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高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜  作者: 水国 水


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第25話 黒海エリアと四人の作戦会議

「次はどのエリアだっけ?」


 俺は疑問に思い、パンフレットを持つ涼さんに聞いた。

 

「んーっとね……黒海エリアだね。大水槽があるみたいだよ」

「へぇ、黒海エリアか」

「大水槽?」


 成瀬さんが疑問に思ったようで問いかけてくる。


「うん、深さ10メートル、最大長が40メートルの水槽なんだって」


 涼さんがパンフレットを確認しながら答える。


「それはすごい……。どんな魚がいるか楽しみだね〜」

「色々な魚がいるみたいだよ。特にジンベエザメやマンタがいるんだって」


「ジンベエザメ!? ボク、見た事ないから楽しみだな」


 遥が興奮気味に言った。


「じゃあ、さっそく行ってみようか」

 

 俺たちは黒海エリアへと向かうことにした。館内の案内板に従って進んでいくと、次第に水槽の青い光が見えてきた。

 

「ここだね」


 涼さんが言いながら、先頭を歩く。そして目の前には、巨大なガラスの壁が広がり、その向こうに黒海エリアの大水槽が広がっていた。

 大水槽の中では、様々な魚たちが自由に泳ぎ回っている。

 その中でも一際目を引くのは、優雅に泳ぐジンベエザメだった。


「わぁ、すごい……」


 成瀬さんが感嘆の声を漏らした。


「ほんと、凄いですね……」


 柊さんも圧倒されており、驚きの声を上げる。


「お! ジンベエザメがこっちにくるよ!」


 遥が興奮した様子で、こちらにくるジンベエザメを指差す。

 まるで子供に戻ったような無邪気さだな。


「わぁ、本当に大きい……」


 成瀬さんが目を輝かせてジンベエザメを見つめる。


 ジンベエザメはゆったりとした動きで水槽内を泳いでいる。

 その巨大な体が水の中を優雅に滑っており、俺たちはしばらくその美しさに見とれていた。


「見て、あっちにマンタもいるよ!」


 涼さんが指差して言った。

 

「本当だ」


 マンタが壁沿いに泳ぎ、腹が見えた。

 口とその上にある鼻腔が目に見え、可愛さを感じた。


「なんかかわいいな」

「ですね、笑ってるみたいです」


 柊さんが微笑んで言った。

 俺たちはその場に立ち尽くし、魚たちの動きをじっくりと観察していた。ジンベエザメやマンタの他にも、カラフルな熱帯魚やサメ、小さなエビたちが忙しなく動いている。


「この水槽、本当にすごいね。ずっと見ていられる」


 成瀬さんが感慨深げに言った。


「そうだね。まるで海の中にいるみたい」


 涼さんが同意する。


「こんなにたくさんの種類の魚が一緒に泳いでるのを見ると、本当に感動するな」


 俺もその光景に感動し、しばらくの間言葉を失っていた。


 ふと、遥が何かを見つけたようで叫んだ。


「見て! あそこにダイバーがいるよ!」


 遥が指差した先には、水槽内で清掃をしているダイバーの姿があった。ダイバーは水槽の中をゆっくりと移動しながら、ガラスの壁や底を掃除している。魚たちもダイバーの周りを興味津々で泳いでいる様子だ。


「すごい、あのダイバーも魚たちに囲まれてるんだね」


 成瀬さんが興味深そうに言った。


「なんだか、ダイバーも水族館の一部みたいだな」


 俺もそう思いながら、中の魚たちに視線を戻す。

 他にも小さなサメっぽい生き物が底に居たりと見応えがある。



 ◆◆◆


 

 水槽を楽しそうに見つめる阿宮の姿に、黒龍 遥は見惚れていた。

 その肩を叩かれ、背後を見ると、阿宮以外が集まっていた。

 何事かと思い聞こうとする黒龍。しかし、静かに、とジェスチャーで伝えられ、来栖 涼に手招きされる。


「何?」


 ボソッと小さな声で問いかける。


「いやさ、オレたち純粋に楽しんじゃってね? と思ってさ」

「別にいいんじゃないの?」


 遥は軽く肩をすくめて答えた。

 

「忘れてるでしょ、発案者なのに」


 その言葉に遥は一瞬黙り込んだが、すぐに思い出したのか小声で話し始める。


「……あ、忘れてたよ。確かに絶好のシチュエーションだ……」

「そうでしょ? これを逃すと、後はイルカショーとかくらいしかないんじゃないかな」

 

 そのやり取りを聞いていた成瀬が興味深そうに口を開いた。


「確かに。水族館っていうロマンチックな場所を最大限に活かさない手はないよね」

「だろ? だからここで作戦会議といこうじゃないか」

「なんか協力する流れになってません?」

「正直、競争はすれども誰も、誰かを蹴落としてくっつこうとは考えてないだろ?」

「それはもちろん」

「ええ」

「だね」


 当たり前だと言うように返答する三人。

 

「だったら協力して、それぞれいいタイミングで二人っきりになれるシチュエーションを作るのがいいと思うんだ」

 

 遥は再びパンフレットを広げ、次のエリアや見所を確認しながら話を進めた。


「じゃあ、次はどうしようか。ジンベエザメとマンタを見た後に、どこでアプローチするのが一番効果的だと思う?」


 成瀬は思案顔で答えた。


「イルカショーもいいけど、もっと静かで二人きりになれる場所がいいんじゃない?例えば、クラゲの展示エリアとか」


 涼が賛同するように頷いた。


「いい考えだね。クラゲの展示エリアは暗くて幻想的な雰囲気があるから、親密になりやすいかも」


 遥は再びパンフレットを見ながら、エリアの地図を指差した。


「じゃあ、クラゲの展示エリアを候補に、後はどうする? 最低でもあと3つは要るよ」

「うーん……もう1つはイルカショー?」

「いいかもね」

「後は……」

 

 四人はそれぞれ、何かいい案は無いかと悩んでいる。


「もう結構見ちゃったけど、この大水槽もだよね」

「確かに、気づくのが早ければ……」


 悔やむ涼。


「ん? イルカの餌やり体験ってあるよ。これいいんじゃない?」

「おお! それいいかも」

「他には……アクアトンネルってのがあるんだ」


 パンフレットを見ていた成瀬が呟いた。

 

「へぇ、トンネル型の水槽ってこと?」


 それに反応した遥が、詳しく聞きたいと問いかける。

 

「そうみたい。上を魚が泳いでいて、幻想的な雰囲気が人気なんだって」


「それもピッタリかもね」

「じゃ、これで4つ集まったとして、他にも予備案を考えたいね」

「そうだな」


 こうして4つ、四人分のシチュエーション案を用意した。また、他にも予備の候補を考えておくことに。

 ふと、涼は視線を阿宮に向ける。大水槽に近づき、底を泳ぐサメを見ていた。

 その様子を見て微笑む涼。


「よし、それで行こう。オペレーション フォーリンラブ開始だ!」

「何それ」

「え、何って作戦名だよ」

「ネーミングセンス……」

「調子が狂うなぁ」


 散々な言われようだ。


「フォーリンラブ……恋に落ちる、だからそこまで違和感無いのか?」

「何でもいいから、ほら行くぞ!」


 誤魔化すように背中を押して急かす涼。

 こうして、彼らは阿宮を惚れさせるための作戦を練り直し、水族館の次なるエリアへと進んで行くのであった。

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