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勉強会2

彩姫「何して待つ?」


黒雲「私正直さっき勉強してご飯食べてでダンスという名の運動したから眠いな。」


彩姫「寝てもいいんじゃない?」


黒雲「それならおやすみー」


そう言って私は椅子を並べてその上に寝転がる。


彩姫「おやすみ。」


黒雲「………」


黒雲「やっぱ椅子が硬いから寝られない。」


彩姫「それじゃあ、どうしよっか。」


黒雲「あ、いいところに枕がある。」


ボフッ


彩姫「ちょ、えっ!」


黒雲「それじゃ、おやすみー」


彩姫「黒雲、ちょっと待って!」


黒雲「zzzzzz」


彩姫「もう寝ちゃったの?早くない?まあいっぱい頑張ってたもんね。」




今の状況を客観的に見るなら私、月乃彩姫の膝の上に私の幼馴染である月影黒雲が横になっている。いわば私が膝枕をしている状態なのだ。


彩姫「ただそうやって膝枕してるだけで済んだらよかったのになー。」


実際の私の内心はそうではない。なにせ黒雲は私の幼馴染であること以上に好きな人なのだ。そんな相手に膝枕しているという現状は嬉しいと同時にとても恥ずかしいのだ。頑張っていつも通りの状態を装えるようにしているが顔の熱は収まらない。


彩姫「てか、この状況を弥一たちが見たらどうなるかな。まあ、多分黒雲が起きた後にでもいじられるんだろうな。」


彩姫「とりあえず、お疲れ様。雲ちゃん。」


思わずこぼれたセリフ、思い出されるあの頃の呼び方。




黒雲「むにゃむにゃ」


私、月影黒雲は過去に出会ったとある少女とその少女とのある一日を思い出していた。

それはなんてことのない昔の日常になるはずの一日だった。

私と弥一、そしてもう一人の少女。

同い年のはずなのにガキっぽくて、それでいつも私たちに突っかかってきて、なんだか放っておけない。

そんな子だった。

その日も私と弥一が公園で遊んでいたところにやってきて三人で遊んでいた。

でもどこかいつもよりも元気がなかった。


黒雲「どうしたの?なんかいつもより元気ない気がするけど?」


幼馴染「そっ、そうかな?」


弥一「そうだよ。いつもとちょっと違う。僕で良かったら話聞こうか?」


幼馴染「うーん…よし、決めた。」


黒雲「何を決めたの?」


幼馴染「雲ちゃんと弥一、二人に隠し事はしない。」


弥一「隠し事?」


幼馴染「そう、実は私、今月末に引っ越すことになったの。」


黒雲「どこへ?」


幼馴染「具体的な場所は聞いてないけど、とっても遠い場所だって言ってた。」


弥一「てことはもう遊べないの?」


幼馴染「そうなっちゃう。」


黒雲「いやだよ、いやだよそんなこと、絶対に私はそんなこと信じない!」


その頃の私はその子と一緒でまだ子供っぽくてそんな話を聞いて思わず泣いちゃっていた。

もしくはただの仲のいい友達や幼馴染という訳ではなく

それが、私の初恋の相手だったからかもしれない。


そして中学校で初めて彩ちゃんに出会ったとき、彩ちゃんの姿にその子を重ねていた。

でも、他人の姿を重ねるのは良くないと思っていた。

それに、言動はあの子とは違って冷静で大人びていた。

それでも、関わっているときにふと見せる優しさが、頼りになるところが、

私にあの子のことを思い出させる。

そしたら、


彩姫「じゃあこれにしようかな?」


黒雲「なになに〜」


彩姫「黒雲と弥一だけの幼馴染と私はおんなじ人だよ。久しぶり。」


黒雲「えっ!」


王様ゲームのときの秘密を暴露するという命令。

それで彼女が私に話したことは、言い換えてしまえば私の初恋の相手が目の前にいることであったのだ。

当然、その命令から彩ちゃんのことを少し、いや、結構意識してしまっていた。

好きな人と距離を縮めたくて、こうやって膝枕をしてもらっているが、

顔の熱をこうして目をつむった状態でも感じている。


彩姫「とりあえず、お疲れ様。雲ちゃん。」


聞こえてくるセリフ、思い出すあの子の姿。




時雨「それじゃあ今からテストを作りましょうか。」


弥一「科目はどうする?」


時雨「透真君は国語をお願いします。弥一先輩はどの科目がいいですか?」


透真「俺に科目の選択権はないのか?」


時雨「国語は暗記よりも慣れの影響が大きいんですよ。透真君は次のテストに向けてこのテストで点を取ってもらいたいのですが、暗記科目でやっちゃうと、答えを知ってるからで解けちゃいますから良くないんですよ。」


透真「なるほどな。」


弥一「科目は俺が数学と理科やるから時雨は英語と社会を任せてもいいか?」


時雨「もちろんです。」


弥一「それじゃあ始めるか。」


時雨「作り方でわかんないことがあったら言ってくださいね。」


約30分後


透真「ふう、できた。」


時雨「私はあとちょっとですね。」


弥一「俺も残り数問だな。」


透真「それならもう二人を呼んでもいいか?」


弥一「いや、待ってくれ。」


透真「どうして?」


弥一「この話をする前にお前らに共有しとかないといけないことがある。」


時雨「どんなことですか?」


弥一「これは生徒会から外に出しちゃいけない情報なんだが、彩姫は黒雲のことが好きなんだ。」


時雨「わーお。」


透真「そうだったんですか。」


弥一「それで、あの部屋には黒雲と彩姫が二人っきりって訳だ。ちょっとだけ待った方がよくないか?」


透真「それなら確かにそうだな。」


時雨「こういった話を聞くとちょっとドキドキしちゃいますね。」


弥一「そうなのか?」


透真「さあな。」


時雨「なんで二人はそんな恋愛に対してドライなんですか?」


弥一「知らん。」


透真「俺の場合は逆にいろいろ来てウザさを感じてるからかな。」


弥一「確かにこの前もなんか呼び出されてたもんな。やっぱりイケメンは違うな。」


時雨「本当になんで恋愛話に興味がないんですか。」


弥一「お前がそんな話に敏感すぎるのもあるだろ。」


時雨「確かに私は恋愛小説を読むのも好きですけど、一般的な高校生はもっと恋愛に興味を持ってるものだと思いますよ。」


透真「そうなんだな。」


弥一「それで一旦話を戻すけど、そういうことだからよろしくな。」


時雨「応援しておきます。」


約20分後


彩姫「雲ちゃん、起きて、雲ちゃん。」


自分の名前を呼ぶ声と肩を揺らされる感触で私は目を覚ました。


黒雲「ふあーあ。よく寝た。おはよう、彩ちゃん。」


彩姫「雲ちゃん、やっと起きた。さっき弥一がテストが完成したから戻ってこいって伝えに来たよ。早く行こう。」


黒雲「そうだね。彩ちゃん。」


私たちは元居た食堂から出て元の勉強していた部屋まで移動する。




透真「やっと来た。」


黒雲「ごめんごめん。」


弥一「それじゃあ、テストを解くぞ。」


時雨「制限時間は50分で採点は私がやります。」


彩姫「合格点はいくつ?」


時雨「うーんと、100点満点なので80点を合格ラインにします。」


弥一「みんな、準備はいいか?」


透真「オッケー」


彩姫「大丈夫」


時雨「問題ないです」


黒雲「もちろん!」


弥一「それじゃあ、よーい初め!」


弥一のその言葉を皮切りにみんなペンを走らせ始める。


黒雲(思ってたよりも解けるね。)


彩姫(ここで私とか弥一が低い点取っちゃったら笑われるかもな。)


弥一(得意な数学と理科でできる限り点を取っておきたいな。)


透真(ヤッベ、ここどうやって解くんだったっけ?)


時雨(やっぱり皆全体的に解くペースが速いですね。黒雲と透真も問題なく解けていそうで安心です。)


約50分後


弥一「よーし時間だぞ皆、ペンを置こうか。」


時雨「それじゃあ私が採点しますね。皆さん少し待っていてください。」


黒雲「案外思ってたよりも解けるもんだね。」


彩姫「そう言って点数が低かったら面白いけどね。」


透真「一瞬わかんない問題があったりして不安になったけど何とかなって良かった。」


黒雲「頑張った甲斐があったね。」


数分後


時雨「採点が終わりました。」


弥一「合格点は確か80点だったよな。」


時雨「はい、そうですね。それでどういった順番で発表しますか?」


黒雲「私、彩ちゃん、弥一、透真、時雨の順番でいいんじゃない?」


時雨「そうしましょうか。」


透真「緊張する。」


彩姫「でも合格でも不合格でも何にもないんだから別に緊張する必要はないでしょ。」


弥一「まあ、透真が不合格だったら俺がみっちりしごいてやるよ。」


透真「ちょっと待って、緊張が加速したんだけど。」


彩姫「それなら雲ちゃんが不合格だったら私がやるよ。」


黒雲「ちょっと透真、私に飛び火したんだけど。」


透真「そんなこともありますよ。」


時雨「とりあえず発表しちゃいますね。」


黒雲「頼む、合格点を越えていてくれ。」


時雨「黒雲先輩、82点」


黒雲「やった!何とか越えられた。」


彩姫「ギリギリだけどね。」


黒雲「まあまあ。」


時雨「彩姫先輩、91点」


彩姫「よしよし。何とかなったわね。」


弥一「やっぱすごいな。」


彩姫「どうせ弥一の方が高いでしょ。」


時雨「弥一先輩、94点」


弥一「まあ、こんなもんか。」


彩姫「やっぱり高いじゃない。」


弥一「平均的に見たらお前も十分に高いからな。」


時雨「透真君、80点」


透真「あっぶな。」


弥一「本番まで気が抜けない点数だな。ちゃんと勉強しろよ。」


透真「もちろん。」


時雨「以上ですね。」


黒雲「あれ?雨ちゃんの点数は?」


時雨「国語の採点には主観が入っちゃうかもしれないので。」


彩姫「それ抜きだったらどうなの?」


時雨「それ抜きであれば、80点満点で78点ですね。」


黒雲「たっか。」


弥一「しかも見た感じ国語もほぼ満点だな。」


透真「やっぱすごいな。」


時雨「ありがとうございます。」


彩姫「それじゃあ勉強を再開する?」


時雨「えっと、一日に勉強し過ぎても頭に入らないので、日を分けた方がいいかもしれません。」


彩姫「それならまあ今日の勉強はもうおしまいでいっか。」


弥一「今後はまあ生徒会で集まった時にでもやるか。こうやって休日に集まるのって予定あわせるのが大変だからな。」


透真「それじゃあ、もう解散でいいのか?」


時雨「私的には別に問題ないと思います。」


彩姫「うん。私も別に構わないよ。」


黒雲「にしても楽しかったね。」


弥一「確かにな。王様ゲームのあれはちょっと根に持ってるけど。」


透真「それは本当に申し訳ない。」


黒雲「またいつか一緒に遊びたいね。」


彩姫「それじゃあみんな見送るよ。」


黒雲「ありがとう。」


数分後


時雨「彩姫先輩、わざわざ駅まで見送りに来てもらって良いんですか?」


彩姫「いいよいいよ。あっ、電車来たね。みんなまたねー。」


黒雲「またねー」


弥一「またな。」


透真「バイバイ。」


時雨「ありがとうございました。」


そうして私たちは非日常な勉強会を楽しんでまた日常に戻っていく

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