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恋愛系

一目惚れ

作者: ぐるこーす

前回投稿した短編の違ったルート、違った視点みたいな感じです。


まるで世界はパラレルパラレルパラレルパラレルパラレルパラレルワールド。

俺は今悩んでいる事がある。


俺の目の前にはとても可愛い女の子が立っている。

歳は17位かな?


ところで今俺は一枚の姿見の前に立っている女の子から目を離す事が出来ずにいる。


恐る恐るその娘は目の前の鏡に触れている。

勿論鏡の中のその子も同じ様に動く。

パッと手を離すと手を離す。

彼女が自分の顔を撫でると顔をなでる。


目の前の女の子の一挙手一投足から目が離せないでいる。


…そろそろ分かったんじゃないかと思う。


俺は目の前の女の子に一目惚れした。













優香さんと言う名前の彼女は家で色々あって遠い親戚の俺の元に転がりこんできたらしいのだが、結婚式や葬式親族が集まる時に一度も見た覚えがない。

そんなに遠い親戚なのだろうか。


なんとなく不思議な雰囲気の彼女。

女性らしい容姿に立ち振る舞い。

だがその中に内包された男らしい力強さを感じられた。

少し動きが覚束ない気がしなくもないが恐らく初対面の俺の前だからだとおもう。


歳も4つ位は離れていては寛いでくれと言っても寛いで貰えないだろう。

こんな時このアパートの近くに住んでいる『あいつ』が来てくれれば多少はマシだろうに。


幸い今日は休み。

『あいつ』にメールして呼ぶ。

『あいつ』っていうのは家の近くにすむ高校2年の男子生徒の事だ。

中性的顔立ちで社交的。

この子の不安を和らげて貰えるとおもう。


ヴィィ…ン


偶然目の前の女の子から着信を伝える振動音がした。


「ち、ちょっと失礼します…。」

そう言ってケータイを開く彼女。

『あいつ』と同じ機種だった。


「あ、その機種…。」


ビクッと彼女。

あうあうして可愛い。

偶然同じ機種だったのか。

結構古い機種だったから目に付いた。











彼女がトイレに入って少しした頃『あいつ』から返信が。

今日は忙しく暇が無いらしい。

まぁ、しょうがない。

それより優香さんをどうしようかと考えた。やはり家に送り返す事にしよう。


彼女に送ってあげるから帰るよう言うが帰らないと言う。

しかも暫く居候させてくれと言って来た。

どうしたもんか。

悩んでいると涙目で土下座をして頼み込んで来た。

これは断れない。

女の子ってずるい。

これが惚れた弱みってやつか。












とりあえず優香さんの家の電話番号等、連絡先を訊くががんとして話そうとしない。

その辺は事情があるのだろう。

察してそれ以上追求するのは止め親にメールで調べてくれとお願いしておく。

親は二つ返事で頼まれてくれた。












浴室から水音が響いてくる。

晩御飯も食べ終えたので彼女に先に入る様勧めたのだ。

まさか俺が入ったあとの汚れた水に浸からせるわけにはいかない。

決して女の子が入った後の水がどうとかこうとか他意はない。

凄く覗きたい衝動に駆られるが俺は紳士だ。

優香さんの、それに初対面の子を覗くほど盛ってなどいない。


…ゴクリ。















優香さんが出て来たので俺も入る事に。

何故か優香さんは耳を真っ赤にして顔を隠していた。

風呂場でなにかあったんだろうか。


気にせず服を脱ぎ、風呂場へ。

そこにはシャワー、石鹸等々があり勿論バスタブの中にはお湯(聖水)が並々と湛えられている。


体を洗い、髪も顔も洗い、準備万端。

いざ、お湯(聖水)の中へさぁ行くぞ。


…。


…どんな入浴剤、温泉もこのお湯には勝てますまい。

心の穢れが流される様な気がした。

俺の心は穢れきっていた。









この後じっくりと浸かり名残り惜しいがあがる。

彼女はTVを観ながらリモコンを手の上で回していた。

すっかり寛いもらえているようだ。

そう言えば、『あいつ』もよくTV観ながらリモコンクルクルするなぁ、と呟くと優香さんはまたしてもビクッとしてこちらを振り向いた。

俺ってそんなに怖いのかな。

ちょっと凹んだりしたが、「そう言う訳じゃない」と言われ俺はすぐ復活した。

現金なもんだな。













時計は12時を指している。

さぁ寝る用意だ。

優香さんはベッドで寝てもらう事にして俺は寝袋。

別に優香さんの匂いをベッドにくっつけてもらう為とかそう言う訳じゃない。

何故なら俺は紳士だから。


優香さんは眠そうな声で迷惑掛けて申し訳ないと言って来たが寧ろバッチこいです、と言っておいた。













早朝出入り口が閉まる大きな音で目を覚ました。

泥棒かなんかかと跳ね起きたが誰も居なくて安心して寝直す。


と、優香さんまで居ない事に気づく。

机の下やベッドの中を探したが何処にも居らずメモ書きのみが残されていた。


内容は問題が解決して直ぐに帰らなければならなくなった。

突然転がり込んで来て、居なくなってと振り回す様で申し訳ないと言ったものだった。


元の生活に戻っただけだし問題無い、と言いたい所だがちょっと寂しい。


とにかく彼女が家に帰る気になって良かった。













彼女が帰って行った日の昼頃親から連絡があり俺が言う女の子は親戚に居ないといわれた。


ちょっとした話しになると思ったので『あいつ』が遊びに来たときに話してみたら何故か落ち着きが無くなって挙動不審になった。


そう言えば優香さんが着ていたジーンズ、俺が『あいつ』にあげたものと同じだったなぁ。



彼女は今どうしているのだろうか。


空は晴れで爽やかな風が吹いた。

とても心地よい風が部屋を抜けて行ったが『あいつ』は変な汗をかいていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして。 とても素敵な作風だと思います。 改善点、といえば改行が目立つところでしょうか。 ストーリー自体面白いので、気にはならなかったですが^^; これからも頑張って下さい。
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