第一話〜アイツ〜
くそっ
タイマンだったら負けるわけがないのに、、、
痛い、苦しい
こんなやつらに俺は、、、毎日のことなのに慣れない
俺は8人の同級生に囲まれていた。高校に入った頃は自分がこんなふうにいじめられるとは思っていなかった。顔はあまりだが運動神経も悪くはなく勉強はできる方だった。力に関しては自信があった。
だが、いじめられている。なぜだ。
毎日のように傷が増えていく。うざいうざいうざい舐めやがって。
「なんだその目つきはっっっ!!」
1人がブチギレやがった。俺はこの時初めて死を意識した。殺られる前に殺るしかないのか?
俺はこの日初めて人を殺した。あの時咄嗟にハサミに手を出し、首を掻き切ってやった。アイツらは怯えていた。いいザマだった。けどこれからどうしようか。もちろん警察も来た。そして俺だけが悪いことになった。まぁそりゃ人殺したからね。それにしても酷い。こっちの言い分も聞かずに嘘泣きをしているアイツらの言葉にしか耳を貸さず担任も気づいていたくせに何も言わない。こいつらは腐ってる。
それから数ヶ月経って他の学校に行くことになった。刑務所に入らなかったのは意味がわからない。担任が何か言ってくれたのか?まぁ俺には関係のない話だ。どう言う経緯かわからないが俺は転校になった。
転校すれば何か変わると思った。だが何も変わらなかった。前科持ちとしていじめは前よりもひどくなり担任も一緒になってやってきた。
自殺でもしようかな。そういえばアイツは来てくれるのかな。
アイツとはネットで出会った女子のことだ。DMで話しているうちにお互い楽しくなり付き合うことになった。その付き合う時の条件が俺が自殺する時は一緒に死ぬと言う約束だ。いわゆる心中みたいなやつだ。まだ会ったことはないから男かもしれない。それはそれで面白いが、
そんなことより俺は辛い。今まではアイツが心の支えとなっていたがもう耐えれない気がする。
学校が終わった。今日も一日中言葉では言いたくないようなことばかりされた。
俺はすぐに家に帰りスマホを手に取り家を出て駅に向かった。色々な自殺の方法を調べてみたが、全部苦しそうで怖かったから飛び降りにした。本当に俺はしょうもない男だ。自分でも嫌になってくる。
駅に着いたら電車に飛び乗り、少し離れた高層ビルの多く並ぶ街で降りた。ここにアイツはいるらしい。そしてここなら飛び降りで楽にいける。
俺はビルの屋上に行き、DMでアイツを呼んだ。アイツは
「本当にいいの?とりあえずすぐにいくね!」
と送ってきた。屋上にはたくさんの人がいたがもう気にしない。
アイツは来なかった。俺はもう飛び降りようと思った。そして飛び降りようとした瞬間。
「だめ!まって!!」
俺の腕には細くて小さい手の感触があった。
「あの、、はぁ、あなたがやっぱり、、はぁ、、、〇〇ですか?」
なぜ俺の名前を!?会ったこともないやつだった。そして俺の方に視線が集まる。いや、俺と言うより俺の前にいる女だ。そいつはとても美しくかわいかった。言葉では言い表せない。走ってきたのか息が上がっている。
「だれだ」
「私、△△です」
そいつが俺の彼女だった。俺は一度屋上の端から離れて少し彼女と話した。彼女の声はとても透き通っておりなぜか言うことを聞いてしまいたくなった。これも才能なのか?
「私、あなたと話している時がとても楽しかったの。できればこれからもそうしたいけど、、、無理かな?」
「約束は約束だ。俺は死ぬと決めた。ここから飛び降りる。まぁ無理に一緒にいこうとは言わない。ここまで来てくれたしな。あとお前にはまだ話しきれていないことがある」
「◻︎◻︎高校の殺人事件のこと、、、かな?」
なぜそれを知っている!?まぁ俺は動揺せずに続けた
「それがどうした」
「あれ、〇〇だよね?」
「、、、、、」
「違う?」
「全部知っているのか?」
「うん!あのことはたくさん調べたからね」
なんであんなこと調べてるんだよ
「それでもね、多分何かあったことはわかるし、私は死んでほしくない。これから毎日会いたい」
それは俺もそうだ。こんないいやつと毎日会えるなら生きてもいいかも、、、ってダメだ。俺は決めたんだ
「いや、それは無理だ」
「じゃあいいよ
私が先に行くね」
「やめろーーーーっ!!」
体が勝手に動いた。俺は彼女を止めていた。彼女は薄く笑っていた。こうなることがわかっていたかのように
「わかった。俺は死なないだからお前も死なないでくれ」
「うん!約束だよ?」
「あぁ」
俺はなぜか彼女に死んでほしくなかった。それはなぜかわわからないが俺は彼女に生かされた。