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高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜  作者: 水国 水


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第23話 おはよう

「————あいこでしょっ!」

 

 遥と涼さんがパー、成瀬さんと柊さんがグー。

 

「よっしゃぁぁぁ!!」

「やったぁぁ!!」


 勝ったのは涼さんと遥だ。ガッツポーズをして思いっきり喜んでいる様子が見てとれる。


「あぁ……負けちゃいました……」

「残念……」

 

 対照的に悔しがる成瀬さんと柊さん。

 

「明日は場所交代すれば良いんじゃない?」


 俺はふと思いつき、提案する。

 ハッとした様子で「それ良いですね!」と成瀬さんが言い、二人も承諾した。そのため、明日は成瀬さんと柊さんが両隣で寝ることに。

 そして布団を敷き、それぞれの場所に落ち着く。

 部屋の明かりを消して、静かな夜が訪れた——————わけもなく。


 しばらくして、遥が「阿宮くん、寝た?」と聞いてきた。

 寝ようとしていた頃で反応が遅れ、返事ができなかった。

 それを寝たと勘違いしたのか、遥が他の人達に話しかけ始めた。

 

 「ねぇ、阿宮くん寝たみたい。じゃ、言っていた通り、恋バナ始めようか」と、遥が布団から顔を出して提案していた。

 ヒソヒソと話している。


 

 恋バナか。どうやら俺が寝たか確認していたし、聞かれたくないようだな。

 それでも気になるため、聞き耳を立てつつ寝たふりを続ける。


「いいね、誰から話す?」


 涼さんが聞く。続けて「とは言っても、絡んだことのある男の人なんて阿宮くんだけなんだけどなぁ」と独り言を呟く。

 

「それはそうですね……」

「確かに、そうですね。恋バナができるほど多くの方と話す機会などないので……」

 

 同意の声を上げる二人。


「ボクはあるぞ!」

「お前は全部、警護だから話すこともないだろ」

「バレたか」


 涼さんに突っ込まれてるわ。

 それにしても、やっぱりみんな話したこともないんだな。

 

「声が大きい、阿宮くんが起きちゃうよ!」


 成瀬さんが声を下げるように言っている。

 最初から起きてるんだよなぁ。

 

「ごめんごめん。でも、これだけ話して起きないならほんとに寝ちゃったみたいだし、続けようか」


 遥が小さく笑いながらそう言うと、再びひそひそと話し始めた。寝たふりを続けながら耳を傾ける。


「ボクは阿宮くんと一緒に過ごす時間が結構楽しいって思ってるし、この際、貰ってくれると良いのになぁ」


 ……ッ!?

 遥がそんな風に思っているとは。


「確かに、世の中の男性とは違って、女に恐怖感とか尊大な態度を取るわけでもないですし、他の人が放っておかないでしょうね」


 柊さんも……。


「私たちで悪い虫を寄せ付けないようにしつつ、阿宮くんをしっかり守らないといけませんね」


 成瀬さんが静かにそう言うと、涼さんが少し笑いながら付け加えた。


「そうだね。阿宮くんは優しいし、何より警戒心が薄いから、放っておくとすぐに変な人に引っかかっちゃいそうだし」


 みんなが同意するようにうなずいているのが、布団の中でも感じ取れた。

 そんなに警戒心足りないですかね……。これでも、あれからより持つようにしたんだけどなぁ。


「ねぇ、誰が1番早く阿宮くんを惚れさすか勝負しない?」

「唐突ですね」

「深夜テンションで思いついただろそれ」

「どういうことですか?」


「そのままの意味だよ。正直、ボクはこの人以上の人を見つけれないと、思う」


「まぁ、ボクはもう阿宮くんのことが————」


 遥が何か言っている。でも、睡魔が……。


 部屋に差し込む日の光で目が覚めた。

 いつの間にか、寝ていたようだ。

 最後まで聞いていたかったなぁ。なんて言おうとしていたんだろ。


 それにしても身体が重いような……。

 俺が布団から出ようとしても、両サイドを固められているように身動きが取れない。


 もしかして……。


 目を開け、左右に視線を動かす。

 視界に入ってきたのは、布団に潜り込み、俺にくっついて寝る遥と涼さんだった。

 ふたりとも穏やかな寝顔で、すやすやと眠っている。


 一緒に寝ると、くっつく癖でも持っているのだろうか。遥はこれで二度目だぞ。

 別に嫌ってわけじゃないが。


 「おはよう、阿宮くん」


 突然、声が聞こえてびっくりする。視線を上げると、成瀬さんが少し離れた場所からこちらを見ていた。


 「お、おはよう、成瀬さん。って、服着てください! 早く!」


 俺は急いで視線を外した。

 成瀬さん、下着姿じゃないか。


 着替えている途中なのか、下着姿でこちらを見下ろしていた。


「あら、ほんとね」


 あっけらかんと言う成瀬さん。


「それにしても、この姿を見ても文句一つ言わないどころか、視線を外すなんて……つくづく他の男の人とは違うね」


 だって、見慣れてないわけですし……。

 それにスタイルいいじゃありませんか。


 そして成瀬さんは服を着て、再び話しかけてきた。

 

「二人、くっついているでしょ? 嫌だったら引き剥がすけど」

「いや、そのままでいいよ」

「そう? なら起きるまで待つよ。明日は私たちも……」


 二人だけずるいと? まぁ、いいか。


 しばらくして、遥が目を覚ました。次に涼さんが。


「夢で阿宮くんに抱きついて寝ていたよ〜」

「現実でもそうだけどな」

「わぁっ、ほんとだ」


 遥が目をこすりながら驚いた表情で言った。それに気づいた涼さんも同じように目を開けて、自分の状況に気づいていた。


「もうちょっとこのままで……」


 再び寝ようとした涼さんを「今日は水族館に行くから早く起きて」と言いながら起こし、朝食を食べる準備を整える。

 俺は着替えるために、一人になれる洗面所の方に行く。

 

「お待たせ」


 着替え終え、寝ていた場所へ戻ると、みんな集合していた。涼さんと遥も着替え終えている。

 朝に弱いのか、涼さんは眠い目を擦りながら座っていた。

 

 部屋のテーブルには朝食の準備がされていた。


「じゃ、朝ご飯食べましょうか」


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