【第26話】吉田の道案内
「そうじゃ。それよりも、茜ちゃん、これからは自分の幸せもちゃんと考えるようにな」神様は目で笑いかけながら言った。
「はい」笑った茜はハッキリと返事をした。
「あの!俺の願いも叶えて頂いてありがとうございました」横にいた石田が神様に言った。
「ん?何もしておらんぞ」
「え?」
「好きだと伝えたいってやつだろ?ワシは叶えておらん」
「でも」
「君が自分で言ったんじゃ。伝えたいとワシに願った時点で、もう気持ちは決まっておったんだからな」
「・・・はい」
気配を感じ、神様がふと横を見ると真由美がいた。「あの、茜が本当に治っているのか不安で、病院に連れて行きたいんですけど」
「うむ。そうじゃな。納得できるまで調べてもらいなさい。本当は、君達を病院まで飛ばしてやりたいんじゃが、もうワシにはMPが残ってないんじゃ」
「MP!?」茜や石田たちが声を揃えた。
「そうじゃ。神様も無限に力を使えるわけじゃないからの。1日分の量は決まっておる。ワシには宮殿に戻る力2人分しか残っておらん」
「ワシはもう、神としての力を失ってしまった」ロマンスが言う。
「だから、悪いな」
「そんな、悪いだなんて」茜が申し訳なさそうに言った。
「暗くなると危険なので、吉田がこの森の出口まで案内しますよー」急に現れた吉田は言った。
「あ、お前!」宇宙人が反応した。
「この辺りの道知らないって、僕たちに聞いてきたでしょうが!」カッパが疑いの目を向ける。
「あれはコミュニケーションですー」吉田は笑顔で言った。
「いや、意味わかんないから」宇宙人が冷静に言う。
「そいつは信用して大丈夫な奴じゃ。安心して行きなさい」神様は茜たちに言った。
茜たちは少し戸惑いもあったが、神様の言葉を信じ吉田の元へ集まった。4人が集まると吉田は歩き出し、みんなもそれについて歩き出した。滝から山道に入ろうとする所で茜は立ち止まり振り返った。
「本当にありがとうございましたー!」茜は頭を下げて、他の3人も一緒にお辞儀した。
「元気でね!」宇宙人が両手を口元に当てて叫ぶ。
「茜ちゃーん!僕たちの事も忘れないでねー!」カッパも手を振りながら叫んだ。
「はい!」
「カッパと宇宙人に会った事なんて忘れないよ!」竹下が返した。
「それもそうだ」カッパはそう言って宇宙人と顔を合わせた。みんな笑った。
もう1度茜たちは頭を下げると歩き出した。神様たちは黙ってその姿を見ていたが、少し歩くと道は曲がっていて5人は木々の向こうへと消えていく。最後に茜が振り返り大きく手を振った。神様たちも笑顔で手を振り返した。
茜たちが見えなくなると神様が口を開いた。「ロマンス、お前も先に帰って、ワシの所の天使たちに挨拶でもしておいて」
「え?」
「え?って、お前どこに帰るつもりだったんじゃ。ワシの所に来るしか無いじゃろ。まぁ、お前にはちと狭いかもしれんがな」
「・・・すまない。恩に着る」
「うむ」神様はロマンスの頭に手をかざした。1秒待ってロマンスは歩き出し、滝へ向かって水面を進んでいく。滝の前まで来て神様がパチンと指を鳴らすとロマンスは消えた。
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