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オーバーチュア
世界の終わりの向こう側。
天使は笛を携え、高らかに悲しげな音色を奏でる。
その草原は風の通り道となり、つかの間の安らぎを与えている。
その中心に憂いを帯びた表情の二人の男女。
男の顔つきは決意に固められている。
女の頬には2本の涙の筋。
どちらとも泣く口が開かれる。
“死が二人を分かつまで”
“世界が二人を分かつまで”
“どんなに遠くにいても”
“魂が引き裂かれようとも”
“あなたのことを”
“お前のことを”
“愛している”
悲しき男女の悲しき調べ。
風は今でも草原を駆け巡る。