尋ねてくる?

「そうだよ」

「何でエルダーテイルのアバターになってるの?」

「んな事聞かれても非常に困るんだが……私が聞きたいくらいだよ」

困惑気味のreiの質問に肩をすくめて返答する。

「いろいろ考えても何も始まらないから、少し体動かして見ようか?」

reiに足を抱き枕にされていたので多少痺れているが立ち上がってみる。

「(やっぱり、いつもと視界が違っているな。違和感が結構あるから歩くのに慣れるのは少し時間がかかるかな?)」

数歩歩いてみると躓きそうになりよろけ、近くの木に手をついた。

「(結構苦労しそうだ……戻らなくて正解だった)」

「お母さん、大丈夫?」

「一応大丈夫。はぁ、こりゃちょっと慣れるのに苦労しそうだ。reiは違和感無いの?」

「特に感じない……身長とかこの間の測定の数字だったからかなぁ?」

「そんなに違ってないだろうから違和感ないだろうね。とりあえず、この辺歩き回ったり、特技とか使ってみようか?」



数時間程体を動かしていたら、徐々に違和感はなくなってきた。ステータス画面から入力からじゃ戦闘は難しいなと感じ、技の出し方を模索する。

ぼそっと特技名を言って見ると特技は出せるのは分かった。

「しかしなぁ、技名言いながら戦うのは中二病みたいで何だか嫌だなぁ……」

「僕のは名前をちゃんと指定しないと発動しないんだよ」

「バトルコマンドか……まぁ、お母さんじゃ発動しないだろうね」

いろいろ試しているうちにモーションからの入力が可能なのは分かったが、縦斬り横斬りでモーションも変わるから組み合わせのバリエーションが多い使用頻度が高い連携技から覚えていくしかないだろう。

「(やれやれ、覚えるのが多すぎて大変だな……)」


最初に居た場所ではキャンプするには不適切だったので、水場に近い安全な場所にテントを張る。テントなんて張るのは、随分昔の事だったので苦労したがなんとかなった。


とりあえず、寝床は確保したが、二人して食料アイテムを持って来てない事が分かったので、肉や野菜、果物をドロップするモンスターを2人の最初の獲物にする。流石に死んだらどうなるかわからないので、師範システムは解除する。

いいタイミングで鹿が出てきたので、訓練がてらに戦闘……

鹿の首の付け根辺りを狙って攻撃してみると、首が落ちてそのまま霧散して金貨と鹿のもも肉がドロップした。

「(意外と呆気なさすぎ。でも、手応えは凄くリアルだな)よし、これを焼いて夕飯にしよう」

「やった~」

「あと、適当に食材になるやつ少し狩ったら、作るぞ」

「はーい」

鹿とか小型の野菜や果物が背中に生えたボアを狩る。ボアの突進に少し驚き、避け損ねるが思ったよりダメージも痛みもないな。ならば、もう少し思い切った動きが出来そうだ。格闘技の心得はまったくないが、子供の頃から喧嘩早いので割と……。

相手の動きを見て、どこに打ち込むか……違った武器を持っているから間合いが違うんだな…。

目測を間違えた所為で剣を持ったままボアを殴ってしまったのだ、怒り狂ったボアが勢いよく突進してくるので、タイミングを合わせて斬る。なかなか難しいな、慣れしかないかな?

流石に90レベルの斬撃に耐えきれず、霧散して金貨と果物とブロック肉をドロップした。




簡単な窯モドキを作りそこら辺りの枯れ草や枝を集め火を付けたから、肉を切ったら…

「何だ?!」

切った瞬間、緑色のゲル状の物体に変化したので慌てる私。

「え~、どうして~」

凄く残念そうなrei。こっち睨むなよ。

「料理ができないみたいだな…」

「え~」

「んな事言われてもな~、切る事すらできないんじゃ、どうしろと…。仕方ないから果物でも食べるか」

reiにドロップした梨を渡し、自分はリンゴをかじる。

「美味しいな、肉が食べられないのは残念だったけどね」

「うん、でも梨美味しい~」

ガジガジもぐもぐと食べるrei。そんなreiの姿を見ながら、この先どうしようか?この手の物語ってすぐには戻れないだよなぁ~と、なんとなく考えて1日目は過ぎていった。

キリーには武道の心得なんてないですけど、子供を護るため、子供には自身を護るために戦闘訓練を始めてます。だって、何かやってないと暗い方に思考が行ってしまうんで……

次回はTRPGリプレイの方になると思います。

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