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第19話 今回は二択じゃなかった。ホッ……。

「おー、水着も売り始めてるのか」


 涼さんが興味深げにディスプレイを見つめながら言った。


「そうだね、もうすぐ夏だし、どんなデザインがあるのか見てみたいな」


 遥も興味を持ち、中へ入りたそうにする。

 遥、君、警護官なこと忘れてない?

 

「そういえば、もうすぐ夏だけど何か予定とかあるのか?」


 涼さんが聞いてきた。

 

「いや、特に無いよ」

「ならさ、一緒に海、行かないか?」

 

 海か……。いいね!

 他三人の意見も聞きたいと思い、視線を移す。


「みんなはどうかな?」


「流石に危険なんじゃないかな?」

「私もそう思います」

「ボクも反対かな……。行きたいけれど」


 三人の意見は「反対」だった。


「行きたくない訳では無いですよ。ただ、不特定多数の、しかも大勢の女性がいる中に行くのは危険すぎます」


 柊さんが反対する理由を説明してくれる。

 それに納得する他なかった。

 確かに、水着になる必要もあるし、

 

「そうか……、やっぱり難しいよね」


 涼さんが少し残念そうに肩を落とした。


「でも、他の場所でみんなで集まるのはどうかな? 例えば、バーベキューとかキャンプとかさ。それにプライベートビーチ付きを探せば海にも入れそうだけど」


 代案を提案してくれる成瀬さん。


「プライベートビーチですか……確かに、それであればいくつかの問題点は解消できそうですね」

「それは思いつかなかった。確かに、プライベートビーチならできそう」


 みんなも成瀬さんの提案に賛成する。


「ボクも賛成。プライベートビーチなら安心だね」


 遥も嬉しそうにうなずいた。「念には念を入れて、国を通して予約するといいかも」と付け加えて言った。


「そうですね」


「そうと決まれば、着る水着を選ばないとなぁ!」


 そう言って、涼さんがルンルンで店に入って行った。


 じゃ、俺は外で待ってようかな。


「何してるんですか。早く入りますよ」


 柊さんに連れられ、店に入った。

 ……ダメですよね。はい、行きます。


 ほら、店員さんも目を真ん丸にして驚いてるよ。

 いやこれは、男が入ってきたことに対してか……?

 

 そして店内に入り、レディースの水着ショップってこんな感じなんだと、俺は謎の関心を覚えた。

 店内には様々な種類の水着が取り揃えられており、より取りみどりだった。

 柊さん以外の三人はどれにしようかと意見を出し合いながら選んでいる。


「柊さんも見てこなくていいの?」

「誰か一人はそばについていないといけませんから。それに水着は持っていますので」

「そっか。確かに、さっきから店員さんの視線がすごいからねぇ」


 気にしてないフリをしているのか、チラチラと見てくるのだがバレバレだ。

 多分、柊さんが居なくなったら声をかけようとしてるのかな? まだ遠巻きに見てくるだけだから。


 そんなことを考えつつ、二人でゆっくりしていると、遥が手招きしてくる。

 俺たちが呼ばれた方へ向かうと、


「ねぇねぇ、これどう?」


 遥が手に取った水着を見せながら聞いてくる。それはシンプルでありながらも上品さが感じ取れるような黒のビキニだった。


「うん、すごく似合うと思うよ」


 その時、涼さんも別の水着を持ってきた。

 涼さんが手に持ってきたのは、明るい青のビキニで、夏らしい爽やかなデザインだ。


「どう?これ、涼しげでいいと思うんだけど」


 普通のビキニとは違う形状をしているんだな。


「クロスバンドビキニってやつなんだよね。前々から気になってたからさー」

「そうなのか。涼さん、スタイルいいし、筋肉も付いてるから結構似合いそう」

「へへ、そうかな? そこまで言うならこれにしようかなぁ」


 成瀬さんも可愛らしい花柄でフリルの付いた水着を手に取っていた。


「これ、どうかな?花柄ってちょっと珍しいけど」


「うん、成瀬さんに似合うと思うよ」


「ありがとう! じゃあ、これに決めるよ!」


 みんながそれぞれの水着を決め、レジに向かった。


「柊は何も買わなくていいのか?」


 レジから戻ってきた遥が心配そうに聞いていた。


「私は本当に大丈夫です。持っている水着で十分ですので」


 柊さんは微笑みながら丁重に断った。 


「ああ、この前の水中訓練で使った水着?」


 遥は自身の記憶を思い出しながら、聞いた。

 訓練で使うような水着を着るのか。それって、競泳用とかにならない?

 

 遠泳でもするのかな。

 ……でも、真面目な柊さんだと着る可能性もあるかも?

 

「いや、それを使うわけないじゃないですか。ちゃんと友人から好評の水着なんですから」

「そりゃ楽しみだねぇ」


 違ったか。それにしても……好評の水着ですか。


「楽しみだね」

「阿宮様も、ハードルを上げないでください! ほら、待たせてるんですから行きますよ!」


 行ってしまった。

 海に行く楽しみがまた一つ増えたね。

 

 そして店外に出ると、 成瀬さんの提案でビーチグッズを見に行くことになった。


 動物の形をした浮き輪や、バナナボート、ゴーグルであったり、パラソルなどが置いてある。

 各々好きなものを選び、買うことにした。


 こうして、俺たちは楽しいショッピングを続けた。



 ◆◆◆



「いやー、今日は楽しかったね〜」


 疲れた様子で、背伸びしつつ言う成瀬さん。


「うん、たくさん買い物できてよかったよね」


 涼さんも満足そうに答えた。


「じゃあ、最後の確認だけど、日程は今週末、持っていくものなどはまた明日決めていこう。みんな問題ない?」


 スマホを見つつ、成瀬さんが確認してくれる。


「もちろん、楽しみだよ!」

「大丈夫です」

「ボクも問題ないよ」

「問題なし!」


 こうして、みんなのスケジュールを確認し、予約も取れたのでプライベートビーチへ行くことが正式に決まった。

 日程は今週末。


 早めの方が良いんじゃないかということになり、決まった日程だ。


 ……それにしても、女子と海って何気に初めてな気がする。気合い入れて行かないとだ!


 そして成瀬さんと涼さんの二人と駐車場で別れ、柊さんの運転する車に乗り込み帰宅する。

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